ある本を読んでいると、
- 『「死ぬほどつらい経験は人を強くする」とニーチェは語った』
との文がありました。
ホンマかいな?
死ぬほど辛い経験なんてトラウマにしかならんやろ
と一人ツッコミ。


なんだか違和感があったので調べてみました。










どうやら出典はこれのようです。
ニーチェ全集14『Goetzen Daemmerung』
(邦題「偶像の黄昏」)
ドイツ語(原文)
- Was mich nicht umbringt, macht mich stärker.
- 私を殺さないものは、私を強くしてくれるのです。(Google翻訳)
日本語
- 私を殺さないものは、私をいっそう強くする。(ちくま学芸文庫 「偶像の黄昏」原佑訳)
原文のドイツ語をGoogle翻訳したものや、ちくま学芸文庫の和訳を見る限り、どこにも「死ぬほどつらい経験は…」って書いてないやん
<ツッコミ











しかし

ドイツ語を訳した英文をGoogle翻訳で和訳すると、こうなるようです。
- What doesn’t kill you makes you stronger.
- 逆境はあなたを強くするだけ。(Google翻訳)
なんかいきなり翻訳内容が変わった気が…。










こうして日本語に翻訳するときに、意訳したものが以下のようになる様子です。
- 死ぬほどつらい経験は人を強くする。
- どんな経験も人を強くする。
- 生きるか死ぬかの経験こそ人を強くする。
- 命があってこそ強く生きることができる。
- 常に命がけで挑むことによって強くなれる。
- 死なない程度の困難は人を強くする。
- 死んでしまいそうなつらい経験も、乗り越えることができれば人は強くなれる。
- 困難につぶされなければ、人はその経験によって強くなれる。
- 生ある限り、全てが試練だ。
こんな翻訳っていいのかなあ…











ドイツ語は分からないので、英語で判断せざるを得ないんですけど、ともあれ単純に直訳でいいんじゃないの?と思います。
- Was mich nicht umbringt, macht mich stärker.
- What doesn’t kill you makes you stronger.
- あなたを殺さないモノは、あなたを強くする。
つまりこの文が意図しているのは、逆境かどうかは関係なく、どんなものであっても自身を成長させてくれますよ…という意味では?
と思いました。











更に、下記のような言葉の意味に近いことをニーチェは言ったのではないかと思います。
- 禅語「直心是道場」
- 吉川英治氏「我以外皆我師(宮本武蔵)」
- 松下幸之助氏「学ぶ心さえあれば、万物に学べる」










最初に戻ります

ここは松下幸之助さんに倣って、今読んでる本は下記のように読み替えていいんじゃないかなあ。
『「死ぬほどつらい経験は人を強くする」とニーチェは語った』

『「(人は)学ぶ心さえあれば、万物に学べる」と松下幸之助は語った』










人生には山と谷があって、この人生の谷のことを「成長の谷間」と呼ぶことがあります。
このように、確かに「死ぬほどつらい経験は人を強くする」ことはあると思いますし、時にこの和訳に救われる人がいるのも想像できます。
が、それはさておき、ニーチェさんが言ったことは、もう少し緩く受け取っていいんじゃないかなあ?

…え?甘い?

やっぱり死ぬほどつらい経験を積極的にしないとダメ?

…ゲホッ


