第10話「ハマッ子刑事の心意気」

放映日:1972/9/22

 

 

ストーリー
石塚と早見は非番に「宗吉」で白飯の早食いをしていた。

「宗吉」に藤堂から、トラックの積荷から死体が出たという事件の報告が入った。
藤堂は店内に石塚と早見がいることを知っており、どちらか1人を現場に出すように命じた。
塚と早見は賭けをして、賭けに負けた石塚が現場に出ることになった。

山村と石塚が現場に急行した。
トラックは東京から横浜に運搬する経路で、荷台が空のはずであった。
トラックの運転手は積荷中に運転席でうたた寝をしていたため、気づかなかった。

鑑識によると、後頭部の打撲が致命傷であり、凶器は石か煉瓦のようなものであった。

近辺に被害者の眼鏡が落ちていた。

山村と石塚は、犯行現場は船上か倉庫内か倉庫の近辺かと推測した。

被害者の身元は不明だったが、石塚は碇の刺青から船員と推測した。

藤堂は神奈川県警捜査一課と連絡を取り、山村と石塚は浜崎署に向かった。

浜崎署の田丸係長(玉川伊佐男さん)が被害者の情報を持ってきた。

被害者は和田卓郎(33歳)で、密輸と傷害の前科がある不良船員だった。

山村は横浜の土地勘が無いことを理由に、刑事の協力を申請した。

田丸は浜崎署の若手刑事の久保(沖雅也さん)を任命した。

石塚は久保の尊大さを心配したが、山村は早見と似ているという理由で心配しなかった。

山村と石塚は社員食堂に行った。

久保は田丸に山村と石塚の協力の拒否を促したが、田丸に適当に付き合うように指示された。

山村と石塚は和田の恋人に会いにバーに向かった。

石塚はヤクザにより進路を妨害されそうになったが、警察手帳を示し、沈静させた。

久保もバーに入った。

山村と石塚はバーの2階の寝室で和田の恋人と会った。

和田の恋人は、和田が私室に午後11時頃までいたこと、元暴力団「中英会」幹部の三浦昭二(35歳)に呼び出されたことを話した。

三浦は約2年前(1970年頃)、アメリカ国籍の不良外人であるマイク・ムーアの配下となり、密輸品の国内販売のルートを担当していた。

密輸団のボスであるムーア(ハワード・クローズベックさん)はトリニア共和国政府に取り入り、トリニア大使館の保護を受けているために、捜査上の大きな障害となって逮捕できない状態だった。

田丸はムーアの命令で、三浦が和田を殺害したと推測した。

山村と石塚は三浦に会いに行ったが、一緒にいたムーアに警察嫌いを理由に追い返された。

ムーアは日本語を喋ることができた。

山村は三浦に事件の概要を喋ったが、逮捕状がなかったため、三浦に挑発された。

三浦は昨日の11時頃に和田と会ったが、10分間立ち話をしてすぐに別れ、帰宅して就寝していた。

石塚は三浦を別件逮捕し、自白させようとしたが、久保に反対された。

久保は横浜の事情があり、ムーアたちのアリバイが完璧であるため、捜査の失敗によりムーアが逃走し、浜崎署の威厳が台無しになることを恐れていた。

和田の殺害現場が判明した。

港で覗きとかっぱらいの常習犯が和田の殺害を目撃していた。

港から和田のサングラスの破片が出てきた。

常習犯は犯人の顔を見ていなかったが、常習犯の証言でより明確な目撃者がいることが分かった。

事件当日、アベックが車を置いて逃げていた。

アベックの女は、常習犯がハンドバッグをかっぱらったことにより身元が判明した。

身元はクラブ「ラン」のホステスの西川恵子(進千賀子さん)であった。

山村と石塚は西川の自宅に向かった。

西川は当日仕事を休んで自宅で就寝していたこと、ハンドバッグについて、1週間前に盗まれたか落としたものだと主張し、殺害現場にはいなかったと否定した。

山村と石塚は、西川と当日に一緒にいた銀行員の新井和夫(福岡正剛さん)から話を聞いた。

新井は西川とはデートをするような仲ではないことと言い、それ以上を銀行員の秘密という理由で話そうとしなかった。

三浦が高飛びしようとしていた。

久保は山村と石塚に抗議した。

田丸は山村と石塚に、別件の賭博の三浦の逮捕状を渡した。

山村と石塚は三浦を賭博容疑で逮捕した。

三浦は磯崎署の雀荘で賭け麻雀をしていた。

山村は抗議するムーアに向かって、下手に騒ぐと公務執行妨害で逮捕すると脅迫した。
三浦は留置されたが、なぜ取り調べないかと抗議した。

久保は三浦を殺人容疑で起訴したとしても、マイクをどうするのかと抗議した。
石塚の目的はあくまで三浦の逮捕で、浜崎署にマイクを委ねるつもりであった。

久保は山村と石塚の捜査方法を批判した。

浜崎署はマイクを3年間張り込んでいたために、山村と石塚に余計なことをしてほしくなかった。
山村と浜崎署の署長に状況を説明した。

三浦の拘留期限は3日間、72時間が限界であった。
石塚は西川を、山村は新井を張り込んだ。

新井は山村に自分からは何も聞き出せないと注意した。

西川は石塚に人権蹂躙で告訴すると警告したが、石塚に無視された。

山村と石塚は西川と新井を狙う者がいると推測した。

新井は園児である娘の新井久美の見送りをしていた。

山村は新井に参考人として任意同行を求めた。

新井は最初拒否したが、一番安全なのは警察だと言われ、山村の要請に応じた。

新井は近々、銀行支店長に昇進する予定であった。

山村はホステスとの交際が露見するのを恐れたためと推理し、偽証をすれば一生後悔すると忠告した。

山村は新井の行動を

*午後5時30分に銀行を出て喫茶店「パール」に行き、6時過ぎに西川と落ち合った。

*そして、料亭「まきの」に行って食事をし、9時30分には磯崎町のクラブ「シャルマン」に行き、11時ごろに「シャルマン」を出て波止場に行っていた。

と推測したが、新井に知らないと誤魔化された。

西川は水割りを奢って石塚を帰そうとしたが、石塚に拒否された。
ムーアが「ラン」に入店した。

ムーアは「ラン」を気に入ったが、張り込んでいた石塚に、友達の三浦を逮捕されたと言って激怒した。
ムーアは石塚を弱い奴として挑発しビールをかけたが、激怒した石塚との乱闘の末にダウンした。
田丸は石塚を叱咤した。

久保は石塚の乱闘事件を弁護した。

浜崎署の刑事が西川を尾行したが、まかれてしまった。

管理人は西川がスーツケースを持っていたと証言していた。

田丸は浜崎署の次長(山田禅二さん)に呼ばれた。

要件は署長にトリニア大使館や銀行の支店長から抗議が来ていたこと、早急な事態解決の要請であった。

田丸は三浦を釈放した。

久保は取調室の窓から不審な男を目撃し、新井を囮にすることを発案した。

久保は新井を無断で釈放した後に尾行していたが、突然自動車が現れ発砲してきた。

久保は田丸に叱咤されたが、発砲してきた車のナンバーを記憶していたため、手配を要請した。

車は盗難車であり、久保は負傷したが、新井は無事であった。

新井は泣き言を言って事件から逃げようとしていた。

山村は新井にパトカーでの帰宅を促し、久美のためにリカちゃん人形を渡した。

石塚は辞表を提出し、三浦とマイクを張り込もうとしたが、田丸に辞表を破り捨てられた。

山村と久保も同行しようとしたが、新井が捜査室に戻り、全てを話す決心をした。

ムーアは新井が自白するのを見越し、三浦を見捨てて、香港に高飛びしようとしていた。

三浦はムーアの用心棒に殺害されそうになったが、そこに山村と石塚と田丸がかけつけ逮捕された。

ムーアは逃走したが、石塚と久保の格闘の末逮捕された。

後日、また山村と石塚と早見は「宗吉」で食事をしていた。

西川から「新井から口止め料の20万円を貰っていたこと、神戸でホステスを続けていること」の電話が入った。

山村と石塚は早見を久保と似ているとしてからかった。

 

 

メモ

*ゴリさん出張編の一つ(今回は山さんと合同)。他には「知らない街で…」、「その灯を消すな!」、「ゴリ、爆発!」がある。
*後のスコッチこと沖雅也氏がゲスト出演。当時20歳の沖氏は、スコッチとはキャラが全く異なり、どちらかというとマカロニに近いキャラ。
*ほぼゴリさんと山さんと久保刑事で展開されるマカロニ編ならではの異色作。マカロニは「宗吉」のシーンのみ、ボスに至っては2シーンのみの登場。さらに殿下も長さんも登場しない。

*ご飯を大盛りで、早食いで食うゴリさん。

*いんちきコイン(10円の裏をくっつけたもの)でゴリさんを騙すマカロニ。なんともセコい。

*「きたない奴」で少しだけ出た横浜が本格的な舞台として登場。柏原寛司氏の作品ではたびたび登場する(「デイト・ヨコハマ」、「金髪のジェニー」、「死にゆく女のために」)

*バーの林檎を勝手に食う久保刑事。いいの?

 *またラーメンを食べているゴリさん。

*この後の「俺たちはプロだ」に七曲署捜査員の田丸(演じるのは玉川伊佐男氏)が登場するが、今回の田丸係長と同一人物かは不明。

*OPのハイライトシーンになぜか「きたない奴」の1シーンが入っている。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
早見淳:萩原健一

 

 

久保刑事:沖雅也
田丸係長:玉川伊佐男、西川恵子:進千賀子、三浦昭二:高宮敬二
マイク・ムーア:ハワード・グロスベック、「ラン」ママ:松岡はる美、三笠れい子、北九州男
浜崎署次長:山田禅二、新井和夫:福岡正剛、玉川長太、根岸美恵子、滝義郎、鴨田喜由
ノンクレジット 鑑識課員:北川陽一郎

 

 

石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂

内田宗吉:ハナ肇

 

 

脚本:小川英、鴨井達比古
監督:手銭弘喜