特別編 カルロット:ロゾーリオ ディ グアルティエロ マルケージ | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol. 109

Distillati&Liquori di Gualtiero Marchesi

Carlotto-Il Rosolio di Gualtiero Marchesi

 

今回はマルケージのワゴンからリキュールを一本ご紹介しましょう。Rosolio、生産者はCarlottoです。

 

イタリアに渡ってから、彼の地で沢山のリキュールを覚えましたが、古式ゆかしい製法とエティケッタが特徴のCarlottoの製品に触れられた事は、私にとって大きな財産の一つです。

早くにマルケージと友好関係を築いた彼らは、濃厚且つ良質なリキュールの数々をマルケージに優先的に提供し、またマルケージのオリジナルラベル商品の開発にも尽力してくれました。その一本が今回ご紹介するIl Rosolio di Gualtiero Marchesi です。

 

Carlottoの歴史です。

1800年代、ハンガリーをオリジンとする創始者がヴェネトに店舗を構え、パティスリーとローズオイルを生産し始めた事が最初です。良質のブルガリアローズを使用したローズオイルは非常に人気が高く、その製法を基に1883年にはバラのリキュール『Rosolio』のオリジナルリチェッタが書かれます。以来、このリチェッタは門外不出、今でもこの時の使用原料・量・製法はCarlotto家によって守られ・受け継がれています。

徐々にリキュール製造に力を入れ始めた彼らがマルケージと出会うのが1980年。意気投合した彼らが製造したのがマルケージ用のコーディアルリキュール、キナ、アマーロ、そしてこのRosolioだったのです。有難い事に、CarlottoのHPの歴史欄には未だにマルケージとの出会い(L’incontro con Marchesi)が大きく掲載されています。本当に嬉しい限り。

 

Carlotto HP http://www.carlotto.it/

 

さて、現在においてRosolioがこの世に何種類存在するのかは知りませんが、これがオリジンである事には疑いない。とにかくバラの薫りが鮮烈・強烈。甘味とアルコールのバランスが良く、27℃という度数が全く気になりません。特に薫りの飛び方・伸び方が強いヨーロッパでの薫りの拡散具合は優雅且つ華麗です。

お客様前での開栓・サービス時には、薫りに気付かれた他の女性のお客様から『何をサービスしているの』とのお声がかりが非常に多く、その度にRosolioの説明とマルケージとのなれそめをお話ししておりました。

Carlottoは10ml程を冷やして飲むのも良し、フォンダンショコラに入れるも良し、とお勧めしていますが、この薫りを他の薫りでマスキングしてしまうのは勿体ない。個人的には常温で十分。飲みにくければ丸氷で。

マルケージブランドのRosolioはCarlottoのRosolioより柔らかい出来。万人向けの量販品に仕立てられてはいましたが、それでもRosolio未体験の私には、これとのの出会いが深く心に刺さりました。当然、日本行きコレクションに加えられましたが、随分前に飲んだのか、空瓶さえ見つからない。でも写真の通り、マルケージのマーク『7色のペンタッチ』、白いエティケッタ、クリア瓶、ローズピンクの液色(実物はもっと濃いピンクです)、全てが格好良かった一本でもありました。

 

調べるとCarlottoのリキュールはまだ日本未輸入らしい。リキュールの輸入が難しい事は確かですが、勿体ない。

Carlottoのポートフォリオにはザバイオーネ、古来製法で造られた虫入りのアルケルメス等があり、日本への手土産に最適とばかり帰国の手荷物に入れ込んだのですが、ザバイオーネ瓶が鞄内でカチ割れ、空港でちょっとした異臭騒ぎになったのは、今となっては笑い話。何せ強烈な卵とマルサラの薫りが漂う搭乗ロビー。時間ギリギリの為、洗い流す暇もなく、仕方なくビニール袋に割れた瓶をそのままジャリジャリと包み入れましたが、Aeroporto Linateで、ほかほかと美味そうな薫りを漂させながらも素知らぬ顔をしていたのは、何を隠そう、この私です。

 

この項 了。

Il Rosolio di Gualtiero Marchesi by Carlotto カルロット ロゾーリオ マルケージ

ロゾーリオ コーディアルと共に

Carlotto Rosolio カルロット ロゾーリオ オリジナル

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