第350話「高校時代」(通算第560回目)

放映日:1979/4/13

 

 

ストーリー

石塚は高校時代の、東京在住の同級生が集まった同窓会に出席した。

石塚の恩師(小栗一也さん)は石塚の癖を注意しつつ、同窓生全員に立派になったと称賛した。

石塚の恩師は石塚が在籍していたクラスの担任から15年が経過していたにもかかわらず、全員の名前を記憶していた。

石塚は出勤し、捜査員に高校時代の思い出や同窓会のことを上機嫌に話した。

一係室に、矢追町の裏路地で、2人連れの男が殴られ、現金を強奪されたという通報が入った。

被害者は病院にて、男が因縁付けてきたと思ったら、突然殴ってきて、金を巻き上げられたと述べた。

加害者のうち、2人はまだ17,18歳の少年で、もう1人は24,25歳でサングラスをしていた男だった。

2人の少年のうちの1人は派手なスカーフを首に巻き、もう1人は赤いジャンパーを着用していた。

矢追1丁目の交番に仙台の高校の北川教諭が、修学旅行の高校生2人が行方不明になったという届け出を出していた。

石塚は藤堂からの連絡を受け、交番に急行し、北川(山本圭さん)から話を聞いた。

北川は今朝、仙台に帰る予定だったが、昨日の夕方から吉本と中山という2人の生徒が戻ってこないということを伝えた。

北川は2人を心配し、他の生徒が仙台に帰った後も東京に残っていたが、その2人がどこで何をしているかの見当が付いていなかった。

吉本と中山は不良グループのリーダー格で、学校でも扱いに困っており、裏山で喫煙し、他校と頻繁に喧嘩するなど、悪名高い存在だった。

吉本と中山は制服から私服に着替えており、2人が旅館を出るのを目撃した生徒によると、片方の1人が赤いジャンパーを着用していた。

石塚は北川から、旅行の時のスナップ写真のフィルムを手渡され、現像した。

犯人の少年の2人が吉本(新井康弘さん)と、中山(今村良樹さん)であることが確定した。

北川は、吉本と中山が恐喝事件を引き起こしたことに失望した。

吉本と中山は東京には親戚がいなかった。

藤堂は卒業生名簿をもとに、上京している24,25歳の卒業生を捜査することを決定し、石塚と田口に盛り場の徹底的な捜査を命令した。

北川は自分の監督ミスであると責任を重く感じており、吉本と中山にはこれ以上犯行を重ねさせないために、捜査協力を要請した。

藤堂は北川に卒業生の捜査を任命した。

高校の卒業生のバーテンダーや、パチンコ屋店員は石塚と北川の捜査に非協力的だった。

北川はバーテンダーやパチンコ屋店員の卒業生が全て落ちこぼれの生徒で、卒業生の大半がまともにやっており、一流企業に入社した者もいれば、官庁に入った者もいると説明した。

北川は田舎の高校であるため、落ちこぼれが出てくることに嘆いており、所在が掴めない卒業生に対しては、卒業しても年賀状を送らず、さんざん教師を手こずらせたあげく、学校に対する愛情がまるでないと吐き捨てた。

北川はどうしても人に会う要件があることを打ち明けた。

藤堂から、矢追町1丁目のスナック「リッチ」で大暴れした3人組がおり、2人が少年で、1人が赤いジャンパーを着用していたという無線連絡が入った。

北川は藤堂の無線連絡を聞いたが、要件を優先し、石塚の覆面車から降りた。

被害者は3人組が自分たちを大声で笑い、突然殴りかかってきたこと、若い2人が自分達を殴り、サングラスの男が笑っていたと証言した。

その事件の犯人も吉本と中山だった。

野崎は強奪された金銭が少額で、殴りかかる動機も言いがかりであるため、吉本と中山の動機を疑問に思った。

吉本と中山が狙った相手はチンピラばかりだった。

山村が一係室に戻り、サングラスの男が戸川組組員の谷健一に似ていることを報告した。

谷は約1ヶ月前、宮城刑務所に服役中の幹部に差し入れを届けるために仙台に赴いており、その際に吉本と中山の失踪の手引きをしたと考えられた。

届け出の卒業生の中に谷の名前は無かった。

卒業名簿の中で、谷村昭一という男だけ現住所の欄が空白になっており、消息を絶っていた。

谷村は偽名で戸川組に加入していた。

被害者はサングラスの男が谷にそっくりであると証言していた。

吉本と中山は谷村(佐藤仁哉さん)の命令で、通りすがりのチンピラ2人に因縁をつけ、格闘となったが、さらに2人のチンピラ(森岡隆見さん他)が加勢し、痛めつけられた。

谷村がチンピラ4人を叩きのめし、撤退させた。

戸川組組員が谷村の前に現れ、谷村に伝言をしたが、その直後に野崎と岩城に谷村の所在を質問され、惚けた。

石塚は戸川組組員が谷村のことになると、決まって口裏を合わせたように惚けることを不審に思っていた。

北川は藤堂に、セブンシティーホテルで人と会うという連絡を入れていた。

石塚はセブンシティーホテルに直行し、城南高校の教師と会話している北川を発見した。

教師は北川を自分の学校の教師に推薦しており、身辺を綺麗にするように頼んだ。

北川は、有名な進学校の城南高校に移籍することになっていた。

北川は今まで教師として学校にはかなり尽くしてきたが、吉本や中山のような生徒が出る学校では、自分の思うような教育ができないと愚痴を言った。

北川の考えは、吉本や中山のような、最初から学校や教師に反抗する生徒に手を差し伸べても裏切られるだけであるというものだった。

石塚は、駄目と頭から決め付けるから余計駄目になると反論した。

北川は、現在は時代も家庭も社会も極端に変わると、石塚の意見を聞こうとしなかった。

北川は優秀な生徒をさらに引き上げ、世に送り出すことにこれからの教師生命を賭けようと思っていた。

谷村の担任も北川だった。

北川は石塚から、谷村が戸川組組員であること、吉本と中山が谷村を頼ったものであるということを告げられた。

谷村は吉本と中山を、砧フラワーマンションにある自宅に匿い、食事を振る舞っていた。

谷村は北川を激しく嫌っており、吉本と中山も北川に何かあるとすぐ処分扱いにされていたことから、同調していた。

谷村は組員からの電話を受けた。

石塚は田口と岩城を連れ、砧フラワーマンションに急行した際、駐車場から発車する乗用車の後部座席に吉本と中山が乗っているのを発見した。

石塚は谷村の乗用車を追跡したが、十字路で大賀運輸のトラックに追跡を妨害され、見失ってしまった。

運転手(中島元さん)は戸川組とは無関係だった。

谷村は吉本と中山を廃業したバーに匿い、ビールの空き瓶に向かって拳銃を発砲した。

吉本と中山は谷村の拳銃の腕前に感激し、試射した。

廃業したバーで眠っていた浮浪者が吉本と中山を目撃し、発砲された。

発砲事件が七曲署捜査一係に通報された。

藤堂と山村は谷村が、吉本と中山を鉄砲玉として利用するのではないかと推理した。

戸川組は竜神会と猛烈な縄張り争いをしており、幹部を射殺されたばかりだった。

ところが、関東の大ボスと言われる男が仲介に立ち、戸川組は表立っての報復が不可能となったため、組員ではない吉本と中山を利用していた。

吉本と中山は竜神会に顔を知られておらず、警戒されずに済むというメリットもあった。

藤堂は捜査員に、戸川組と竜神会の徹底的なマークを命令した。

北川は吉本と中山の退学の手続きを急いでおり、石塚に、吉本と中山が逮捕されても高校の生徒ではないということを含むようにお願いした。

石塚は北川に抗議し、生徒に愛情を持てば吉本と中山も持つこと、生徒を好きになれば生徒も北川を好きになると説得し、七曲署が吉本と中山を保護するので、よく話し合うように懇願した。

谷村と吉本と中山はホテル「ぎょえん」に潜伏していた。

谷村は吉本と中山に1丁ずつオートマチックの拳銃を譲渡し、竜神会の大物の殺害を持ち掛け、成功すれば戸川組の幹部候補生にすると約束した。

午後1時40分、石塚と田口は戸川組に突入し、組員と格闘になった。

石塚は戸川組の電話機に盗聴器を付けた後、覆面車から戸川組を張り込んだ。

野崎と岩城は、竜神会組員が組長の尾崎の自宅を警護していること、戸川組組員も尾崎宅を張り込んでいることを知った。

戸川組の標的は尾崎だった。

藤堂は捜査員に、厳重に戸川組の行動を警戒するように指示した。

吉本と中山が尾崎を暗殺できてもできなくても、戸川組と竜神会の両方から狙われ、殺害される可能性が浮上した。

野崎と岩城は尾崎(山田禅二さん)と面会し、戸川組が生命を狙っていることを告げ、外出時には必ず連絡するように呼び掛けた。

尾崎は野崎と岩城の話をあまり信じていなかった。

午後2時30分、戸川組に谷村から、吉本と中山が尾崎の暗殺を実行する決意になったという内容の電話が入った。

電話を受け取った組員は、受話器から電車の声が聞こえたため、「ぎょえん」から出ないように指令した。

出前持ちが戸川組に入ったが、組員に岡持ちをぶつけてしまい、組員から暴行を受けた。

その時の衝撃で、電話機から盗聴器が落ちてしまい、組員に察知され、破壊されてしまった。

石塚は田口を置いていき、線路沿いのホテルを一軒一軒捜索することにした。

幸いにも、尾崎は一晩、自宅から外出していなかった。

午前9時5分、北川が一係室に入った。

石塚は昨夜に、新宿、大久保、渋谷方面の線路沿いの全部のホテルを捜査していた。

藤堂は山村と島と田口に、石塚に応援し、谷村達の所在を突き止めるように命令した。

北川は一係室にて待機していた。

午前10時5分、谷村は戸川組組員から、尾崎が今日、響組組長と新宿の「サンドリア」で昼食を食べること、内密な取引の話であるため、警察に感付かれないようにしているということの連絡を受けた。

岩城は尾崎宅を張り込み中、組員が通行人のチンピラを恐喝しているのを目撃し、救助した。

竜神会組員(小坂生男さん)はその隙に、覆面車のタイヤをナイフでパンクさせた。

尾崎が自宅から乗用車で出発したが、岩城はパンクの影響で尾行できなかった。

午前11時、谷村は吉本と中山を連れ、「ぎょえん」から出発した。

田口は「ぎょえん」に谷村達が潜伏していたという情報を入手したが、一足違いに4,5分前に逃げられていた。

石塚は単独で尾崎宅に急行し、組員を詰問して、尾崎の居場所が「サンドリア」であることを聞き出した。

藤堂は島と田口、野崎と岩城も「サンドリア」に急行させた。

「サンドリア」では、尾崎と響組組長が会合をしていた。

尾崎は食事を済ませ、「サンドリア」を後にした。

谷村は「サンドリア」付近に乗用車を停車させ、吉本と中山に、何気なく歩き、尾崎が出たら飛び込んで銃撃するように命令した。

吉本と中山は尾崎の姿を目撃し、尾崎を暗殺しようとしたが、駆けつけた石塚に阻止された。

島と田口、野崎と岩城も「サンドリア」に到着した。

石塚と田口と岩城は、発砲しながら逃走する吉本と中山を追跡し、野崎と島は谷村を逮捕した。

一係室で藤堂の無線連絡を聞いていた北川が、タクシーに乗って「サンドリア」に駆けつけた。

吉本と中山は階段を登り、ビルの屋上に逃走したが、追い詰められ、自分達に接近すると発砲すると脅迫した。

石塚は田口と岩城に銃口を下ろさせ、吉本と中山の説得を開始した。

野崎と北川と島もビルの屋上に到着した。

石塚は自身が高校時代、駄目な生徒だったが、好きな教師がいて、学校が楽しかったためにそこまでで済んだと説得した。

石塚は吉本と中山を他人のように思えず、殺人をさせないために、友達になろうと歩み寄った。

吉本と中山は石塚の説得に耳を傾けず、まだ戸川組の幹部候補になろうとしていた。

石塚は北川が吉本と中山を心配していたこと、一晩中探し回っていたことを熱心に訴えた。

石塚は吉本の銃撃で左腕を負傷したが、構わずに二人に接近した。

北川が石塚の前に立ち塞がり、撃つなら自分を撃つように懇願した。

吉本と中山は観念し、北川に泣きついた。

北川は石塚に感謝した。

吉本と中山はすっかりおとなしくなっており、不良になった原因は北川に冷淡な態度を取られたからだった。

北川は東京での就職を諦めていた。

 

 

メモ

*ゴリさんの恩師役は、「知らない街で…」や「故郷の父」、「ペスト」といったゴリさん主演作に多数出演した小栗一也氏。

*ゴリさんの恩師によると、ゴリさんは高校時代、隣町の高校と喧嘩ばかりしていたらしい。

*高校時代の同窓会にいい思い出がないボンとロッキー。

*吉本と中山役は当時「ずうとるび」のメンバーだった、新井氏と今村氏が演じている。

*吉本と中山が4人のチンピラに痛めつけられるシーンで、久しぶりの「アクション」が使用されている。

*七曲署の通用口がいつもと違うような。

*「怒れ!マカロニ」や「狼の街」のテイストがある。

*ゴリさんは高校時代、勉強もせず、遊んでばかりで喧嘩をしては得意になっていたらしい。

*ゴリさんは飲み屋に借金があるらしい。

*今回は皆川氏の「太陽」唯一の執筆作。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

田口良:宮内淳

岩城創:木之元亮

野崎太郎:下川辰平

 

 

松原直子:友直子

北川教諭:山本圭

吉本:新井康弘、中山:今村良樹、谷健一(谷村昭一):佐藤仁哉、石塚の恩師:小栗一也

尾崎:山田禅二、久保田万作、鈴木恒、中村義明、大辻鉄平、滝乙彦、二又一成

稲川善一、島田彰、大賀運輸の運転手:中島元、竜神会組員(組長のボディーガード):戸塚孝、八木和子、竜神会組員:小坂生男、西内彰、大竹義夫

ノンクレジット チンピラ:森岡隆見、斉藤善治(石塚の同窓生):小寺大介?

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

山村精一:露口茂

 

 

脚本:畑嶺明、皆川隆之、小川英

監督:竹林進