<第二章 努力を続ける 1-5>
「ねえ、佐藤君。実は、マーケティング部は、変わるのが怖いのよ」と由美子は言った。
「変わるのが怖い?どういうこと?」
「それはね、スマート電気の洗濯機の売り上げが減っているといっても、前年比10%程度でだし、スマート電気の洗濯機は、ダイレクトドライブのモーターを使用しているので静かだし、タテ型の洗濯僧の機種でも乾燥機としての性能が良いから、『巨額の投資をして失敗したくない。容量は1種類でも、操作系をターゲット別に用意することによって、街の電気屋さんからネット販売まで広い販路を確保したいと考えているみたいなの。」
「でも、韓国のベスト電子の追い上げも激しいんだろう?向こうは、機能を絞り込んたプリセット方式で操作性を簡略化するとともに、中国生産で納入価格を大幅に下げてくる可能性があるそうじゃないか。」
「マーケティング部は、隣の芝生が青く見えるのよ、相手が価格で勝負してくると、低価格の商品を欲しがるわけ、でも、スマート電気の強みを生かそうと思ったら、高機能で洗濯の手間を省くことなの、洗濯機は、10年は使えるし、洗濯は毎日のことなので、1日辺りのコストはそれほど負担にならないはず、エンドユーザーは、きっと理解してくれるわ。」
「そうか、複数の操作系を用意したいと言うのは、鈴木さんの考えではなく、マーケティング部の考え方ということだね。鈴木さんは、新婚世帯をオピニオンリーダーにして成功すれば、ベテラン主婦層や、独身層も取り込めると考えているんだね。」
「ねえ、佐藤君、もう、その鈴木さんって呼び方止めてくれる。もう、1年かんも一緒に仕事しているんだから由美子でいいわよ、私も、誠って呼ぶからファーストネームで呼び合わない?」
「鈴木さんは、帰国子女だから、違和感ないかもしれないけど、僕は日本男子だから、違和感があるんだよ。」
「何言ってんの、ニューハーフみたいになよっとしているくせに、良いわけが下手ね、誠は。」
「わかった、わかった、由美子は、押しが強いね、中村課長のまえで、由美子って呼ばないように気をつけないと。」
「中村課長は、私に、『佐藤君と付き合っているんだろう?』って聞くのよ、『私たちは、恋人じゃなくて、同士だっ』って言っているんだけど。」