すかいうぉーかー -76ページ目

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND

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成人間近の一児の母にして、車工房を営む86乗りは
お世辞抜きで、40半ばになってますます妖艶で綺麗になっていた



「パツ~ドキドキ



熱いハグを受けながら挨拶をし
俺にとっての“部長”の横に座る

毎月タイに買い付けに行くハコスカ乗り
「娘が可愛い」と言いながら、3ゲージのホールピアスをいじくり「千葉に別荘を買って、木工細工に凝っている」と笑う


俺が人生で「怖い」と思った3人の内の1人がだ






尻のポケットに競馬新聞を突っ込んだ同輩は エンジンを下ろした事もない現役の若僧に向かって「メガネが入らないなら、サンダーで2つに斬るんだよ!」と尻を叩き



頼りなかった後輩は、日光の「裏3発」について飄々と語る

33やS14を手足のように扱い、多分ドリフトの腕は 現役時代の俺を遥かに凌ぐ








皆変わらない
そして、きちんと年月を重ねていた







そして
遅れて行った俺は、すっかり「伝説の人」に担ぎ上げられていた


七曲がりで崖から落ちて、カーステを外しに戻った人

漬け物石みたいなデカい石で割られたサンルーフにゴミ袋をガムテで貼って、戦後最大の台風を乗り切った人

信号待ちでクラクションを鳴らされて、フルスモークのセルシオのミラーを蹴り割った人

渋公前の坂で、タクシーに当て逃げした人






苦笑いしか出ない

速いとか、格好いいとかが微塵もないじゃないか

確かに嘘では無いが、なんつーかもうちょっとこう・・・







「別に、怖くないだろ?汗




「はい汗






とまどう20代の草食系










今の時代
マフラーもホイールも車高調も、驚くぐらい安く買えるそうだ
オークションなんてもんもあるしな

白バイにジャッキアップさせられて、サンダーで切ったバネをガチャガチャやられる事もない


同じハチロク、180、S14を乗り回していても
確実に時代は移り変わっている


ドリフトはエビスで

デフは1.5と2の違いも知らず

ドライブシャフトが欲しくて、千葉で乗り捨て車両があったからと、皆でウマや工具を持って夜中に出動する事もない












「君達見てると、古き良き時代なんて言葉が出て来ちゃうよ」




先輩

そのまま、更に美しく
ガキどもを導く“お母ちゃん”で居て下さい








俺は、相変わらず
半人前ですが



若僧の天狗の鼻ぐらいなら
まっ2つにへし折れますから(苦笑)





 













「700馬力、筑波58秒は伊達じゃないですね、楽しめました」







「もう、あそこは走らないんですか?」








「やっぱり、あなたの周りには特殊な人が集まってくるね」










“引退”なんて言葉自体が仰々しいが





添付された画像には、薄暗い芝浦らしきパーキングの中で
一般とはかけ離れた姿の2灯の4つ輪が、静かに佇んでいた




愚かな行為


だが、胸が踊る




実際、俺はあそこには大した回数は行っていない

ただ
MやKが毎日のように通っていた時期も
他の奴等が、年に数回しか走らなかった時期も

変わらず、一定のペースで
“行きたい”と思った日に上がっていただけで

それも、ディープな時間帯でも週末でもなく、平日の日付が変わる前後に 1人でサラッと走って帰っていた





あそこは悪魔が棲んでいる

飛ばしたい奴の衝動を掻き立て、見栄やプライドを煽って 冗談でも何でもない本物の“死”に引きずり込む





勿論、誰だって死にたかぁない

だが、ふと 誘惑されるのだ
「速くなりたい」「他人に事の優劣を突き付けたい」



それが、リズムを・判断を・マージンの厳守を狂わせる






1人でってのは、そういう事だ

誰とも絡まずに、出したい速度で無心で走る





日々変わるギャップの位置や、気温・風速
落下物に停止車両

いきなり車線変更する四つ輪


そんな状況の中で、140~50から200後半を出して





危なくない訳が無いじゃないか












危ないから、やるんだ













バイクで飛ばしたくもなんともない人間には、何の価値もないだろう


だが、俺にはその価値は分かる





それでも
俺には、あの場所は怖かった


怖かったからこそ、行っていたのだ
そんな怖さの中で、ドップリと危険に浸かりながら 自分の腕と経験を磨いて、暴風のように走るのが 何よりも楽しかったから




速くはなりたかった
でも、他人はどうでも良かった

基準すら曖昧だが
ある日、ある時点で 俺より速い人もいるし遅い人もいるだろうが

それは、俺が速くなっていけば変動するし
勝てない人間に、その場でどうこうしようとしても意味は無い




俺は最初から、あそこでトップクラスに居る人達にも、あの場所自体にも畏敬の念を持っていたし

そういう風になりたいとは思っていても、何が何でも勝ちたいとはならなかったのだ




一緒に走れば、なんとなく分かる

2回・3回と走れば、もっと分かる




たまたま絡んで、本気で殺し合った事もあるが

そういう気分になれない時や、“怖いと感じるライン”を越えそうになった時

何よりも“ノリが合わない”と感じた時には、必ず退いた



何処よりも、あそこで転ぶのが怖かったから










だから


俺なんて、大した事無い筈なんだ




結婚を機にスッパリ止めた

そりゃあそうだろう






だが





















ひしゃげたアルミニウム缶



コレは、あなたに似てるわね












すかいうぉーかー






































・・・冗談じゃないっつーの







 






Rさんに誘われ、ゆったり10:30に石川PAへ

この人は、話を聞いてると 本当に年中走っている



今日は、もう1人GSX‐R1000が来ていた


当たりの柔らかい、人の良さそうな若い人だが
雰囲気で「走って来た人」なのが分かる



「首都高とサーキットを10年」


もう、それだけ聞けば充分である(笑)




この前と同じルート
都留で降りて、裏道のような峠を登って行く

「峠暦も無いんですが、タイヤに頼らない走りを練習中なんです」と、グレードの低いタイヤを履いている彼
Rさんの後ろを譲ると、ピッタリ付けて綺麗にラインをトレースし始めた


速くは無いが遅くもないペース

気温は高くないが 強めの日差しが包む陽だまり


ゆったりとした気持ちで、少し重たい瞼を開けながら、黄色から赤へと色づき始めた山間部を走り抜けて行く




初対面の人の後ろというのは面白い
本当に峠は始めたばかりなのか、タイヤがついて来ないのか
一生懸命にRさんの走りをコピーしようとしているみたいだ

それでも

姿勢の作り方や、足の開き方
目線の向け方etc.


人それぞれの違いが、走って来た年輪の上に出来上がっていて
「へ~」「ほうほう」などと思いながらついて行く



勿論、車体やサスペンション・体格などの違いもあるのだろうが
真摯に速くなろうとしているのが伝わって来る








(俺も必死だったなぁ)





あれこれ考えて、質問して、本まで読んで

まあ、俺の場合は走ってる最中など 目を三角にしていたので あんまり考えて走れてはいなかったのだが



でも、今でも俺なんかまだまだである
ようやく最近になって、ある程度“自分の走り方”みたいな物が出来上がりつつあるのは感じるのだが
何しろ 根が行き当たりばったりなので、あまり良く分かっていない



一つだけ言えるのは 「楽しくない時間」 が無くなって来たって事だ



キツいヘアピンだろうが、勾配の急な下りだろうが、延々続くブラインドだろうが、いきなりの対向車だろうが


特にストレスを感じる事もなく
気持ち良く曲がれる態勢をきちんとプロデュースして、走れるようになっている



バイクに対する体の“座り”

視界や風や音などの情報の中に、どう意識を投げて、どう走るか


その辺が確立されていれば
こういう感じになれるんじゃないだろうか





彼が今、どんな感じで走っているのかは分からないが


そんな事を考えながら、普通に走っていられるようになった自分を再確認するきっかけを貰った気がした







「奥多摩周遊」は工事だらけで走れたもんじゃなかったが

それでも、車を抜きながらそれなりにアクセルは開け

あっという間に都民の森に着いて、ひとしきり話し込む



彼は、かなり真面目に色々考えているらしい
懐かしさと好感に、フンワリした気持ちで話を聞く


「S字の切り返しで、サスが戻って来るのを抑えた切り返し方」とか
言葉にされると、自分はいつもどうやってたかなぁとか考えてしまい、妙に感心してしまった


今、こうして思い出しながら書いている分には

多分、エンブレやフロントブレーキで抑えていたり、切り替えしたいポイントよりも先に向き変えを始めていて、遠心力をかけてサスの伸びを抑えていたりとか・・・してる・・・ような?(笑)





それなりの「オフレコ話」なども交え










Rさん「そろそろ行きますか」













また、それなりのペース


帰り始めた車の渋滞を追い越しながら
まあ、某“線”をはみ出したりもする訳だが

















何か向こうの方で

対向車線側に白いオートバイが居ますね



あー、なんか言ってますね
手招きしながら


なんか、赤い光が眩しいし

随分大きな声だなぁ




















ドン














さすがは、首都高の常連

いきなり「喧嘩上等」なオーラが噴き出した






































俺、何年ぶりだっけか

(自主規制)バイ ブッチしたの汗









 






足りなかった

何もかもがだ





見捨てられても、おかしくないぐらいに





人は常に分岐を通る
絶対に両方には行けず、両方は手に入らない

そうして、轍が刻まれて行き
その人が出来上がって行く




「簡単」とか「楽」とか

そっちは確かに魅力的だ
でも、何処かで ふと気がつくチャンスがある


違う
あれじゃない と



目を背けるか?
ドップリ使って、諦めるか?

辛くて情けなくて逃げ出したくて
でも逃げたくなくて






100頑張って1しか手に入らなくても
限りなく重みのある、純粋なソレを見たから









あっち側にたくさんの人がいるからって



それを理由に選ぶってのは、したくない

言い訳にする気もない





俺は俺なんだ

誰も関係ないし、止まってたって意味は無い







まだまだ先は長いけど



振り向けば
微かな何かが、ちゃんと残っている











それだけは
間違いないと思う




 



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遂にリアタイヤのワイヤーが出て来た
いよいよ我が家で、初のタイヤ交換である


やはり、初めはなかなか上手く行かず
新品に近いリムプロテクターをズタボロにしながら
欲張らずに少しずつ行くのが良いのを、身を持って思い知って行く



だが、最終的に最後の最後がどうしても外せない
ワックス塗りたくったのに、レバーは入らないわ、リムは嫌な音立てるわ、上げた箇所は外れるわ

















「そっちがその気なら、こっちにも考えがあるぞゴルぁあああっっ!!!」












ブツり



溶けたゴム塗れになった床
真っ二つになったタイヤ


ゴムの焼けた煙が充満する中で、サンダーを片手に悪魔のような笑みを浮かべる俺

要は外れりゃイイんだよ






タイヤをハメるのは、新品の柔らかさに助けられながら、どうにかこうにか






煙草に火をつけ、額の汗を拭うと、黒光りするツーテン(GP210)の付いたホイール担いでタカギさんの店まで歩く
コンプレッサーは借りれる話になっている

チューブタイヤなのでビードも関係なし
あっさりと完成したのに、かなり気がラクになり、家まで戻る




少し錆の浮いていたアクスルシャフトを556で拭くと、スレッドコンパウンドを塗ってちゃっちゃっとリヤを戻す


フロントは楽勝だった
先にリヤからやって良かった

一服すると、お礼をしにタカギさんの店へとトリッカーにキーを挿して・・・


















orz (懐かしい)









2.5キロ入れた空気が、何処に行っちまったのか
リヤがペシャンコに潰れている

仕方なく、店まで押していく








「パンク修理お願いします(涙)」




マイちゃん(この前の女の子)が、友達を連れてきていた
興味深げにリヤタイヤが外されるのを見ている

そんなにバイク好きか(笑)






2人でササッとチューブを外すと、分かり易いぐらいの切れ目

多分、タイヤレバーで格闘した時に傷つけてしまったのだろう


補修してもらい、やっと一息


















そりゃあ

あんぐらいの工賃は取りたいわなぁ



 





「あったよ。でも、諦めたよ」







状況の変化、取り戻せない時間の経過


真摯に想っていたからこその、今更な感じ




そこを気に病む必要はないのかな と


自分は自分であって
良い時も悪い時も、全てで出来上がって行くのが「人生」で

5年前に出来た事と、今出来る事が違うのなんて当たり前で



少なくとも、今の俺には 「今やりたい事」は少なくても「やるべき事」はあるのだから





常に進化・成長

常に前へ





なんて、かっこつけるつもりも無い


夢なんて
焦って探す物じゃない











でも、また
次の場所へ“旅”には出よう




素敵で優しい仲間達も
バイクも
仕事も


全部背負って




何が出来るのか分かんないけど

ちょっとだけ大人になったから





















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うん


俺はバイクは降りない


バイバイ
元気でな






 




あ~あ



やっちまったなぁ オイ


コレは
















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やべぇな




どんどん、昔に戻って行ってるわ(ニタ~)



 




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途中でいつも立ち寄っていたコンビニがなくなっていた



ようやく見つけた一軒
Bossのレインボーなんちゃらを手に取り、レジで煙草の並んだ棚を





「あれ・・・?」








小さな駐車場にR1を停めて境内に入り
辺りに漂う昨晩の雨の残り香に包まれながら、砂利を鳴らして奥へと進む



もう完全に位置を覚えた墓石の前で止まり、缶のプルを開けると
綺麗な花の間に数本並んだBossの横に並べた


墓石の前には、線香を置く箱がある
中には、火が消えないように網入りになった台があり、そこはいつもヤツの為に買って来られた煙草が火を点けて置かれる


自分の煙草を取り出して火を点け
フィルターだけになった数本の横に、同じように置く
更に自分用にもう1本






「・・・なんだよ 文句あるか?」






脇に、キャメルが1箱
封を開けた状態で置いてあった


震災の影響で、キャメルの生産が終わるとか聞いた覚えがあったので
コンビニで無かった時点で買わなかったのだが

まだ、売っていたのだろうか





奴がこだわっていたのが、もっと面倒くさい物とか、すぐに消えてしまうような物じゃなかっただけでも凄い気もするが

コカ・コーラ飲んでマルボロでも吸ってれば、こんな苦労はしなくて済んだだろう





「・・・それじゃ、誰も買って来ないか」





今年も変わらない
連絡すら取ってない奴等も、ここには来ているのが Bossとキャメルで分かる



各々が自分の道を行く前

みんなが未熟なまま、いつも一緒に居た

青臭くて 幸せな時期




あの頃は、俺もこいつも
そんなに速さは変わらなかった

お互いまだ下手くそだったし
バイクを好きな強さも、アクセルの開けっぷりだけは“いっちょまえ”なのも 同じ感じだった







今は













俺は 本当に速くなったぞ

お前なんか もうハナクソだ



















生きてたら




奴はまだ

走っていただろうか





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アナ、ムラと今川1棟外部→野方B器具



本当に優しい奴等だと思った


 




Rさんと走った帰り道
近所の、ちょっと変わったバイク屋に寄った



社長が趣味で立ち上げたという店内には、輸入物の雑貨と工具・アパレル類が並び

バイク用のエアジャッキや工具入りのキャビネット等は揃っているが
置いてあるのは知り合いから委託されたファットボーイやKSRで
最新なのは自転車、所謂スポーツバイクだ


俺も最初は「何がメインの店なんだろう汗」と首を傾げていた




R1を停めて中に入ると、店長のタカさんがコチラを見てニッコリと迎えてくれる

今日は他に、若いカップルがいた
今風だが真面目そうなお兄さんと、更に今風な バキバキに茶髪の女の子

なかなかの美男美女

逆にこの店にはあまり来なそうな
このお兄さんがバイク乗りで、彼女を連れてきたってとこか





「こんにちは」


「お疲れ様です」




勧められた椅子に腰掛け、脇にSHOEIのフルフェイスを置くと 早速それに反応が







「わぁドキドキ ショーエイだ。アタシと同じですね!」




椅子からズリ落ちそうになる

よく見ると、なる程 白地にピンクのピンストだか花びらだかをあしらったグラフィックのフルフェイスが置いてある




・・・あれ?
お兄さんのヘルメットは




タカさん「パツさんは、R1に乗ってるんだよ」





「えーっ!? カッコいいドキドキ







R1が分かる時点で全てが理解できた

どうやら彼女が「こちら側」らしい



今日のコースや、一緒に行ったRさんの事をちらほら話しながら
ほとんどカップルとタカさんの話を聞く側になって お茶を飲む


彼女はバイクにドップリで
AT限定からいきなり大型の教習に通い
スカブーから600のCBRかGSX-Rに乗り換えようとしているらしい

サーキットまで行きたいと言う

服のセンスなんかも悪くない
こりゃあ、なかなかカッコいいバイク乗りが出来上がりそうだ





彼女「だからぁ バイクの免許取りなよぉ」



彼氏「嫌だっつってんじゃんむかっ












むー・・・

なる程 そういう事か




俺にも覚えがある

歴代の彼女に対し、さすがに「バイクに乗れ」とは言わなかったが
バイク屋Rには連れて行ったし、それでせっかくのデートなのに彼女が楽しかったかと言うと・・・



案の定 彼氏の方はつまらなそうだ
俺までバイク話をしたら、彼は完全にアウェーだ

おとなしくしてよう



聞けば地元・山梨から高速バスで会いに来てるらしい
それで来たのがこんな(失礼)所じゃ、良い気はしないわな




複雑な心境で話を聞いていると
彼氏の方が、「そろそろ帰ります」と席を立つ

新宿まで出て高速バスで



見送りに出た2人には付いて行かず、タカさんが戻って来るのを待つ








・・・キミ 新宿まで見送らないんかい




「あ~あ、もうバイク乗りの彼氏が欲しい」













適当に切り上げて辞去した


「バイク乗らなきゃ、別れる」まで、言ってるらしい

一緒にツーリングしたいとか、イベント行きたいとか、気持ちは分からないでもない

好きな事を好きな人としたいってのは、まあ純粋な考えである

だから、逆に
好きな事の邪魔になったりして来ちゃうと・・・



まあ、若さもあるよな
本当 何かこう、見ていてムズ痒いのである












“アタシとバイクとどっちが大事なの?”

“バイク”



















おっと



まあ、昔の俺の事はイイんだよ








多分、あの娘は
そこそこ速くなると思う