『yokubari』所収の軽快なアップテンポのナンバーである。この「Call Me」は、おそらくアルバムA面のラストの曲である。「おそらく」と言うのは、私はCDしか持っておらず、当時の曖昧な記憶であるからだ。今回このブログを書くに当たって、ネットでアナログ盤をあたってみたが、A面B面に分けての記載は見当たらなかった。このアルバムは9曲収録と半端であり、「最初の恋人達」が真ん中の5曲目なのだが、A面ラストとB面トップの両方の可能性が考えられる。それでもなお、4曲目に入っているこの「Call Me」をA面ラストではないか、と考える根拠は、①曲調と、②シングル曲の配置、である。
(アナログ盤『yokubari』をお持ちの先輩諸兄、是非ご教示ください!)
LPに親しんだ同年輩の方ならご理解いただけると思うが、レコードをA面からB面へ「ひっくり返す」作業は、一種のブレイク的な意味を持っていた。そのことが、アルバム作り、曲順の設定にも影響していたと思うのだ。特に、ブレイク前後のA面ラスト、B面トップの選曲には明らかな意図が感じられた。
宏美さんのアナログ盤のオリジナル・アルバムを見ると、A面ラストには、やはりA面を締めくくるような楽曲が配置されているように思う。また、余韻を大事にするためか、フェイドアウトの曲が多いような気がして調べてみた。宏美さんのオリジナル・アルバム(アナログ盤)で、不確かなこの『yokubari』を除いて、18枚中なんと12曲まで、A面ラストはフェイドアウトの曲であった。ちなみにフェイドアウトの曲数は、ファースト・アルバムの『あおぞら』では11曲中3曲、この『yokubari』では9曲中4曲、最新の『PRESENT for you * for me』では10曲中ゼロである。B面のオーラスは、19枚のアルバム中フェイドアウトは8曲である。時代により流行り廃れはあるだろうが、やはりA面ラストにはフェイドアウト曲が多い、と言って良いのではないだろうか。
B面トップにはシングルA面や、インパクトの強い楽曲、流れを変えるような歌が配置されていることが多い。シンデレラ・ハネムーン、女優、素敵な気持ち、月光、小さな旅、聞こえてくるラプソディー、の6曲がシングル。私の考えが合っていれば、そこに「最初の恋人達」も加わる。他にも、パパにそむいて、何かが起こりそうな朝、ひまわり、I LIKE SEIJO 等、錚々たるラインナップである。
さて、前置きが長くなりすぎた。「Call Me」についてである。草花シリーズの頃から、次第に宏美さんのシングルに占めるバラード率が高くなってくる。この『yokubari』の頃になると、思わず手拍子しちゃうような曲は、アルバム曲でも減ってくる。そういう意味で、遠藤京子さん作詞作曲(アレンジは山川エッちゃん!)のこの曲は、久々に“ゴキゲンな”“ノリノリの”曲である。以下、私の頭の中のバーチャル・ライブである。
イントロが鳴り始めると客席から手拍子。いきなり頭サビの「♪ Call me 好きです あなたの事が〜」ではコールが聞こえてくるようだ。「♪ 甘い思い出に ジェラシーを〜」からは、リズムパターンが変わるので、親衛隊が別パターンの手拍子を要求しそう。「♪ ああ 今夜止めないで」のキメの宏美節のところは、ペンライトもキメが入るんじゃないか。こんなことをイメージしながら聴くのも楽しい。
実際には、残念ながら私はこの「Call Me」は、テレビでもライブでも聴く機会がなかった。夜のヒットスタジオで「Call Me」を歌う予定だったのを、宏美さんの強い希望で「二人をすべて」に変更した、とファンクラブの会報に書かれていた。「二人をすべて」も貴重なる名唱だったので文句の言いようがないのだが、贅沢を言えば両方とも聴きたかった。😜
私のコンサートメモでは、87年3月の次が88年5月に飛んでいる。この間、『レ・ミゼラブル』のロングランがあったので、別のツアーはなかったのかも知れない。88年のツアーでは、『yokubari』からは「月とシャボン」「願い」の2曲しか歌われていないのだ。
もしもーー。今後コンサートでこの歌が突如歌われることがあったら、と夢想する。間違いなく私は号泣しながら、全身で手拍子を取ることだろう。
(1987.4.21 アルバム『yokubari』収録)
【追記 2020.7.16】お騒がせしましたm(_ _)m 紙ジャケを見たら判るのでは?というご指摘をいただき、見てみたらあっさり判明しました。私の思っていた通りでした。紙ジャケの存在に気づかなかった私が愚かでした。😅💦