すかいうぉーかー -75ページ目

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND





月が太陽に哀しげな眼を向けていた



“あなたが悪い訳じゃない”









真空のように透き通った空


煙草を取り出し マッチを擦ると、燐の香りが宙空に咲いて掻き消え

じっとしたオレンジの光点が、蛍火のように薄暗い夜の中に踊る





波と共に這い上がって来る風が頬の傷を撫で

深々と降りて来る冷気に、右足が痛む




蒼い影の心臓が、静かに鼓動を落としていく





ふと気付いたように頭を巡らせ
コチラを不思議そうに見る











「・・・いいんだ」















再び目を閉じた影の横で

月の哀しみを想像してみる














きっとそこには










初めから誰も居なかった




 



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あんじゃ


この糞バイクは








(初めてリヤのパッド換えようとしたら、ホイール外さなきゃ出来ない構造だった)



 






「今日、夜あいてる?」







突発もイイとこだ

それでも、明日休みにしてもらった


ある程度笑い

ある程度ブチまけて











友達

親友








本当のソレは、なれ合わない


でも、最後の最後で
ちょっとだけ手を差し伸べてくれる








キーコ

ウッちゃん






バカ話をして

バイク話をして

未来の話を













俺は馬鹿だ


でも、こいつらを大切に思う気持ちは
どうやら間違っていない








バイクに乗って良かった



















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ありがとう


多分、一生忘れない



 
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蓑虫のように くるまったまま、細く微かに意識が覚醒した

くたびれた脂の匂いの毛布の中で、頭を動かして薄暗い部屋の中を見渡し
自分の煙草と、見慣れない景色の確認をする



霞がかかったままに煙草に手を伸ばし、オレンジの光点を作ると
カサついた喉に煙を飲み込んで、大量に吐き出す





炬燵の反対側でライオンが寝ている

百獣の王じゃない
本名が“頼音”なのだ








「・・・」






もう一度煙を吐き出した所で、違和感に気付く


脇のカーテンを開けると、アパートの前のだだっ広い、何も無い駐車場







「おいおい」






ライオンが起きた気配


そして、駐車場には“何も”無かった












これと言って特徴の無い田舎町だった


男は髭ヅラで、女は茶髪


老人は自分の足で歩き、大型スーパーが小さな布団屋を潰す



錆びた出光のスタンドで「ハイオク」と言うと、つまらなそうにコッチを見られる







ライオンのビビッドピンクのサニトラの助手席は、安い香水の匂いが残っていた







デカい倉庫だった
食品会社の名前の入った搬出用のプラスチックの箱が、隅に放置されている

明らかに盗品のスクーターやネイキッドが数百台



「じゃあ、CBRは無いんだな?」


「すいません。俺らの方には回って来てないっす。ライオンくんの友達のバイクなんかヤッたら、ナカガワさんに殺されちゃいます。」


「1000RRの白っすね? こっちでも捜してみます」













頬杖で空の向こうの南アルプスを眺める
(家から500kmも離れた町で、何してんや俺は)と心の中で呟く



ラジオからはファズの効いたリフが流れ
乳母車のようなカートを押した老婆が、目の前を通り過ぎる

誰もいない

だが、国道沿いのアパートに 一晩CBRを停めたのは自分だ





何かもう、どうでもよくなって来ていた

元々、適当に決めて適当に始めた旅だからなのか



だが、足が無い事には身動きも取れない









「ここだね」



白いペンキの剥がれた外壁

腐食に覆われたアルミのサッシ

屋上付近に「3-32」と書いてある





公団のようだったが、人が住んでいる気配が無い

錆びたドラム缶に、炭火した垂木やバタ角の燃えさしが残っている




「ホンダの出稼ぎ外国人の寮だったんだ。ブラジル人は日本人の100倍は勤勉だよ」







車から降りると、ライオンが荷台からデカいバールを出して来た
ズシリと重い





「勤勉じゃないのも居るのは、この国と変わらないからね」













ダイゴは溜め息を1つ吐くと、バールを肩に担いで歩き出した

 



年末の休みが決まった






ちゃんとした冬用のグローブを買おう


でも、オーバーパンツなんて糞喰らえだ






何百キロあるか知らないが
R1で行くんだ



見せるんだ
俺がバイクに乗っている姿を





御殿場を越え

足柄を過ぎ

長い静岡を一瞬で突き抜き

浜名湖を横目に眺め


冷気の壁を切り裂いて、俺が一番好きな180psの頼もしい相棒で















鉛筆を削るのは
上手くなったか?



















見てろ



空を飛んで行くからな


 





背負っている物をきちんと認識している人は強い


それに潰される事も無く、両の足で踏ん張り しっかりと地を踏みしめて、一歩一歩進んで行く姿は
本当に美しい




自分はどうか



正直言うと「ええかっこしい」だ
それは、時として本当にかっこ悪いのだが
逆にツボに嵌ると、かっこ良く見えたりもする


別に、人の顔色を伺う訳じゃない
どっちかっつーと、それが上手く出来なくて嫌われる事が多い






「やっぱ、こういうのが良くない?」って、好かれたり羨望を受ける事もある


だが
「コレじゃ駄目なんだ」と、泥を噛むような思いをしながら
“カッコ良くありたい”と、耐えて
ダサさの極みのような、みっともない姿を晒しながらも一歩ずつ進んで行く事も






“罪”と“業”は違う




いろんな人が居る


地味でコンプレックスにまみれながらも、清廉潔白で生涯を通して素晴らしい人


一見華やかでも、中身も積み重ねも結果にも自信が無くて
理想の自分になれない事に目を背けながら、自分をごまかして笑い
何かに依存し続ける人







皆同じだ



どうしたら良いか分からない


本当にコレで良いのか分からない






だが

稀に“コレで行く”と
きちんと決める事が出来ている人が居る


そういう人は、周りを惹きつけ
下手すると依存されてしまうぐらいのオーラを放つ




それでも
迷う事だってあるだろう

弱音だって吐きたいし、心を許す人間の1人や2人は欲しいだろう












俺は、弱音を吐かない

もう何年も
誰にも



辛い事や悲しい事はいくらでもある
でも、吐かない


それは、我慢してるんじゃなくて
他人に吐くもんじゃ無いと思っているからだ






俺なんかより何百倍も強くて、才能や魅力や美しさを持った人が

時折、俺に弱音を吐く事がある

多分、他の誰にも言ってないような事を吐く事がある





この人でも
こんな弱さを持っているんだ と











そんな時

俺は




















「ああ、俺なんかでも他人の役に立つ事があるんだな」

と、しみじみと思うのだ


 






「Lovely F〇ck!! Lovely F〇ck!!」





(↑仕事中の現場の前を通った、数人の小学生)
















( ゜Д ゜ ) ←俺


( ゜Д ゜ ) ←アナ





















( ゜Д ゜) ←俺


( ゜Д ゜) ←アナ




 









「おおっ、来い来い!

年越しそばも、食え食え(笑」













ソウルメイトとか言ってくれたっけなぁ

何年ぶりだろ
やっと会いに行けるや








オフレコなのか知らないけど
もうすぐ、またジャンプアップな事があるのを教えてくれた



「じゃあ、2人でも飲み行きましょうよ。俺、奢りますから」













“龍”の指輪のデザインは、まだ思い付かない



ヌンチャクと伊藤若沖の画集は大事に持っている





















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チベット


忘れてない
いつかきっと2人で



 





小学校の奴等と久しぶりに飲んだ

俺は卒業と同時に引っ越してしまったので、実に四半世紀ぶり



女子連中が俺を見て「ええええええっ!?」
















なんだよ汗






問題児といえば問題児だったような気もするが


まあ、それはイイ




地元に残っている連中は、しょっちゅう連絡を取り合っているらしく

単なる同窓では片付かないぐらいに仲がいいみたいだった


しかも、気持ちの良い奴ばかりだ
2組しかなかったので、知らない奴なんかいないような感じなのだが
この雰囲気は、ちょっと不思議な感覚だった







暖かくて優しい





20年以上ぶりの俺に対しても、何の壁もない

この歳で、なかなかこういう時間ってのは持てなくなっている事に、今更ながらに気付かされる




勿論、1人1人の性格もあるだろう


何というか、みんなあの頃に戻りに来てるってのもあるのかも知れない




純粋に、楽しく、仲良く



それだけでは居られない、社会の荒波

失敗

挫折

人生





みんな、きちんと生きている自信が眼力に出てはいる

だが、何も無い訳もないだろう










今だけは
そんな事は考えなくて良い














そういう時間なんだと思った


人と人が仲良くなくてイイ訳などないのに
そうも行かない大人の世界












別に、俺だって友達が居ない訳でも無いが
























俺にも「帰る場所」があったんだなと

ふわりと感じさせてもらった