初めての海外研修
今、俺は大阪伊丹空港を離陸し、日本海の上空を飛んでいる。スチュワーデスは中学生のような、ほっぺが真っ赤な女の子で、機内食を投げるように配ると、一番後ろのシートでみかんを食べながらトランプに興じている。社会主義国の中国では、サービスの概念が日本とはだいぶ違うらしい。
機内のトイレから出た俺は、満面の笑みで、視線は合わせず「仕事しろよ」と思わず言ってしまった。
上海虹橋空港は古い空港で、飛行機のタラップを降り、しばらく歩くと、建物の入り口には太いチェーンが巻かれ、南京錠がかけられている。その南京錠を、軍服姿の空港職員が鍵を開け、我々乗客を建物の中に通してくれた。無事に入国審査を終え、2階の国際線到着ロビーに着いた。
出口には、平賀支店長と端正な顔の青年が、A4の紙にマジックで「大阪貿易」と書いたものを持って待っていた。
「はじめまして。東京支…いや、東京分室の山本です。」
「人事部の上釜副部長からだいたいのことは聞いてるよ。」
「あの人のことだから、俺のこと悪く言ってたでしょう。」
「いやいや、東京で4年間一生懸命頑張ったので、たっぷり接待してくれって言ってたよ。」
「さあ、車を待たせてるから行こうや。」
虹橋空港の国際線到着は2階にある。1階に階段で降り、駐車場へ向かった。
駐車場には、中国で現地生産された黒色のアウディのセダンが止まっていた。
運転手の名前は謝(シエ)さん。生まれは俺と同じ1967年で、人民解放軍の出身とのこと。
体格は細身だが、がっちりしている。
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