フレスコバルディ:ポミーノ ロッソ 1985 その2 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol. 106

Frescobaldi-Pomino Rosso 1985 その2

 

Pomino Rosso。今回で締めましょう。

Pomino Rossoは1983年にリリースされます。

数多いポートフォリオを誇りつつもChianti等DOC(G)のクラシック路線を得意としたFrescobaldiが、スーパータスカンの時流に乗ったスタイルのワインを最高の畑から白赤共にリリースしたのです。文句なしの旨さと高品質を誇るワインが比較的手頃な価格で、しかも超有名なワイナリーから年々安定供給されたのです。昔も現在も看板ワインの一つであるPomino Bianco=シャルドネと共に一大人気ワインとなりましたが、赤は2006年を最後に生産中止となり、現在はピノ・ネーロを全面にリリースする様になります。

 

Pomino Rossoの品種構成はSvが核となり、そこにボルドー品種のCS,Meとブルゴーニュ品種のPNを混ぜるという独特な構成です(現在のPomino Rosso DOCの原型)。

伊ではかつてLungarottiがCSとPNを半分ずつ混ぜた赤ワインを生産していた事があり、CSとPNの混醸はさほど珍しい事ではありません。

しかし、トスカーナの中でも最高の海抜(標高)を誇るこの地・畑では、SvよりもPNの栽培に適していたのは明白で、昔はともかく、醸造技術の進歩によりPN100%でも十分な作品が造れる様になった今日では、Svなどの生産を止めPNに絞った事は賢明な判断だと思います。当時でも、他社のSv100% Vino da Tavola路線とは異なる、優美且つおっとり感に溢れており、当時のパワフル赤全盛の中では、非常に上品な印象でした。

 

さてこのPomino Rossoもトスカーナ奇跡のヴィンテージ1985の恩恵を得てTreBicchieriを受賞しますが、元来パワー系ではない酒質なので、1985以降はTreBicchieri受賞が途切れます。そうですね、1985の評価は元来上品なこのワインには例外的な事例でしたが、それでも、このワインに対する我々の信頼度はそれ以降も変わりませんでした。当時は、同様の酒質を持ちつつも安定供給を誇ったTignanelloやCabreo Il Borgoと共に数多くの店で活躍しました。

 

皆さん、このワインの事、ちょっと忘れていませんでしたか?

どっかで見つけたら、是非飲んであげて下さい。

今も昔と変わらず、とっても上品で美味い筈です。

 

この項 了。

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Frescobaldi   Tenuta Pomino    フレスコバルディ テヌータ ポミーノ カンティーナ内

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