フェッラーリ:ジュリオ フェッラーリ リゼルヴァ デル フォンダトーレ 1980 その2 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.104

Ferrari-Giulio Ferrari Riserva del Fondatore 1980 その2

 

前回の続きです。

 

創業者のGiulio Ferrariは1879年にトレンティーノ地方生。イタリアにおける重要な醸造学校の一つ、Istituto Agrario di San Michele All'Adige卒業。その後、仏モンペリエ、更に有名な独ガイゼンハイムでも学びます。学ぶ上で、シャルドネを使用したシャンパーニュタイプが地元での生産に適していると気づき、帰国と共に生産を開始します。つまりFranciacortaと同様に、地場における伝統的なワインでは無かったのですね。

 

1902年に会社を設立・生産後、彼の作品は瞬く間に人気となりますが、スパークリングワインの長期熟成という概念は第二次世界大戦時・カンティーナの長期閉鎖を余儀なく行った時に生まれました。約7年の間閉鎖されたカンティーナに眠っていたスパークリングワインを大戦後に抜栓したところ、止むを得ず行った長期熟成のおかげで非常に複雑な旨味を持っていたのです。

 

跡取りに恵まれなかったGiulio Ferrariは1952年に知り合いの地場の酒屋を営むLunelli家に会社を売却します。1980年にLunelli家がようやく長期熟成スパークリングワインの商品化を実現してヴィンテージ1972をリリースした時、創業者に敬意を表し彼の名前を付け販売したのがこの作品の始まりで、以降イタリアスパークリングワインの最高峰の一本として長く君臨します。

これで三つの質問にお答えできたでしょうか?

 

唯一シャンパーニュ(特にブラン・ド・ブラン)に対抗できるイタリアのスパークリングははこれしか無いでしょう。我がFranciacortaは甘さがしばし欠点になりますが、Ferrariは微塵も無く『酸』『コク』『複雑さ』を高度な次元で持ち、ブレの無い『スタイルの持続性』も堅牢です。Trentoという絶妙な土地特性(緯度・日照条件・海抜500m)と長期熟成が『酸』『コク』『複雑さ』を生み出し、、『スタイルの持続性』については良年のみCh100という構成が可能としています。そしてこの四つを可能とする豊富な資金力が(伊発泡性ワインのシェア30%を生産)、シャンパーニュに対抗しうる商品を造り続ける力になっています。

前回も書きましたが、リリース直後が最高の飲み頃でしょう。それ以上の瓶熟成は必要無く早めに飲んでしまい事。重く複雑な味わいを愉しみたいのであれば、泡が元気な時がベストだと個人的に思います。

 

あんまり褒めるとFranciacortaが焼きもちやくので、ここらへんで。

 

この項 了。

 

Ferrari Cantina

Giulio Ferrari

Riserva del Fondatore 現行品テクニカルシート