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cb650r-eのブログ

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きくよ食堂へGO!

 

新千歳空港の出口では、安積さんが「大阪ビジネスコンサルタンツ様」と書かれたA4紙を胸に掲げて待っていてくれた。


 

「山本さん、お昼はまだですよね?」
「ええ。」
「海鮮、大丈夫ですか?」
「望むところです!」

いいですねぇ、と安積さん。

「空港にも美味しい海鮮の店はありますが、今日は私イチ押しの『きくよ食堂』に行きましょう。昭和31年(1956年)創業、函館朝市発祥の名店です。三色丼(うに・ほたて・いくら)は絶品ですよ。特にウニは無添加塩水生ウニで、薬臭さがないんです。」



「たまりませんねぇ。」思わず俺もつぶやいた。

早速、三色丼をいただく。

旨い。
旨すぎる、この丼ぶり。

「旨いですねぇ!」
思わず唸る俺に、
「でしょう。」と安積さんが満足そうにうなずく。

俺は心の中で叫んだ。
(よかった~! 旨いもん食えて。これで日帰り出張もテンションアゲアゲだぜ!)

 

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今回は日帰り⁉

 

「というわけで、北海道の北広島に飛んでください。」

「エスコンフィールドHOKKAIDOですか?」
「まぁ、それも見ていただいて構いませんが、まずは、北海銀行 ソリューション部の安積 真一さんを訪ねてください。」

「北海道ですか。楽しみだなぁ。」思わず声が漏れる俺。
「副部長、あいにく今回は日帰りです。」
「えー、マジですか!」
「往復航空券だけでも赤字案件ですが、まあ、実績作りです。」
 

「あ~ら副部長、残念ですね~。お楽しみの接待は無しということで。」
庶務の樫本さんがニヤリと笑う。

「仕事ですから、ちゃんとやりますよ。ご心配なく。」
俺は強がってみせた。

ということで、俺は伊丹から新千歳へ飛んだ。

 

 

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北海道GO!

 

5月下旬、木曜の夕方。
「山本副部長、ちょっとよろしいですか?」
「はい」
「ミニ・マネタイズ案件です。」
「はぁ」
「ずっと地方銀行の経営統合が続いてますよね。その絡みです。」
「何だと思います?」
「さあ、何でしょうか...。」
 

「店舗統合による空き店舗活用事例の調査です。」
千﨑部長が説明を続ける。
「銀行の支店は、駅前や目抜き通りなど好立地にありますが、これまでは銀行法で本業以外の活用が禁じられていました。」
成瀬部長が引き取る。
「それが2017年、監督指針の改正で、地域貢献に資する事業に限り、賃貸が可能になったんです。」
「なるほど。銀行も保有不動産の活用で、収益源を増やせるチャンスができたわけですね。」

 

 

 

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Nakanoshima Qross の見どころ

 

さて、話題は本題へ。
2024年6月にオープンした「Nakanoshima Qross」。
井村さんは、今度はスッとレジュメを取り出し、まるでニュースキャスターのように読み上げた。

1.目的
(1)「未来医療」を、ちゃんとビジネスにする。
(2)医療界 × 産業界、異色タッグのエコシステムづくり。
 

2.三本柱
(1)人材育成:起業家精神(アントレプレナーシップ)を叩き込む教育機能。
(2)インキュベーション:世界仕様でスタートアップを育てる温室。
(3)オープンイノベーション:国内外企業が手を組めるハブ。

3.具体的サポート
(1)資金調達から法規制対応まで、専門家チームが伴走。
(2)未来医療推進機構が、全力でバックアップ。
 

4.ワンストップ体制
(1)プレイヤー全員、同じ屋根の下で協業可能。
(2)再生医療のサプライチェーン全体をサポートする窓口も完備。
 

5.そして最終ゴールは…
(1)未来医療の産業化を、とにかく加速!
(2)日本から世界へ、医療で貢献!

ワインの残りを注ぎながら、井村さんが一言。
「……というわけで、期待して見学しておいで!」
「はいっ! お話を伺って、がぜん楽しみになってきました。本当にありがとうございます!」
彩が、満面の笑みで応えた。

 

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Nakanoshima Qrossに行く前に

 

料理が運ばれたとたん、井村さんが口早にしゃべりだした。

「じゃ、Nakanoshima Qrossに行く前に、日本の創薬ベンチャーがなぜ苦戦してるか、5つだけ覚えといてね。」
指を折りながら、テンポよく語りはじめた。

1.資金調達の壁
創薬って、ざっくり言うと10年・数十億円コース。しかもリスク高め。そんなものに喜んで投資したがる人、日本にはあんまりいない。
 

2.経験値の乏しさ
臨床とか薬事とか、ガチ勢が少ない。外資系で鍛えられたタフな人材も、なかなかベンチャーには来てくれない。


3.「出口」が見えない
M&AやIPOっていう"出口戦略"が見えないと、投資家は怖くて入れない。でも日本はM&A文化がまだまだ薄味。
 

4.制度が……うーん
規制多い。支援制度は悪くないけど、欧米に比べたらエコシステムが未発展。
 

5.研究とビジネスの断絶
研究はすごい。でもビジネスになるとからっきし。大学発ベンチャーほど、この橋渡しが苦手。

「なるほど、超わかりやすいです!」
彩が目を輝かせた。

 
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森君が指差す先には…。

 

森君はにこにこと笑って、言った。
 

「ほら。山ちゃん、見てごらんよ」

指差す先には…。




「高山植物。確か、『ミヤマキリシマ』とか言ってたな。」と森君。

 

「あぁ。」

 

「きれいだろう。」と森君

 

「そうだね。」

 

森君は、ちょっと真顔になって言った。

「べつに、速くなくてもいいじゃん。自分が楽しければ。」

「まさに、そうだね。」

 

「俺は今から、K-1に行ってくるよ。山ちゃんはどうする?」

 

「俺は、床屋に行って、白髪染めでもするよ」

 

そういって、森君とは別れた。

 

「相変わらず森君は、きれいなライディングフォームだなぁ」そう言いながら、俺はCBと帰路に就いた。

 

 

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久々の再会

 

「わ〜、彩ちゃん、久しぶり! すっかり立派になって!」
店に入るなり、井村さんが笑顔で声をかける。

「いえいえ、まだ国試前のひよっこ学生です(笑)」
「でももう臨床研修始まってるんでしょ?」
「はい、今日は大阪北病院で手術の見学をしてきました!」

「キャ〜、こわ〜い!」
井村さんが大げさに肩をすくめ、テーブルが和んだ。

「彩、大阪北病院は、この井村さんが建てたんだぞ」と、俺は真顔で言った。

 

「いやいや、ちょっとコンサルしただけですって。」

井村さんが、照れ笑いしながら手を振った。

 

「でもなぁ、あの案件は大変だったよなぁ……。」

俺は、しみじみと言葉を継いだ。

 

テーブルに、ほんの少し静かな間が落ちた。

 

そして井村さんが、ぱっと空気を切り替えるように言った。

「さ、料理頼みましょ。えっと……田舎風パテに、岩ガキ、ボルシチ、フィッシャーマンズ・サンド、あと桜エビとアスパラのパスタ、どう?」「全部、いきましょう!」

 

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K-3(上り編)。

 

天気は上場、だったのだが。
ただ、昨日の雨の名残が木陰の路面にまだ残っていて、一部が濡れている。
しかも、さっきから薄霧が湧いてきて、前がちょっと白んで見える。いかにも「無理すれば事故るぞ」って雰囲気だ。

CB650R e-clutch は、優れたマシンだ。特にコーナリング性能は抜群で、思い通りにしなやかに曲がる。
ただし——それは“上手い人”が乗った場合の話だ。
俺みたいなリターンライダーが、力任せに操ろうとすると、CBは「知らんがな!」とでも言いたげに挙動を乱す。

上りのヘアピンカーブ。立ち上がりでアクセルを開けた瞬間、リアがほんのわずかにスライドした。
ますます、アクセルワークが委縮する。

 


頂上の展望台で、森君が腕を組んで俺の方を見下ろしている。
相変わらず背筋がまっすぐで、あいつの乗る姿勢そのものだ。

ようやく辿り着いた俺に、森君が近づいてきて声をかけた。

「山ちゃん、俺、安心したよ」

「何が?」

「山ちゃん、普通のおじさんツーリングライダーになったんだね」

一瞬、返す言葉が見つからなかった。
“攻めた”つもりだった。俺の中では、あれでも今できる精いっぱいのライディングだった。
でも、森君の目には、ただののんびり峠を流す“おじさん”に映ったらしい。

「……」
俺は黙ったまま、メットを脱ぎ、顔に当たる風を感じた。ゴールデンウィーク明けにもかかわらず、ここに吹く風は冷たい。

森君はにこにこと笑って、言った。

「ほら。山ちゃん、見てごらんよ」

指差す先には…。

 

 

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Nakanoshima QrossへGO!


5月下旬、日曜日。
初夏の陽光が、街をやわらかく包み込んでいた。
「ねえお父さん、『Nakanoshima Qross』って知ってる?」
娘の彩(医学部5年)が、唐突に話しかけてきた。
 

「中之島の? ああ、医療介護コンサルタントグループにいた頃、名前だけはよく耳にしたな。たしか担当は井村さんだったような……。何かあったのか?」
「実地研修の一環で、見学に行くことになったの。施設の中をざっと見るだけだけどね。」
「ああ、そうか。たしか『未来医療推進機構』が運営してるんだよな。理事長は、阪大の名誉教授の澤先生だったっけ。」
「だからさ、行く前にちゃんと話を聞いておきたくて。井村さんにお願いできない?」
 

即、連絡。
かつての戦友・井村さんとは、翌日の月曜、会社近くの多国籍料理店「HARBIN」で落ち合うことになった。

 

 

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K-3(下り編)。

 

頂上の展望台に森君を残し、俺はひとり、K-3を下っていく。
強いて言えば、俺にとって CB650R e-clutch は、「下り」のほうが神経を使う。

この道を走るのは今回が初めてだ。上っては来たものの、下りとなると話は別。
CB650R e-clutch のメーターに目をやると、ちょうど「3,000km」を超えたところ。
新しい相棒にも、ようやく“慣れてきた”と言っていいかもしれない。

このバイクのコーナリング性能が優れているのは間違いない。
しかし、下りの連続ヘアピン……そんな場面は、俺には記憶がない。

同じようなカーブが、左右交互に飽きもせず襲ってくる。
「コースを覚える」という感覚もない。ただ、目の前に現れるカーブを一つずつ、なんとかこなすのみ。

 


「ちょっと楽しくなってきたかも」
そう思い始めた頃には、もう麓の神社前の駐車場に着いていた。

老眼鏡なしで新聞を読む——そんな、ラストトライに向かう。
俺は CB を K-3 の頂上に向けて、再び走り出した。

 

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