事故を防ぐのは、心の安全から。
心の安全設計室
心の安全コンサルタント
安田伸也です。

海で事故が起きても、救助を呼べば助けてもらえる。
そう思っている方もいるかもしれません。
しかし、約7年間、海上保安庁の潜水士として救助する側にいたわたしが伝えたいのは、「海の事故は都合良く助からない」という現実です。
救助する側がどれだけ助けたいと思っていても、時間や海の状況によって助けられないことがあります。
だからこそ大切なのは、まず事故を起こさないこと。
今回は、潜水士として現場にいた経験から、海難事故と事故防止についてお伝えします。
この記事の目次
元海上保安庁の潜水士が伝えたい「海の事故は都合良く助からない」という現実
わたしが海上保安庁在職中、22歳から約7年間、潜水士をしていました。
映画「海猿」で有名になった潜水士です。
潜水士と聞くと、映画のように海へ飛び込み、ギリギリのところで人を助ける姿をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、わたしの潜水士時代に、映画のように水中から「九死に一生を得る」ような状況で救助できた経験はありません。
映画やテレビドラマのように、都合良くは助からないんです。
海の事故は救助を呼んでもすぐに来られるとは限らない
海の上は、陸上と違い、助けを呼んでから現場に着くまで時間がかかります。
救急車のように数分で到着するわけではありません。
事故が起こった場所にもよるので一概には言えませんが、現場への到着まで時間がかかることがあります。
そして、現場に到着したとしても、海が荒れていると助けにいけない場合も多々あります。
目の前にいるのに助けられなくて、悔しい想いもしました。
救助する側がどれだけ「助けたい」と思っていても、海の状況によっては助けられないことがある。
これが現実なんです。
「遊びで遭難しても助けに来てくれますか?」
わたしが海上保安部勤務時代のある日、一般の方からこんな電話がかかってきました。
「今から海へ遊びに行くのですが、もしも遭難したら遊びでも助けに来てくれますか?」
わたしは、
「もちろん、公務員なので救助に行きますよ」
と言いました。
すると、電話の主は安心したように電話を切りました。
わたしは思わず心の中で、
「助かるかどうかは解りませんけどね」
と呟いた覚えがあります。
もちろん、海難事故が起これば救助に向かいます。
しかし、
「助けに来てくれる=必ず助かる」
ではないんです。
海難事故で大切なのは「事故を起こさないこと」
講演でもよくお話しするのですが、いつもいつも都合良く助からないんですよ。
だからこそ、事故防止。
まずは事故を起こさないことが重要なのです。
「何かあっても助けてもらえばいい」
ではなく、
「事故を起こさないために何ができるのか」
を考えて海へ行ってほしいと思います。
天候や海の状況を確認する。
無理をしない。
必要な装備を準備する。
自分の経験や体力を過信しない。
こうした事前の準備が、海の事故を防ぐことにつながります。
海で事故が起きたら「118番」へ
しかし、どれだけ気をつけていても、海で事故が起こってしまうことはあります。
もしも海で事故が起こってしまったら。
もしくは、海の事故を目撃したら。
110番や119番と同じように、海上保安庁への緊急通報用電話番号「118番」へ、いち早く通報をお願いします。
海の事故では、救助が始まるまでの時間も重要です。
「もう少し様子を見よう」
ではなく、事故や遭難だと思ったら、できるだけ早く知らせてください。
そして何よりも大切なのは、救助が必要な状況にならないことです。
映画やテレビドラマのように、いつもいつも都合良く助かるわけではありません。
約7年間、海上保安庁の潜水士として救助する側にいたからこそ、わたしはそう思います。
だからこそ、まずは事故を起こさない。
そして、もしも海で事故が起きてしまったら「118番」。
海へ遊びに行く方には、ぜひ覚えておいてほしいと思います。
まとめ
海の事故では、救助を要請したからといって、必ず助かるとは限りません。
現場までの距離、天候、波、潮の流れなど、人の力ではどうにもできない条件があります。
だからこそ、「助けてもらうこと」を前提にするのではなく、「事故を起こさないために何ができるのか」を考えること。
これは海だけではなく、仕事の現場における事故防止にも通じる考え方だと思います。
まずは事故を起こさない。
そして、海で事故や遭難が起きたときは、できるだけ早く「118番」へ。
元海上保安庁の潜水士として、このことを一人でも多くの方に覚えておいていただけたらと思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、海へ出かけるときの安全や、「事故を起こさないために何ができるのか」を考える切っ掛けになれば嬉しく思います。
筆者プロフィール|安田伸也
心の安全設計室代表・心の安全コンサルタント。元海上保安官・潜水士。
海上保安庁に約35年間勤務し、潜水士、巡視船航海士、巡視艇船長などを経験。海難救助、転覆船や沈没船の捜索、領海警備、密漁船や密輸船への対応など、3,000件以上の事件・事故に関わってきました。
一方で、在職中には職場の人間関係やコミュニケーションに悩み、約20年間、うつやパニック障害などのメンタル不調を繰り返しました。退職後に心理学やコーチングを学び、現在は心の安全コンサルタントとして、安全大会や企業研修で事故防止、心理的安全性、職場のコミュニケーション、メンタルヘルスなどをお伝えしています。
「自死ゼロ・事故ゼロの世界を創り、笑顔で働く人を増やす」ことを使命に活動しています。
