しま・としゆきの部屋

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05Apr
- あふぉんだら日記　馬鹿にするな！！　（14）
  広告代理店の利益は「仲介手数料」だけなんです。最初誠に頼りないものと思いました。。でも考えてみてください。何も生産しません、何も販売しません。でも利益が得られるのです。こんな不思議な商売があるでしょうか？例えば、肉屋を想像してみてください。まず、店舗がいります。肉を仕入れます。肉を処理し、販売する従業員が必要です。それを買ってくれるお客さんが必要です。肉には賞味期限があります。売れ残ったお肉の問題があります…、…。等々考えることがいっぱいですし、何せ「生もの」を売るのですから、時間の制約があります。でも、広告代理店ってほとんどそのすべてが不要なんです。まず、商品は広告です。黒丸商店の場合、雑誌メインですから、雑誌の締め切りがあります。月刊誌の場合、毎月毎月決まった日に締め切りがきます。それまでに原稿データを送ればいいのです。送るだけ、でいいのです。それが印刷に回り、校正が出て、掲載、販売という流れになりますが、そのほとんどは出版社まかせです。広告代理店の仕事はお客さんから広告をあずかり、それを出版社に持ち込む（送信する）、ということだけで、ほぼ仕事が終了なのです。そして利益が得られます。誰が考えたか知りませんが、こんなクールな、汗を流さない業務ってあるんでしょうか！？
28Mar
- あふぉんだら日記　馬鹿にするな！！　（13）
  黄金バットは長いので、その上司は「バットさん」と呼ぶことにします。（まあ結局その上司とは30年も付き合うことになるのですが、それはのちの話ですね。）今後の仕事の概要を説明してくれます。黒丸商店は「広告代理店」である。広告代理店ってゆうのは、クライアント（お客さん）と、媒体社（出版社・学会）の仲介をしまして、クライアントの広告を正確に雑誌に掲載させる、というのが簡単な仕事の流れです。黒丸はその仲介をすることによって、仲介手数料をいただく、という商売です。例えば、〇〇製薬が、▲▲雑誌に、自社製品の広告を載せたいと思います。１P10万円としますと、黒丸は手数料、１０～２０％を頂戴します。ですので、1万円～2万円を引いた、8万円～9万円を出版社・学会に支払うという仕組みです。あ、大前提として、黒丸は「医学雑誌専門」の広告代理店なんです！
27Mar
- あふぉんだら日記　馬鹿にするな！！　（12）
  調子に乗って「黄金バット」なんて書いてしまいました～…、正直、どんなストーリーだったか、僕でも思い出せません。僕が生きた昭和40年代ってちょっと屈折した時代でして、アニメの世界でも不思議なヒーローが流行っていました。例えば「デビルマン」。その名の通り、悪魔の青年が人間の女性に恋することで、正義の戦士になります。「タイガーマスク」は虎の穴出身の悪役プロレスラーが、自分を育ててくれた孤児院への恩返しに目覚め、正義のヒーローに生まれ変わります。「仮面ライダー」も、悪の組織ショッカーが作り出そうとした悪のヒーロー「仮面ライダー」になるはずが、最後の脳を改造される寸前に脱走し、正義のヒーローになる。なんて屈折したヒーローが多いですよね。そんな意味では今よりも多様なヒーロー像があったのかもしれません。「黄金バット」ググってみました。「紙芝居がルーツ」だそうです！　それは知りませんでした。そうか、そんな時代までさかのぼるのですね～。妙に感心してしまいました。正義のヒーローではあるのですが、「骸骨」っていう異様ないでたちが、昭和40年代を象徴していたのかもしれません。「ハハハー」って高笑いするんですよ。そんなヒーローは異様ですよね、って余談でした。僕の上司はそんな異様な「黄金バット」さんでした。
25Mar
- あふぉんだら日記　馬鹿にするな！！　（11）
  えーっと。またまた前回のブログより大変時間が経ってしまいました。昨年私を解雇した黒丸商店について、思い出すことをつらつら書いてみます。昭和61年3月17日に入社しました。ちょっと早かったんですけど「大学を卒業したんなら、早く勤めて仕事を覚えなさい」っていう、前黒丸社長の言葉に素直に従ってしまいました。別に4月からでよかったのに、ほんまに真面目というか、世間知らずというか、頑張り屋さんというか、悲しいくらいです。卒業が3月15日ですから、土日休んで、初出社だったんです。小さい小さな会社でしたので、研修もなにもなく、たぶん、初日ランチだけは黒丸社長がご馳走してくれたような、かすかな記憶があります。私を指導してくれたのは、黄金バッドのような大きな、頭が禿げ上がって、歯が1本抜けた、異様な風貌の男性でした。。
12Nov
- あふぉんだら日記10　馬鹿にするな！
  す、すいま千円～また、一か月以上が過ぎてしまいました～え、だれも期待していないって、と、当然ですよね。どこまで書きましたっけ！？TVが無料で、見られるっていう事実ですよね。そうなんです、ＣＭメーカーさんが、全額負担しているからなんです。制作費も、ＴＶ局の社員の給料も、下請け関連会社の給料も、交通費も、……。ということは、当然ですが、スポンサーには、一切、抵抗できないんです。もちろん、ご意向に沿ったニュースしか流せません。…民放のＴＶ局の報道は、偏向している、はず、といっても言い過ぎではありません。ですので、最近は、You　Tubeや、「X」の情報からもニュースを考えた方がいいと思います。You　Tubeは「死にコンテンツ」なんて、最近よく言われますが、ＴＶ、新聞こそ「死にコンテンツ」なんです。朝も、夕方も、嵐の日も、厳寒の日も、安い賃金で配達してくれる、日本の「新聞」という文化は、素晴らしいものだと思いますが、その数百年の歴史の終焉を迎えつつあると思います。皆さん、正しい情報は、自分の力で「得る」そんな時代に来ているんです！！
27Sep
- あふぉんだら日記9　馬鹿にするな！
  皆様、またまた一か月もご無沙汰してしまいました。。すいませんm(__)mて、だれも見てへんって！！　ほっといてんか～(笑)現在、60歳にして、時給1200円×一日6時間の派遣社員なんですが、不安定な身分ですね～前回は「たった一か月」の延長だったので、今回は辞めるつもりだったんですが、今回は「2か月」の延長を提示されたんで、「しゃあないな～」なんて感じで延長を申請しました（いいところがあれば、辞めちゃうつもりなんですけど汗；）さてさて、広告の話を。皆さん、TVがなぜ「無料で見られる」のか、は知っていますよね。そう、CMのおかげです。なんかモンゴルを舞台にしたすんごい連続ドラマが先日終わりましたけど、「１話1億円超え」みたいな報道が踊りますが、その予算、全部、ぜーーーぶ、メーカーさん持ちです。どんだけ広告費があるねん！　って叫びたくなります。というのも、35年も勤務して、たった●千万円の私の退職金さえ、払うことが出来ず、「倒産」してしまった、しょうもない会社のことを思えば、たかが、広告に何億円どころか、何百億円も支払うことができる企業って、「いったい、何！？」なんて思います。ここに、新聞の広告料金があります。広告代理店｜メディア価格がわかる『広告ダイレクト』| » 新聞広告ネットで気軽に問い合わせできる広告代理店のサイトです。すべてのメニューに広告料金を掲載しています。テレビCM、新聞広告から、コンビニ広告、クチコミまで、1888年創業の実績でお応えします。www.kokoku-direct.jpかなり見にくい表ですが、「死にコンテンツ」といわれている「新聞」の料金です。読売新聞は、部数800万部を誇り、日本の新聞の中では、最高の部数です。 ★全国　全ページ 37.9×51.0 　47,910,000円とあると思うのですが、これは読売新聞　「朝刊」の1日の全面カラー広告の料金が、約4､800万円なんです！1日、1回限りですよ！！！皆さん、どう思いますか。そして広告代理店は、右から左へ広告データを流すだけで、平均１５％の広告マージン、720万円を正当な報酬としていただけます。最近、皆さんは新聞は読まれないと思うのですが、ときどき「は！？」みたいな広告があります。全面「海」で、なんにも書いていない。翌日見て「ああ～この企業なのか～」なーーんて思うような広告があります。デザイナー。広告代理店の「提案」なのですが、たった「2日」の広告掲載だけで、「約1億円」の広告費を支払うことのできる「優良企業」がたくさんあるのです。新聞でさえこんな状況なのですから、テレビ広告ですと、何倍も高い広告費用を払っているわけなんです！！　どうです？　広告ってぼろい仕事でしょう！！
27Aug
- あふぉんだら日記8　馬鹿にするな！
  いろんな仕事があると思います。例えば「うどん屋」を経営するとします。うどんを仕入れないといけません。出汁もとらないといけません。トッピングもいろいろありますよね。天ぷらも。そばを好むお客さんもいますよね。どこに出店するか、アルバイトの手配も、またうどんが完売するのは難しいでしょうし、在庫管理や、資金繰りや……云々、うんぬん。まず「単価が安い！」千円のうどんって、なかなかないですよね。350円に設定した場合、利益はいくら？もう、ほんとうに発狂するくらい難しいと思います。ところがです、広告代理店は超、簡単です。なんにもいりません。会社は自宅でいいとします。電話、もちろん携帯でOKです。あとはネット環境が整えばそれだけでOKです！「えーーーー」という声が聞こえた気がしました。でも、本当なんですよ！！　これが。
20Aug
- あふぉんだら日記7　馬鹿にするな！
  ここで広告代理店の仕組みについて書いておきます。「広告代理店」で、イメージされるのは、電通、博報堂やと思うんですけど、ちょっとそうゆう「ビッグ」10社くらいは別格で、以下、中小、2千社くらい（もっと？）あるんです。電柱広告、看板、電話帳の広告から、雑誌の広告、もちろん、テレビ、新聞などありとあらゆる「媒体（広告を載せる場所のことです）」に広告はあふれています。その「媒体」を提供する先、雑誌なら出版社と、広告主の仲をとりもつ、というか、中間にあって、右から左に回すだけで「手数料を得る」のが広告代理店なんです。考えてみれば、儲けは少ないですが、とってもおいしい仕事で、正直、信用さえあれば、「電話一本でできる」商売なんです。もちろん資金があるのが大前提ですが、例えば雑誌を例にとりますと、広告主がわかりやすいように、●●モータースさんが「カー雑誌」に広告したいとします。まず掲載場所を指定します。「表紙」に広告がしたいというのを、広告代理店に申込みします。雑誌によりますが、カー雑誌なら、表紙カラーですと、100万円くらいはするんです。もちろん一回料金です。（回数割引とかもあるのですが）。通常、10％～20％のマージンをいただきます。とすると、10万円～20万円の手数料が入り、出版社へは、80～90万円をお支払いします。代理店の仕事はお金の回収と、完全な広告データを入稿する、それだけなんです。在庫も、商品（広告）が腐ったりすることもありません。ただ、時間が経過すれば、次の雑誌の刊行がやってくるので、また新たな広告が必要…とエンドレスに（雑誌がある限り）、締め切りがやってくるという、誠においしい商売なんです。よ
03Aug
- あふぉんだら日記６　馬鹿にするな！
  皆さん、こんばんは！　前回の更新から一か月以上経ってしまいました。。今は、新しい職場にいるんですけど、60歳にして「新人」なので、子供年代の先輩に、ビシビシやられておりまして、なかなか気持ちに余裕がなく…。しかし、あれもこれも、黒丸社長のせいなんですよね～汗；なにから話せばいいのか、言いたいことは山のようにあります。個人商店というのに胡坐をかいて、会社を発展させるようなことは何もしなかったんですよね。「そんなことはないよ！」なんて、黒丸の声が聞こえそうですが、「そんなことあるんです」。いやしくも、「広告代理店」なのですから、どうしてインターネットの世界の参入しなかったのか。それだけの余裕も体力も十分にありました。何度も何度もそんな話をしました。「僕は、いろんなこと考えてるねん」といって、10年以上なにもしませんでした。うちの粗末なホームページも取り敢えず「見切り」でアップさせたものを、20年以上、引っ越しで住所が変わったので「修正した」、たった一度だけなんです。会社の仕事もわかっていない、会社に対しても、社員に対しても愛情のかけらすら持たなかった、持てなかった、と残念ながら断罪するしかありません。私は7月に「還暦」めでたく迎えたんですけど、満足な退職金も、職場もありませんでした。そんな会社を早く見切ることが出来なかった自分の落ち度とはいえ、あまりにも残念でした。
30Jun
- あふぉんだら日記　5　馬鹿にするな！
  先代のアホ吉社長の話は、置いときますね。。まあ、そんな社長に「ワシは人を見る目があるねん」と、即決で採用された私でございます。嬉しいような、嬉しくないような…でも、そんな会社に36年もお世話になるのですから、人生ってわからないものです。私が怒っているのは、その黒丸商店が、めちゃくちゃ儲かっていたからです。めっちゃ大まかにいいますと、社員一人が年間、1億も売り上げを上げてる計算です。少なめに見積もっても、」社員一人が年収1500万円の給料をもらってもいいくらいなんです。1500万円ですよ！でも、当時の私の年俸は３００万もありませんでした。まあ、もうそれはいいです。黒丸社長マンションでも株でもヨットでもなんでも好きにしてくれと思います。今回ビックリしたのは、毎月正社員には、退職金積立をしてくれていたんですけど、いくらだと思います。わ、わずか５千円でした！　5千円って。もっとビックリというか、3代目バカボン社長の根性を見て、この人は地獄にに行くしかないって思ったのは、勤続10年の社員にわずか、退職金積立を8ヶ月しか掛けていず、1年未満は無効のようで、その社員は1円の退職金ももらえていないんです。10年働いて「0円」です。退職金を払うと約束をしていたのに、今のところ彼女には1円の退職金も支払わてはいません。（事実です）こんなことがことがあっていいのでしょうか！？現在労働基準監督局に申請中の話題なんですよ～泣
21Jun
- あふぉんだら日記　4　馬鹿にするな！
  キューピーなんて可愛いネーミングをしてしまったんですが、この人のかなりを知ってる私にとって、知りうる限りの悪行を書いてやります。まずもちろん不倫経験はありますす。相手の女性と、会社で素っ裸で抱き合っていたという、目撃者の証言を押さえています。バスケットボールをしてたそうで、昭和10年生まれにしては長身です。175センチくらい。手足が異様に長く。火星人一歩手前かと。この会社は創業者が一番えらくて、この2番目ええかっこしい、ぼんくら社長は、ただの通過点に過ぎないでしょうね。普通、経営者ってゆう人種は、「いかに節税してるか」というのをアピールすると思うんですけど、このバカ●バカ吉社長は、中央区の「個人納税者番付３位」を自慢するような、バカ男でした。
04Jun
- あふぉんだら日記　３　バカにするな！
  先生に言われるままに、すぐに電話しました。「求人票を見て電話いたしました島と申します。ご採用ご担当者様をお願いいたします。」すると「少々お待ちください。」のあと「担当は社長です。現在不在にしております」「そうでしたか、承知いたしました。お戻りは何時でしょうか？またご連絡させていただきます。」と返事しましたら「さあ、わかりません」というんです。え、社長の帰社時間がわからないの？　少し変だなああ、と思いました。この感覚は超正しかったんです。37年経って、「そんないい加減な会社だったんです！その後無事に連絡がつきまして、会社訪問となりました。出てきた社長は、てかてかのピカピカ、「キューピーちゃん」のお化けみたいでした。。
02Jun
- あふぉんだら日記　２　バカにするな！
  私が「黒丸広告社」に入社しましたのは、昭和61年、今から37年も前のことです。当時はバブル前で、なかなか就職は厳しい状況でした。私も3社ほど受験したんですけど「安全パイ」とおもってたところにも不採用でして、「どうしようかな？」って思っていたところに、「黒丸広告社」からの求人がありました。私は文学部ということもあり、「出版」に関わる仕事をしたいと思っていました。進路課の先生から連絡がありました。「島、君は出版関連に興味あるゆうてたなあ。すぐに電話ししなさい」そんな感じでした。
01Jun
- あふぉんだら日記　１　バカにするな。
  みなさん、大変ご無沙汰です！って、3人の読者に向けて言っています。以前、ずーーと転職活動模索日記を書いておりました。で、結局すべて「不調」でして、もとの会社で定年まで働こうかなあ？なんて思っていましたら、な、なんとなんと、「倒産」してしまいました。。。。いやーこんなことあるんですね。当日の事実をおりのまま話させていただきます。3月29日の夕刻集められました（お昼に「終礼」があるとの連絡がありました。「終礼？」いままでそんなこと一度もありませんでした）。17時、若い弁護士と、社長が。いきなり「業績不振ですので、全員解雇、解散、倒産します」と一方的に弁護士から宣言され、社長からは「申し訳ございませんでした」と謝ったものの、なんのことかわかりませんでした。「仕事は途中なんですけど、明日は出社してもいいんでしょうか？」と私が質問しましたら、「はい、私物だけは取りにきてもいいです。でも、もう仕事はしないでください」と言われ、カギと保険証を返し、その日までの給料の日割りと、ほんとは一か月前に通告しないといけないとのことで、一か月分の給料を渡されました。退職金は積み立てしていた一部は振り込まれましたが、わずかで、社員も退職金の債権者になるそうです。。もうほんとにめちゃくちゃで…。今年7月で定年で、その後のことはおいおい考えようなんて思っていたんですけど。
21Oct
- 鉄の掟（おきて）－大学寮物語（14）－
  バラ色、とまでは思いませんでしたが、借金まみれの親元を離れ、まがいなりにも独立して生活することに、何かわからないけれど大きな希望がありました。それがまだ入学もしていないうちに「学生寮」のオリエンテーションという暴力に壊されてゆく…絶望感いっぱいでした。でも、僕にはここしか居場所はない、ここで生きて行くしかない、と思うと腹に力が入りました。。翌朝（２日目）は6時半に起きて、軽くランニングをしました。神社の横に桜並木があり、まだつぼみは固かったです。まるで今の僕たちのよう。桜はもうすぐ咲くのに、まだ固い蕾のままです。走るのが好きな委員さんは大久保さんといいました。実はこの大久保さん初対面ではないのがだんだんわかってきました。去年高校3年生の時に、この大学主催の、大学体験会がありました。一日キャンプの予定も組み込まれていました。その時の指導員さんでした！おどろくことにその班でいっしょだった、串本君も同じ寮生でした。まったくの一人切りだと思っていたのに、知ってる（そんなに親しくないけど）人を見つけるのは、さらに希望の灯をともしてくれました。大久保さんが親切なのは知っていました。その人が、「返事！」「声が小さい！」とやっていたのは「演技？」と少し気づき始めていたのです。。
06Oct
- 鉄の掟（おきて）－大学寮物語（13）－
  もういやや！　と叫んだのは和歌山からきた鳥丸くんでした。まあまあ、とそれをなだめたの徳島出身の萬田くん。彼は「一浪してます」と言っていたし、お兄さんが寮の先輩として在籍してるらしい。「兄貴から聞いてんけど、特別厳しいのはオリエンテーション期間中だけみたいやし、少しの辛抱やで」「少しって、あと３日もあるねんで。僕の精神が壊れてしまうわ」僕もこの寮に4年間いるつもりはありませんでした。2年くらい生活してアルバイトでもして少しお金を貯めたら、アパートにでも移ればいい、なんて思っていたのです。でも、2年間は辛抱しないといけません。今、この寮を逃げ出すわけにいかなかったのです。「辛い、出て行きたい！」と叫ぶことができる鳥丸くんがうらやましいと思いました。数人は、彼を止めようとしました。数人は静観していました。僕も静観している方でした。というか、可能であれば出て行きたいと思いましたが、貧乏な僕にはここより先、行くところはありませんでした。でも、やっぱり“失敗した！！”と思いました。。
28Sep
- 鉄の掟（おきて）－大学寮物語（11）－
  少しして、委員が帰ってきました。相変わらず真っ暗なままでした。「西村～俺がいつそんな寮歌教えた！」「どうもすいませんでした。」委員の一人でした。「優しい幹事さんに怒られたやないか！」そんな風に責められ、またひとしきり寮歌の練習をしました。いったい何時間しているのか？私は、覚えてしまいました。ただ、極度の緊張感で出てこない、そんな感じでした。西村も一緒だと思います。歌詞は頭に入っているけれど、追いつめられるとなかなか言葉にできないんだと思います。詰込みの極致ですよね。「おまえら、わかったんか！　返事！」「はぁい」その返事をするときにみんなが鼻で息を吸う間合いがわかりました。苦も無く、声をそろえて返事ができました。人間てどんどん順応して行くんだなあと思いました。この夜の時間が何時間続くんだろうと思いました。でも、やはりスケジュールがあるらしく1時間程度で終わりました。水滸伝が見たいとか、英語の学習塾に行きたいとか、そんな希望は一切消えました。とにかく早くこの拘束から解放されたい、解放してほしいと思いました。最初にもらった栞（しおり）、寮歌や、寮則の書いてある、がぼろぼろになってきました。「よく読んどいてね～」数時間前、軽く言われた言葉を発した委員さんが鬼のように吠えていました。いったい私はどうなるんでしょうか？　まだ入学式を迎えてはいませんでした。。
26Sep
- 鉄の掟（おきて）－大学寮物語（10）－
  初日、いよいよ夜を迎えました。長い長い時間でした。今までの人生でまったく経験したことのない屈辱と、大声を出し続けていたので声の枯れと、恐怖を感じました。さすがに殴ったり、蹴られたりという身体的な暴力はありませんでしたが、大声で怒鳴る、大声を出さないと叱られるということは十分な“暴力”でした。そんなめに合うこと、まったく、一切想像していなかったので、キツかったです。トイレには行ったんだろうか？　そんなことすら覚えてないほどの緊張がありました。。夜「総括」が行われました。一昔前の学生運動家みたいです。集会場の電気を消し、真っ暗になった部屋に4回生の幹事さん（神様）が入ってきました。5人いました。しずしずと何かの儀式のように。総務幹事、生活幹事、炊事幹事、厚生幹事、会計幹事の5人です。みんな学生服に詰襟です。暗闇での眼が慣れてくると、なんとなくわかります。裁判官のようで不気味でした。「みなさん今日一日どんな感想をもちましたか？　今までの生活習慣を破壊するためにオリエンテーション期間があります。大学生として生まれ変わるために、耐えてください。体調の悪い方は遠慮なく委員に話してください」…？　は？　もう十分に体調は悪いんですけど～なんて思いました。もちろん口に出して言うことは出来ませんが。静かな落ち着いた声でした。「みなさん目を閉じてください。では、西村君、寮歌１番を歌ってください」「はい！　歌います。薫風はるかあ、播磨路に～、我が行く方を見つめつつ…えーと、見つめつつ…どうもすいませんでした。」西村は１番を歌いきることができませんでした。「はい、座ってください」はあ～　という委員のため息が聞こえました。そんなことが30分近く続きました。幹事の質問に満足に答えることは出来ません。「委員！」「はい！」あの静かな声の総務幹事が叫びました。そうすると5人が退出したのです。バラバラと委員が出てゆくのがわかりました。ドカッ、バカッと音がしました。もしかして殴られてるの？？　私は恐怖に震えました。。。。
25Sep
- 鉄の掟（おきて）－大学寮物語（9）－
  寮の“オリエンテーション”という名の規律訓練は、ほんとに執拗でした。。それは寮則や、男の歌じゃ～の「寮歌」を覚えさせることが主要な目的であったのですが、それ以上に先輩に対する「あいさつ」＝上下関係を徹底的に叩き込むものでした。４回生＝神様、3回生＝人間、２回生＝奴隷、１回生＝ゴミ　みたいなそんな関係でした。「ゴミ」ってね。時代錯誤も甚だしいし、そうゆうスタイルを何十年も踏襲してきた寮に信じられない頑迷さを感じました。１泊２日でも良かったんです。十分「センパイは偉い、怖い」ということは学習しましたので…それを4泊5日なんていうとんでもない長い時間、私たちは拘束されました。食事もお風呂もありました。（当然）食べないと死んじゃいますよね～でも、食堂に向かうまでに、3人も、4人も「オリエンテーション委員」が立っています。その人に「こんにちは」、「失礼します！」と大声で叫び頭を下げます。何回、いいえ、何十回もです。声は枯れ、声は出なくなります。「一発で決めろ！」なんて委員は言いますが、そうゆうのは幻想です。ただの「訓練」ですから。へとへとになって、「ご飯をいただきます」お風呂では「挨拶はなしでええ」なんていう委員が神様に見えたり。でも、「髪を乾かさないと風邪をひくぞ」という委員に、（そんな優しい言葉にだまされへんぞ！！）なんて思ったり…長い戦いでした。。
23Sep
- 鉄の掟（おきて）－大学寮物語（12）－
  私は中高と柔道部でしたし、高校は男子校でしたので、“男の社会”はよくわかっているつもりでした。上下関係も言葉遣いも。でも、この寮の「オリエンテーション」は、それとは違うまったく異質の世界がありました。一言でいうと規律訓練のすごいのなのですが、数日に及ぶものですし、執拗でした。。表には出てきませんが、警察学校や、自衛隊、消防なんかもきつい訓練があることでしょうね。どんなやり方なのか？　同じような感じなのかもしれませんね～ちょうど4月1日のエイプリルフールで、「ビックリした！？」なんて言ってれたらどんなに嬉しかったことでしょう～。そんなことはありませんでした。夜、14人の同級生たちと、「初めて」会話をしました。。こんな「オリエンテーション」を知ってる人もいました。付属高校の生徒です。「大学生にもなって、あほやなあ、って思ってたんよ。でも浪人して、下宿はできなくなったんで仕方なしにやってきてん」「そうなんや～　昔からこんなことしてんのか。。」はじめて会話が出来て、少し安心しました。北海道の人　2人、関東　3人　中部　1人　山陰　１人　近畿　4人　四国　2人　九州　1人の同級生がいました（もっとも年齢は上の人はいましたけれど(笑)）でも、会話をしてくれるのは数人で、半数が茫然としていました。私もふくめ、無理はありません。。「もう、こんなんいやや！　耐えられへん！」と大声で叫ぶ人がいたんです。

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