徐々にリキュール製造に力を入れ始めた彼らがマルケージと出会うのが1980年。意気投合した彼らが製造したのがマルケージ用のコーディアルリキュール、キナ、アマーロ、そしてこのRosolioだったのです。有難い事に、CarlottoのHPの歴史欄には未だにマルケージとの出会い(L’incontro con Marchesi)が大きく掲載されています。本当に嬉しい限り。
しかし、トスカーナの中でも最高の海抜(標高)を誇るこの地・畑では、SvよりもPNの栽培に適していたのは明白で、昔はともかく、醸造技術の進歩によりPN100%でも十分な作品が造れる様になった今日では、Svなどの生産を止めPNに絞った事は賢明な判断だと思います。当時でも、他社のSv100% Vino da Tavola路線とは異なる、優美且つおっとり感に溢れており、当時のパワフル赤全盛の中では、非常に上品な印象でした。
さてこのPomino Rossoもトスカーナ奇跡のヴィンテージ1985の恩恵を得てTreBicchieriを受賞しますが、元来パワー系ではない酒質なので、1985以降はTreBicchieri受賞が途切れます。そうですね、1985の評価は元来上品なこのワインには例外的な事例でしたが、それでも、このワインに対する我々の信頼度はそれ以降も変わりませんでした。当時は、同様の酒質を持ちつつも安定供給を誇ったTignanelloやCabreo Il Borgoと共に数多くの店で活躍しました。
Tenuta Pominoはポミーノ城が建造された1500年に出来上がります。高い標高の畑位置を誇り、そこで造られるブドウとワインは評判の高い物でした。1716年、メディチ大公コジモ3世がトスカーナで最も評価の高い四大ワイン産地を書き記した、あの有名な文献にもChianti、Carmignano、Valdarno di Sopraと共にPominoの名が列記されています。元来はPominoの名前の由来であるPomo(古代イタリア語でりんごの意)の産地として有名であり、冷涼な気候条件を好都合としたシャルドネやピノ・ネーロが早くも1855年に植樹されます。
Ferrari-Giulio Ferrari Riserva del Fondatore 1980 その2
前回の続きです。
創業者のGiulio Ferrariは1879年にトレンティーノ地方生。イタリアにおける重要な醸造学校の一つ、Istituto Agrario di San Michele All'Adige卒業。その後、仏モンペリエ、更に有名な独ガイゼンハイムでも学びます。学ぶ上で、シャルドネを使用したシャンパーニュタイプが地元での生産に適していると気づき、帰国と共に生産を開始します。つまりFranciacortaと同様に、地場における伝統的なワインでは無かったのですね。