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 不可解なアメリカ人を理解するための文化論。何処の国の文化であっても不可解な点など、当たり前にあるものだけれど、アメリカの不可解な二面性はそのコントラストが強烈である。2007年7月初版。

 

 

【減量手術】
 この手術は保険が適用されないため、1件に着き約2万5000ドル(約287万円)もの費用がかかる。
 この様な状況にもかかわらず、手術を受ける人はどんどん増えているのだ。 ・・・(中略)・・・ 2004年に約14万件だった減量手術件数は、06年には20万件に達する見込みだという。(p.23)

 2005年の美容整形総件数1150万件を年齢別に見ると、51~64歳が23%と、ほぼ4人にひとりの割合になる。(p.112)
 減量手術や整形手術が盛んなのは、見た目が名実ともに社会的成功に寄与する社会だからである。つまり外見差別が確実に存在している。
 高齢者の美容整形が多いのは、「若さ」がモノをいう社会であることと、定年制度がないことによる。
 日本人の多くは「アメリカは実力主義、能力主義の国だ」と信じているかもしれない。
 しかし、現実は全く異なる。アメリカでは、外見のいい人は会社で給料が多くもらえ、大学講師になれば昇進の可能性が高く、弁護士になれば顧客を多く得られて成功しやすいのである。(p.104)
 この本には書かれていなかったけれど、デブは「自制心に欠ける」というネガティブな理由(建前)で遠ざけられているはずである。
 車社会アメリカにおいてはクルマも見た目が大切で、あまりショボイ車に乗っていると露骨に馬鹿にされる。日本で高級車に乗っているのは、羽振りのいいヤーさんか頭の空っぽな成り上がり人間程度だろう。
      《参照》  『「逆」読書法』   日下公人  HIRAKU

                【人生反比例法則】

 

 

【ベジタリアン・ジャンクフード・ジャンキー】
 ベジタリアンなのに太っている人々を類型的に捉えて日本語で言えば、「菜食・クズ食・中毒者」。
 肉を食べなくても、アイスクリームやクッキー、パイ、ケーキ、ポテトフライ、ポテトチップ、キャンディ、ミルクセーキ、ソフトドリンクなど、ジャンクフードと呼ばれるものをたくさん食べれば肥満にもなるし、不健康にもなる。ちなみにこの人たちは、“ベジタリアン・ジャンクフード・ジャンキー”と呼ばれている。(p.28-29)
 「そりゃあ太るよねぇ~」って感じ。
 ちなみに、厳密な意味でのベジタリアンは、肉や魚を一切食べない菜食主義者のこと。
 これに対し、乳製品や卵を食べる人はヴィーガンと呼ばれる。
 肉は食べないけれどシーフードを食べる人はセミ・ベジタリアン。
 チャンちゃんは肉を食べないだけだから、ヴィーガンでもセミ・ベジタリアンでもある。

 

 

【名ばかりのクリスチャン】
 「アメリカでは教会へ行っていないと、地域社会の一員として認めてもらえないようなところがあり、とくに保守的な地域ではその傾向が強いのです。また、議員など公職に就こうとする人は、教会のメンバーにならないと、選挙になかなか勝てません。ですから、人々は名ばかりでもクリスチャンになろうとするのです。
 つまり、“本物のクリスチャン”になるかどうかは大した問題ではなく、クリスチャンの名が得られれば、あるいはクリスチャンらしく見えれば、それでよいということになる。 ・・・(中略)・・・ 。
 こう考えると、“クリスチャンの国”になぜ暴力や物欲、離婚などがあふれているのか、という疑問も解けてくる。(p.51)
 著者は「宗教は家庭にも社会にも平和をもたらすもの」という前提で考えているらしいけれど、20世紀まで世界を席巻していた宗教の実態はそんなものではない。その実態は、怒りの神を中心に据えて、闘うことを推進するような思想を肯定してきたのである。ブッシュが宗教勢力の支持を得て露骨な軍事力外交を行ってきたのがその顕著な表れである。また、この思想は男社会の維持と関連していた。故に、暴力や物欲はキリスト教の子供であり、離婚の増加は新しい脱宗教時代に移行する過程において男社会が終焉しつつある証拠としての社会現象である。
 教会を営む宗教勢力の力と、暴力・物欲・離婚に満ちた社会現象は、アメリカにおける宗教原理主義が同時にもたらす裏表(二面性)の事象だろう。       

             【神の名において殴る】

   《参照》   『なぜ、脳は神を創ったのか?』 苫米地英人 (フォレスト出版) 《前編》

             【ピューリタンが新大陸を目指した理由】

 下記も、宗教国家アメリカの本質を理解していないが故の記述である。
 動物の虐待にはあれだけ激しく講義する人たち(動物愛護団体)がなぜ、銃や不当な戦争による人間の虐待(殺人)には何もコメントしないのか。そこに私は、道徳的な正義を振りかざす人たちの偽善と欺瞞を感じてしまうのである。(p.153)

   《参照》  『ニューイングランド物語』 加藤恭子 (NHK) 

             【二面性を悩まないアメリカ人】  

 

 

【離婚防止法】
 マクナマス氏は、ジャーナリストを退職して結婚救済活動を始めた人。
 マクナマス氏は「“ユー言葉”ではなく、“アイ言葉”を使いように努めること。“ユー(あなた)がこうした、ああした”と非難するのではなく、“アイ(私)は心配した”という言い方にするのです」と助言する。(p.65)
 これって、子育ての場合も全く同様である。
 「何で、あなたは、そうなのよ!」ではなく、「お母さんは、悲しかった」の方が遥かに有効である。
 でも、チャンちゃんが飼い犬の桃ジャローに対してこの手を使っても、一向に効果はない。美味しい餌をやったり散歩にだって連れてってやってるのにね。

 

 

【レディー・ファーストの功罪】
 全米女性団体協議会(NCWO)のテリー・オネリーさんは、私の取材にこう話した。
 「礼儀を大切にするのは素晴らしいと思います。でも、差別的な男性によるレディー・ファーストは単なるジェスチャーで、“空虚な礼儀正しさ”にすぎない。実際、自身の差別行為を覆い隠す手段としてレディ・ファーストを利用している男性もいます。・・・(中略)・・・。職場で女性を差別している男性に、ドアを開けてもらったり、席を譲ってもらっても、ありがたくありません。私としては、そんなことより差別を止めてもらい、賃金を同一にしてもらいたいと思います」(p.76)
 旦那に働かせて家系の財布を握っている日本人女性(専業主婦)は、心理的に最強の生き方をしているのだけれど、レディー・ファースト社会の女性たちは家計の財布を握ってはいない。だから男女同一賃金を要求する。
   《参照》   『ほんのちょっとした違いなんですが』 池田和子 (タイムス) 《前編》

             【 “I’m just a housewife” 】

   《参照》   『神さまが教えてくれた幸福論』 神渡良平・小林正観 (致知出版) 《後編》

             【日本の役割】

 実は、彼女が大切にしているのはレディー・ファーストではなく“アフター・ユー”なのだ。(p.77)
 普通の日本人女性なら、「お先にどうぞ」なんて当たり前にできていることである。
 日本文化の優れた点を理解出来ていないのは、アメリカかぶれの生き方を洗脳された 『アエラ族』 くらいのものだろう。