宮部みゆき『おまえさん』 | 音盤ながし

宮部みゆき『おまえさん』

●宮部みゆき『おまえさん』

 大好きな『ぼんくら』『日暮らし』のシリーズ第三弾。八丁堀のさえない同心平四郎とその甥っ子天才児弓之助を主人公とした捕り物ミステリーで、キャラ立ち良い脇役が揃った江戸市井の物語としても一級品です。


 さて本作、ボリュームがすごいな。単行本と文庫本が同時刊行ということで、背に腹は替えられず文庫本を買った私ですが、これがなんとも分厚い文庫上下二巻です。しかも、物語自体が分厚いときた(笑)いろんな物語が同時進行しているような、ひとつひとつのエピソードの登場人物が濃いいし、その話が良くできていて、読みながらそれぞれの登場人物と出来事で頭の中がいっぱいになり、ちょっと整理しないと物語の本筋を忘れてしまうような、それ程ボリューム感たっぷりなんですね。

 そもそも本編では犯人が判明するところで終わっている。えっ?ここで終わりって感じ。で、そこから四つの短編が続き、より深く心の葛藤などが語られる。そして捕物帖と大団円。

 物語の内容が豊富なのに、ちびちび読んでしまったせいか、話しになかなか乗り切れずに中だるんだ気持ちで読み進み、終盤から終い四編の短編でようやく面白さが沁み入って来た感じ。大好きなシリーズなのに、今回はちょっと苦労した。けど、読み終えてみれば、さすが宮部みゆき!と改めて感心するわけだ。シリーズ次作には、今回初めて登場し活躍した弓之助の兄淳三郎が更に前面で活躍してくれるように思う。この遊び人キャラは楽しいもんね(笑)

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