創りたいのは自死ゼロと労災ゼロの世界
 

【うつ専門メンタルコーチ&講師】

安田伸也です。

 

こんな事件でわたしの潜水士業務は終わりました。



【最後の事件】


最初の事件から約7年が経ち、大喪の礼も終わり、時代は「平成」になっていました。

 

わたしは四管本部救難課への転勤の内示もあり、潜水士生活も終わりに近づいていた頃。


3月の穏やかな、ある良く晴れた暖かい日にその事件は起きました。


外海で、底引き漁船の転覆です。



巡視船で現場海域に急行すると、転覆船の周囲に十数隻の僚船(転覆船の仲間の漁船)が集まっていました。


そして、マイクでこんな言葉を浴びせられます。

「こら! 保安庁!早く助けに行かんか!」
「早うせんと死んじまうぞ!」

わたしの乗っていた巡視船からも航海士が応戦します。

「今から潜水士が潜る!邪魔だ!船(転覆船)から離れろ!」

 


そんな怒号が飛う中で捜索が始まりました。



海上平穏。

波ひとつありません。


長さ約15メートルの転覆船は、船底を少し海面へ出して浮いています。


「船内に空気が残っていれば、まだ生きているかもしれない」

 

急いで仲間の潜水士と共に潜り始めました。


水中視界は抜群に良く、今までに見たことがない、とても綺麗な海中だったのを覚えています。

遠くからでもよく見えます。


潜って転覆船を見ると、操舵室のドア付近に人の脚が見えました。

「生きてるかも」


そう思って、転覆船へ近寄ってその脚に触れましたが反応はありません。

「遅かったか」

 

水中でその方に手を合わせた後、船外へ引っ張り出そうとしましたが、ピクリとも動きません。

何か引っかかっているようです。



空気タンクを背負ったままでは、それ以上船内に入れないので、水中でタンクを背中から外して自分の太ももで挟み、呼吸するためのレギュレーターだけを咥えました。

そして、その方の身体を触ってどこが引っかかっているのか探ります。

手探りで、腰から順番に上へ行くと両脇の下辺りに板のようなモノがありました。

それが引っかかっているようでした。

板を押すと簡単に外れ、その遺体を船外へ運び出すと、すでに死後硬直が始まっています

※死後硬直:死亡してから2時間ほど経つと、体の中では生きているときには起こらない化学反応が起こり、関節が動かなくなって筋肉が硬直すること。
https://www.osohshiki.jp/column/article/1741/


両肘を張り、顔を上へ向けた状態のまま亡くなっていました。



たぶん、転覆直後は船底に空気が残っていたんでしょう。


わずかな空気を求めて、その姿勢になったのだと思われます。

「ああ、この人は最後の最後まで生きようとしたんだな」



生きていたくても、許されなかった命。



このお話の最後は次回「自死と事故との共通点」についてです。




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