佐藤剛『上を向いて歩こう』
●佐藤剛『上を向いて歩こう』
♪ウヘホムフヒテーアールコウォオオ~ 何でこんな面白い歌い方を、まったくヘンとも思わずフツーにすぅっと受け入れて聴いてそして口ずさんでいたんだろ?坂本九の「上を向いて歩こう」は、日本中知らぬ者がいない程のポピュラー・ソングであります。もちろん僕にとっては子供時代の懐かしい大ヒット曲でもあります。
音楽通なら、この「上を向いて歩こう」が「スキヤキ」という名で'63年に全米ヒットチャートで1位になったことは知っているはず。しかしその前年'62年に先ずヨーロッパで、フランス・イギリス・ベルギー・オランダで大ヒットしていたことは知られていないと思う(僕は知らなかった)。さらに言えば、これら海外での大ヒットとくに全米ナンバーワン・ヒットにたいして、ほとんどの日本人がピンときていなかったという事実。当時の日本人にとって、海外はあまりに遠かった、遠い出来事だったということらしい。
というような事を本書で知り、また坂本九の名も「上を向いて歩こう」という唄もよく知られているわりに、歌手坂本九の評価がイマイチなのは何故か?という本書のテーマも目ウロコものだった。そうなのだ、たしかに全米ナンバーワン・ヒットの坂本九、日本人でただひとりの偉業を成した歌手坂本九への評価がボケてしまって、今ではほとんど語られないのは何故か?この謎解きが実はなかなかスリリングなのだ。スリルを楽しみたい御仁はぜひ本書を読んでくれたまえ!
「上を向いて歩こう」は、作曲:中村八大、作詞:永六輔、唄:坂本九、所謂「六八九トリオ」によるヒット曲。日本ではNHKのTV番組『夢であいましょう』の「今月のうた」として発表され、'61~'62年にかけて大ヒットしレコード売り上げ1位にもなっている。ただ、軽い曲調や九ちゃんの独特な歌唱のせいで、当時の歌謡界での評価は低く、レコード大賞にも選ばれていないんだよね。また、後年になり、八大・六輔コンビのヒット・メーカーとしての評価が上がっても、歌手としての九ちゃんの評価はイマイチだったはず。人気者ではあったけど。「上を向いて歩こう」は曲と歌詞の良さだけでヒットしたのか?
いいえ、ちがいます!九ちゃんの♪ウヘホムフヒテーアールコウォオオ~歌唱にこそ、その魅力があったのです。それゆえ、世界中でヒットしたのです。これが本書の強い訴えである。いいぞいいぞ!
本書にはこの曲の最初の譜面が載っています。譜面のまま歌うと曲調がだいぶ違うんですね、ちょっと悲しい感じ。作曲者の中村八大はこの曲の譜面の頭に「ミッド・2ビート・ロック」と書き込んでいます。ミディアムテンポの2ビートのロックなんですね。確かに演奏はそんな感じです。ところが歌手の九ちゃんはこれを8ビートのノリで歌うんですね。その結果が♪ウヘホムフヒテーアールコウォオオ~ これはちょっと天才的じゃないですか!?これはプレスリーを歌い込んだ九ちゃんだからできた歌唱なんです。'50年代ロックンローラーのあのヒーカップ唱法がしっかり入ってるでしょ。これって、スリリングだよね!本書でこのくだりを読んだときは興奮したよ。しかも続きがある。八大さんの譜面に小さく「ウラ声入るやつ」と書き込みがあるんだよね。つまり八大さんも、九ちゃんのヒーカップ唱法を生かしたかったわけだ。さらに、♪うえをむいてあるこう(お)~と、うの後に(お)が書いてある。つまり、♪あーるこうぉおお~ は八大さんの狙いでもあったわけだ。すっごい!面白い!奇跡的!(笑)
これほんと、音楽好きな人には是非とも読んで欲しいです~。以上
そうそう、著者の佐藤剛さんは音楽プロデューサーとして、ハナレグミや宮沢和史などのアルバムの関わり、最近では由紀さおり&ピンク・マルティーニのアルバムをリリースしています。そしてなんとあの舞台『マイ・ラスト・ソング』のプロデューサーでもあったのです。朗読:小泉今日子、歌:浜田真理子のあの舞台。僕は初回の世田谷パブリックシアターで見て感銘を受けました。才能のあるひとは違うなあ。
♪ウヘホムフヒテーアールコウォオオ~ 何でこんな面白い歌い方を、まったくヘンとも思わずフツーにすぅっと受け入れて聴いてそして口ずさんでいたんだろ?坂本九の「上を向いて歩こう」は、日本中知らぬ者がいない程のポピュラー・ソングであります。もちろん僕にとっては子供時代の懐かしい大ヒット曲でもあります。
音楽通なら、この「上を向いて歩こう」が「スキヤキ」という名で'63年に全米ヒットチャートで1位になったことは知っているはず。しかしその前年'62年に先ずヨーロッパで、フランス・イギリス・ベルギー・オランダで大ヒットしていたことは知られていないと思う(僕は知らなかった)。さらに言えば、これら海外での大ヒットとくに全米ナンバーワン・ヒットにたいして、ほとんどの日本人がピンときていなかったという事実。当時の日本人にとって、海外はあまりに遠かった、遠い出来事だったということらしい。
というような事を本書で知り、また坂本九の名も「上を向いて歩こう」という唄もよく知られているわりに、歌手坂本九の評価がイマイチなのは何故か?という本書のテーマも目ウロコものだった。そうなのだ、たしかに全米ナンバーワン・ヒットの坂本九、日本人でただひとりの偉業を成した歌手坂本九への評価がボケてしまって、今ではほとんど語られないのは何故か?この謎解きが実はなかなかスリリングなのだ。スリルを楽しみたい御仁はぜひ本書を読んでくれたまえ!
「上を向いて歩こう」は、作曲:中村八大、作詞:永六輔、唄:坂本九、所謂「六八九トリオ」によるヒット曲。日本ではNHKのTV番組『夢であいましょう』の「今月のうた」として発表され、'61~'62年にかけて大ヒットしレコード売り上げ1位にもなっている。ただ、軽い曲調や九ちゃんの独特な歌唱のせいで、当時の歌謡界での評価は低く、レコード大賞にも選ばれていないんだよね。また、後年になり、八大・六輔コンビのヒット・メーカーとしての評価が上がっても、歌手としての九ちゃんの評価はイマイチだったはず。人気者ではあったけど。「上を向いて歩こう」は曲と歌詞の良さだけでヒットしたのか?
いいえ、ちがいます!九ちゃんの♪ウヘホムフヒテーアールコウォオオ~歌唱にこそ、その魅力があったのです。それゆえ、世界中でヒットしたのです。これが本書の強い訴えである。いいぞいいぞ!
本書にはこの曲の最初の譜面が載っています。譜面のまま歌うと曲調がだいぶ違うんですね、ちょっと悲しい感じ。作曲者の中村八大はこの曲の譜面の頭に「ミッド・2ビート・ロック」と書き込んでいます。ミディアムテンポの2ビートのロックなんですね。確かに演奏はそんな感じです。ところが歌手の九ちゃんはこれを8ビートのノリで歌うんですね。その結果が♪ウヘホムフヒテーアールコウォオオ~ これはちょっと天才的じゃないですか!?これはプレスリーを歌い込んだ九ちゃんだからできた歌唱なんです。'50年代ロックンローラーのあのヒーカップ唱法がしっかり入ってるでしょ。これって、スリリングだよね!本書でこのくだりを読んだときは興奮したよ。しかも続きがある。八大さんの譜面に小さく「ウラ声入るやつ」と書き込みがあるんだよね。つまり八大さんも、九ちゃんのヒーカップ唱法を生かしたかったわけだ。さらに、♪うえをむいてあるこう(お)~と、うの後に(お)が書いてある。つまり、♪あーるこうぉおお~ は八大さんの狙いでもあったわけだ。すっごい!面白い!奇跡的!(笑)
これほんと、音楽好きな人には是非とも読んで欲しいです~。以上
そうそう、著者の佐藤剛さんは音楽プロデューサーとして、ハナレグミや宮沢和史などのアルバムの関わり、最近では由紀さおり&ピンク・マルティーニのアルバムをリリースしています。そしてなんとあの舞台『マイ・ラスト・ソング』のプロデューサーでもあったのです。朗読:小泉今日子、歌:浜田真理子のあの舞台。僕は初回の世田谷パブリックシアターで見て感銘を受けました。才能のあるひとは違うなあ。
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