音盤ながし -13ページ目

下船渡中学校(小学校)応援歌

 昨日2011年11月13日、上郷中学校が閉校した。これで津南町の中学校は津南中学校ただ一校となった。(津南中等教育学校という、中高一貫校はある)
 思えば、私が下船渡中学校に入学した当時、町内に中学校は下船渡中学校、中津中学校、芦ケ崎中学校、上郷中学校、外丸中学校の五校があった。
 今でも鮮明に思い出す光景がある。町内中学校陸上大会の行われた時の下船渡中学グラウンドの様子。トラックを囲むように陣取る五校の応援団。団旗そして色とりどりの旗が振られ、応援団の手振り足振りに合わせて応援歌が歌われる。各校選手団の入場行進、そして競い合う選手達。
 中学1年生だった私は、その場にいて、すこし大人になったような嬉しさと晴れがましさを覚えたのだった。

 当時、下船渡中学校の応援歌はふたつあった。第一応援歌はたしか慶応大学応援歌の替え歌だったと記憶する。♪ 鍛えし腕(かいな)船中の尽きぬ闘志~ という歌だった。そして第二応援歌が下船渡小学校の時から受け継がれた伝統の応援歌で、それは♪
我が学舎の下船渡 栄えある歴史さらにまた~ という歌だった。
 何を隠そう、というか知られていなかっただけだが、この第二応援歌の作詞をしたのが私の祖父宮澤源吉なのである。

 以前にそのことを書いた文があるので、ここに転載する。
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音盤日記 2007年4月29日より

 いとこ会でした。母の兄弟姉妹の子供達が集まりました。そして祖父の作った歌を総勢20名で歌いました。

●『下船渡小学校(中学校)応援歌』作詞 宮沢源吉 作曲 不明

 作詞の宮沢源吉は俺の祖父である。母の父である。この応援歌は昭和の初期頃から歌われていたそうだ。宮沢源吉は明治42年に芦ヶ崎村立谷内尋常小学校で教鞭を執り、その後下船渡尋常小学校に転任、つまり学校の先生だったわけだ。祖父の作ったこの応援歌は私が下船渡中学校に入学した当時も歌われていた。しかし中学2年の時学校統合で津南中学となり、この応援歌は歌われなくなった。50歳以上の船中(下船渡中学校)出身者のみが憶えているであろう応援歌なわけだ。

 ではコブシを振りながら歌ってみよう。

1.我が学舎の下船渡 栄えある歴史さらにまた
 光添えんと雄々しくも 奮い立ちたる我が選手 嗚呼我が選手

2.鍛えし力身に添えて 昇天の意気いや高く
 勝利は我にと確心の 瞳輝く我が選手 嗚呼我が選手

3.銀雪高きスロープに 真紅の船のそのマーク
 電光石火リードせむ 時はきたれり我が選手 嗚呼我が選手

 ガンバレ ガンバレ 下船渡(船中)! ガンバレ ガンバレ 下船渡(船中)!

吉沢元治『割れた鏡または化石の鳥』

●吉沢元治『割れた鏡または化石の鳥』

 まるでアングラ演劇の題名のようで'70年頃の作品かと思ったら'75年作でした。プロデュースは間章。つまりフリージャズですね。吉沢と言えば『インランド・フィッシュ』を思い出すけど、あれが'74年だったから、同じ頃の作品なんですね。吉沢はジャズ界の”インランド・フィッシュ”だと、何かで読んだことがあったな。探求的にジャズを追求していたら、いつの間にか周りに誰もいなくなり、孤高の存在となってしまった、ということか。

 コントラバスのソロ演奏。たったひとりだ。ジャズの極北かといえば、以外に温かい。孤高でありながら拒絶してるわけじゃなく、人肌のぬくもりが感じられる。ヒューマンな響きがすると言えばいいか。説明しようとすると、なんか頭がこんがらがってくる。

 俺はこの演奏が好きだってことなんだ。'70年代前半、日本の若手ジャズマンがこぞってフリージャズに熱くなっていた時代、あの頃のジャズの焦燥感がすきなんだよね。『いつかギラギラする日々』って本もあったな。
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ショーロクラブwithヴォーカリスタス『武満徹ソングブック』

●ショーロクラブwithヴォーカリスタス『武満徹ソングブック』

 ショーロというのはブラジルの古いポピュラーミュージックです。ピシンギーニャとかジャコー・ド・バンドリンとか僕も好きな音楽なんですが、これは日本のグループによるショーロ歌謡(勝手に名付けたw)。ショーロはジャズよるも古くからアドリブを取り入れた器楽音楽ですが、どこかエレガントな感じがするのです。このアルバムもしっとりエレガントですねえ。いいですよ。

 ショーロクラブは秋山欧(バンドリン)、笹子重治(ギター)、沢田穣治(コントラバス)によるグループ。メンバー各人様々なシーンで活躍しているようで、笹子のリリカルなギターは浜田真理子のアルバムでも耳にしていました。彼等の演奏を聴いていると、音楽というものは消えてゆくものだと感じます。歌は発した時から、ギターなどの音色はつま弾枯れた瞬間から減衰してゆくものです。音は消えて、記憶に残る。この当たり前のことが、彼等の繊細なアコースティック・サウンドから感じられます。それは哀愁なのかサウダージと呼ぶべきか、、とか言って(笑)

 このアルバムはショーロクラブのアルバムである共に作曲家武満徹と7人の歌手のアルバムでもあります。武満の音楽の入り口にはシャンソンへの感動があったそうです。ここに収められた歌曲を聴いていると、たしかにエレガントなもの悲しさがあります。歌を作るときには素に戻るのでしょうか、とかいって(また勝手な解釈をw)。

 歌っているのはアン・サリー、沢知恵、おおたか静流、おおはた雄一、松平敬、松田美緒、tamamixの皆さん。知ってる歌手も初めての歌手もいます。共通しているのは、過剰な歌唱表現を抑え、武満の歌曲の持つ歌謡美を見事に歌いあげているということです。いいですねえ~。いいですよ~。

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佐藤剛『上を向いて歩こう』

●佐藤剛『上を向いて歩こう』

 ♪ウヘホムフヒテーアールコウォオオ~ 何でこんな面白い歌い方を、まったくヘンとも思わずフツーにすぅっと受け入れて聴いてそして口ずさんでいたんだろ?坂本九の「上を向いて歩こう」は、日本中知らぬ者がいない程のポピュラー・ソングであります。もちろん僕にとっては子供時代の懐かしい大ヒット曲でもあります。


 音楽通なら、この「上を向いて歩こう」が「スキヤキ」という名で'63年に全米ヒットチャートで1位になったことは知っているはず。しかしその前年'62年に先ずヨーロッパで、フランス・イギリス・ベルギー・オランダで大ヒットしていたことは知られていないと思う(僕は知らなかった)。さらに言えば、これら海外での大ヒットとくに全米ナンバーワン・ヒットにたいして、ほとんどの日本人がピンときていなかったという事実。当時の日本人にとって、海外はあまりに遠かった、遠い出来事だったということらしい。

 というような事を本書で知り、また坂本九の名も「上を向いて歩こう」という唄もよく知られているわりに、歌手坂本九の評価がイマイチなのは何故か?という本書のテーマも目ウロコものだった。そうなのだ、たしかに全米ナンバーワン・ヒットの坂本九、日本人でただひとりの偉業を成した歌手坂本九への評価がボケてしまって、今ではほとんど語られないのは何故か?この謎解きが実はなかなかスリリングなのだ。スリルを楽しみたい御仁はぜひ本書を読んでくれたまえ!

 「上を向いて歩こう」は、作曲:中村八大、作詞:永六輔、唄:坂本九、所謂「六八九トリオ」によるヒット曲。日本ではNHKのTV番組『夢であいましょう』の「今月のうた」として発表され、'61~'62年にかけて大ヒットしレコード売り上げ1位にもなっている。ただ、軽い曲調や九ちゃんの独特な歌唱のせいで、当時の歌謡界での評価は低く、レコード大賞にも選ばれていないんだよね。また、後年になり、八大・六輔コンビのヒット・メーカーとしての評価が上がっても、歌手としての九ちゃんの評価はイマイチだったはず。人気者ではあったけど。「上を向いて歩こう」は曲と歌詞の良さだけでヒットしたのか?

 いいえ、ちがいます!九ちゃんの♪ウヘホムフヒテーアールコウォオオ~歌唱にこそ、その魅力があったのです。それゆえ、世界中でヒットしたのです。これが本書の強い訴えである。いいぞいいぞ!

 本書にはこの曲の最初の譜面が載っています。譜面のまま歌うと曲調がだいぶ違うんですね、ちょっと悲しい感じ。作曲者の中村八大はこの曲の譜面の頭に「ミッド・2ビート・ロック」と書き込んでいます。ミディアムテンポの2ビートのロックなんですね。確かに演奏はそんな感じです。ところが歌手の九ちゃんはこれを8ビートのノリで歌うんですね。その結果が♪ウヘホムフヒテーアールコウォオオ~ これはちょっと天才的じゃないですか!?これはプレスリーを歌い込んだ九ちゃんだからできた歌唱なんです。'50年代ロックンローラーのあのヒーカップ唱法がしっかり入ってるでしょ。これって、スリリングだよね!本書でこのくだりを読んだときは興奮したよ。しかも続きがある。八大さんの譜面に小さく「ウラ声入るやつ」と書き込みがあるんだよね。つまり八大さんも、九ちゃんのヒーカップ唱法を生かしたかったわけだ。さらに、♪うえをむいてあるこう(お)~と、うの後に(お)が書いてある。つまり、♪あーるこうぉおお~ は八大さんの狙いでもあったわけだ。すっごい!面白い!奇跡的!(笑)

 これほんと、音楽好きな人には是非とも読んで欲しいです~。以上

 そうそう、著者の佐藤剛さんは音楽プロデューサーとして、ハナレグミや宮沢和史などのアルバムの関わり、最近では由紀さおり&ピンク・マルティーニのアルバムをリリースしています。そしてなんとあの舞台『マイ・ラスト・ソング』のプロデューサーでもあったのです。朗読:小泉今日子、歌:浜田真理子のあの舞台。僕は初回の世田谷パブリックシアターで見て感銘を受けました。才能のあるひとは違うなあ。
上を向いて歩こう/佐藤 剛
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宮部みゆき『おまえさん』

●宮部みゆき『おまえさん』

 大好きな『ぼんくら』『日暮らし』のシリーズ第三弾。八丁堀のさえない同心平四郎とその甥っ子天才児弓之助を主人公とした捕り物ミステリーで、キャラ立ち良い脇役が揃った江戸市井の物語としても一級品です。


 さて本作、ボリュームがすごいな。単行本と文庫本が同時刊行ということで、背に腹は替えられず文庫本を買った私ですが、これがなんとも分厚い文庫上下二巻です。しかも、物語自体が分厚いときた(笑)いろんな物語が同時進行しているような、ひとつひとつのエピソードの登場人物が濃いいし、その話が良くできていて、読みながらそれぞれの登場人物と出来事で頭の中がいっぱいになり、ちょっと整理しないと物語の本筋を忘れてしまうような、それ程ボリューム感たっぷりなんですね。

 そもそも本編では犯人が判明するところで終わっている。えっ?ここで終わりって感じ。で、そこから四つの短編が続き、より深く心の葛藤などが語られる。そして捕物帖と大団円。

 物語の内容が豊富なのに、ちびちび読んでしまったせいか、話しになかなか乗り切れずに中だるんだ気持ちで読み進み、終盤から終い四編の短編でようやく面白さが沁み入って来た感じ。大好きなシリーズなのに、今回はちょっと苦労した。けど、読み終えてみれば、さすが宮部みゆき!と改めて感心するわけだ。シリーズ次作には、今回初めて登場し活躍した弓之助の兄淳三郎が更に前面で活躍してくれるように思う。この遊び人キャラは楽しいもんね(笑)

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