チェレット:バルバレスコ ブリッコ アジリ 1985 その2 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.108

Ceretto-Barbaresco Bricco Asili 1985 その2

 

Bricco Asili。

なだらかな丘陵の頂上部分で風上なので、他社の農薬散布の影響を受けにくく、現在はBIOで栽培。以降、味に磨きがかかり、より繊細に、よりシャープに、より細部まで表現できるようになった、とはFederico Cerettoの談です(2018年初夏・名古屋にて)。

元来、CerettoのBarolo&Barbarescoはニュアンス勝負なので、BIOやその周辺の考え方には合意しやすいと思います。Barbarescoに関しては、南だれのBernadotや、かつてのRabaja(同じく南だれ)に比べ、Asiliの持ち味は繊細さですね。

飲む度に上品な造りと奥行きの深さを実感します。畑の拡張などを行わず、密植度とresaの調整を行い、現在はBIO導入にて高品質を維持しています。後は生産者の理想スタイルと我々の嗜好が合致するかどうかですが、Asiliに関しては、ざっくりB.Giacosa、P.del Barbaresco、Ca’del Baio、Roagna-I Paglieriに比べ、私は圧倒的にAsili Cerettoを選び飲んだ回数が多いです。つまり、私の好みなのですね。

 

この先のBricco Asiliはどうなるか?生産本数を増やす?Asiliはご存知の通り超人気クリュ。特にCerettoが所有する丘陵頂上Bricco Asili近くの拡張は難しい。(ちょっと条件の悪い)北東側斜面の生産者畑を買収拡張するとは思えず、とすると南側にはP.del BarbarescoとB.Giacosaになりますが、両者共に看板ワイン(僅かにB.Giacosaに可能性ありか。御大のご逝去という大きな問題を解決できずにいますね)。

古くなったAz.Agr.Bricco Asiliを他所に移転させ、跡地を畑にするというアイディアはありますが、それよりもAsiliに拘らずBernadotの様にBarbaresco内の他クリュを購入するほうが簡単そうです(個人的にはSerraboellaをお勧めしたい)。

 

企業全体で考えれば、豊富な資金、量産ワインの供給安定、カンティーナツアー客の取り込む、三つ星レストラン(Piazza Duomo)の経営等、ビジネスセンスも抜群です。更に後継者も育ち、そしてピエモンテ生産者の弱点の一つ・欧米へのマーケティングも早い段階でクリアしています。今後益々発展すると思います。

 

90年代、イタリアで運よく労働許可証を取得できた私は、イタリアで就職活動を行っていました。履歴書と職務経歴書を店のPCで作成し、ミシュランを見て片っ端から郵送、携帯など無かったので、家の電話が鳴るのを待ったものです。

 

はい、現在のイタリアは大変な状況ですが、それでも、そこで働いてみたいなと思っています。

好きなのですね、イタリアが。

 

この項 了。

Ceretto-Barbaresco Bricco Asili バルバレスコ ブリッコ アジリ

Bricco Asili ブリッコ アジリを上空から

Bricco Asili ブリッコ アジリ 立体図

Bricco Asili ブリッコ アジリ 畑展開図

Az.Agr.Bricco Asili ブリッコ アジリ醸造所

ブリッコ アジリ 北側目印の教会。この三叉路を左に進んで下さい