中央線で読む新書 -62ページ目

なぜ通販で買うのですか

「通販生活」のカタログハウスの創業者による。
「通販生活」のCM含めた広告の人選は、バンテリンと同様に
微妙であるが故の説得力がある。この微妙さを狙えるだけの
広告主であることが本書を読めばすぐにわかる。

いいものを見つけて上手く売ることに長けている。
であるが故に、楽天市場のように自社の成長第一とする
物売りとは違う論理がある。

また実物を見せずに売るわけであるから、広告が命。
であるが故に、独自で深い広告論が展開させる。

P134からの「現実環境と模擬環境」が読ませる。
現実の環境より模擬の環境の方が分かり易く、人を惹きつける
-モデルが身につけている方がその商品のよさが伝わり、
且つ魅了する-ことをウォルター・リップマンを引き合いに説く。

【通勤用にGOOD】 2004年

斎藤 駿
なぜ通販で買うのですか

「知財」で稼ぐ!

読売新聞の連載が元。
1993年には世界1位だった日本の国際競争力が2002年には30位。
形のあるものを作るには人件費の面で中国などに劣ってしまう。
よって、なおさら形のない知的財産が日本においては重要になる。

中身は浅い。「知財戦争 」新潮新書の方が随分とよい。

【他によいものがある】 2004年

読売新聞東京本社 経済部
「知財」で稼ぐ!

江戸前「握り」

上野毛の寿司屋「あら輝」の主人・荒木水都弘の聞き書き。

もう少し話題が整理されているとよいのだが。
これは浅妻千映子の責任だろう。

【時間つぶしにはGOOD】 2004年

荒木 水都弘, 浅妻 千映子
江戸前「握り」

幕末狂乱

読ませる力がある書物ではない。

幕末の安政。黒船は来るわ、大地震はあるわの大混乱時期、
日本にコレラが上陸。旧来の神仏では太刀打ちできず、
あわてふためいてコレラを操る狐の天敵と目される御犬神や
お札を求める。挙げ句は狼に力を求めて、狼の糞を集めるのであった。

「大量死の恐怖と同居しながら、世紀末のイメージを強めていった」。
そして「天変地異と疫病にさんざん苦しめられた恨みを吹き飛ばす祝祭の
きっかけを心待ちに」するようになり、結果「ええじゃないか」の狂乱を生む。

【時間つぶしにはGOOD】 朝日選書 2005年

高橋 敏
幕末狂乱(オルギー)―コレラがやって来た!

吉原

江戸の刑罰 」中公新書の碩学・石井良助による。
読んで面白いものではない。

【時間つぶしにはGOOD】 1966年

石井良助
吉原  (アマゾン未登録)

ワイマル共和国

一般にはワイマール共和国が民主主義過ぎてそれがあだとなり、ヒトラーに
権力を握らせたと言われるが、そう単純なものではない。

フランスのドイツへの憎悪が過剰な負担をドイツにかけ、そうした戦後処理の
失敗と、戦後ドイツで政権を取った左翼政党のセクト指向とが、ナチスを生み
出す、その過程が本書にはきめ細かく記される。

WW1の末期に軍のNo1、No2のヒンデンブルグとルーデンドルフが米国
ウィルソンの14ヶ条を受け入れ終戦させるための民主的な新政府として
誕生したワイマール共和国は、社会民主党が中心となる。この時点ですでに
軍人と左翼の饗宴の趣を現す。

敗戦のために極度の不況に陥り、極左主導で各地で労働運動が起こると、
政府は義勇軍を送り容赦なく労働者を殺傷する。民主的な政府と労働者の
ための政権党をよそに、「極左派の盲動と極右的な軍人のテロリズムという
悪循環が
ドイツ各地でくりかえされた」のである。

一方、ナチスの拠点・ミュンヘン・バイエルンは保守的な土地である一方で、
最も早く王制を打倒しその勢いで左翼的な新政府(ドイツは割拠主義のため)を
樹立する。しかし返す刀ですぐさま右翼政権が生まれる。こうしてナチス台頭の
お膳立てがなされる。

しかしドイツ経済が復興に向かうと、急激にナチスは勢いを失う。共和国発足以来
5度目となる1928年5月の総選挙ではナチスは12議席しか得られず、もう一つの
右翼政党・国家人民党は1/3を失うこととなる。

ところが世界恐慌、再びどん底にドイツ経済が陥るや、絶好のチャンスがナチスに
訪れる。これで息を吹き返したナチスは一気に107議席とする。一方で国家人民
党は更に衰退。右翼政党がナチス一本に収斂されていったのである。他方、共産
党も第三党となり、社会民主党を極右と極左が追う体勢となる。
それでもナチスには伸びしろがまだあり、それは「罪を抽象的な資本主義に帰する
よりは、目に見える賠償やヴェルサイユ条約に
その原因を求める方がはるかに
理解しやすい
」がために、共産党に対して優位に立つからである。

そもそものワイマール共和国の混乱は早々に社会民主党が衰退したことであろう。
その原因を著者は「極左派は民主主義の確立ではなく社会主義の実現を望んだ。
そして社会主義とは彼らにおいては暴力革命であり、労働者階級の独裁であった。
たといその呼びかけが社会民主党下の労働者大衆の心をもかなりとらえたとしても、
それは国民全体としては決して多数ではなかった。そしてこの少数の独裁を貫徹
しようとしたことが、結局彼らとは別の意味で民主主義の反対者である軍人の勢力を
強化したのである。」(75)。

この部位は保守論客の林健太郎の、当時の日本の左翼運動への痛烈な批判と読む
ことが出来る。

【書物としてGOOD】 1963年

林 健太郎
ワイマル共和国―ヒトラーを出現させたもの

ナチズム

アドルフ・ヒトラー 」の前に書かれたものであるが、「アドルフ~」で
充分事足りる。

【他によいものがある】 1968年

村瀬 興雄
ナチズム―ドイツ保守主義の一系譜

山本周五郎のことば

心ない人の目にどう見えようとも、かれらも人間であり、
男であり女であった。」-「青べか物語」

毒草から薬を作りだしたように、悪い人間の中からも
善きものをひきだす努力をしなければならない、
人間は人間なんだ。」-「赤ひげ診療譚」

あたしは自分の子を育てるためならなんでもする、
紅白粉で皺も隠すし、必要があれば年もごまかす、
あたしが騙すんじゃなく、客のほうで騙されに来るんだ、
-「夜の辛夷」

世の中に男と女がある以上、男が女をおもい女が男を
おもうのは当然だろう。けれども、人間はそれだけで生きて
いけるものじゃあない、生きるためにはまず仕事というものが
あるし、人並みなことをしていたんでは満足に生きることは
できない。」-「おさん」

そういうすさんだ生活をして来た者の中には案外『世間知らず』
な人間がいるものである。」-「青べか物語」

スウェーデンの劇作家ストリンドベリイの「苦しみつつ、なおはたらけ、
安住を求めるな、この世は巡礼である」を浦安時代に人生の指針とした
周五郎らしい言葉の数々。

【時間つぶしにはGOOD】 2003年

清原 康正
山本周五郎のことば

ヘミングウェイの言葉

戦争ほど悪いことは他にはありませんよ
敗戦はもっと悪いぞ
そんなことは考えられません。敗戦ってなんです。家に帰れることですよ
-「武器よさらば」より

神聖、栄光、犠牲というような言葉や空々しい言い回しには、
いつも気恥ずかしさを覚える。
-「武器よさらば」より

【車窓からの眺めの方がマシ】 2005年

今村 楯夫
ヘミングウェイの言葉

目玉の学校

源平にしては驚きがない。
こちかたまった10代が読むにはいいかも知れない。

【時間つぶしにはGOOD】 ちくまプリマー新書 2005年

赤瀬川 原平
目玉の学校