すかいうぉーかー -74ページ目

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND





うーん

いきなり、この暖かさかよ
















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神様が「行って来いや」っつってるなこりゃ



 






明日、バイクで関西行くっつってんでしょうながぁあああああ!!!




↑会社の忘年会で、スナック引き回され中



 





タカギさん「パツさん、実はお知らせしなければいけない事があるんです」





ピンと来た

と言うか、心は痛むが最初から予想はしていた



来月で店を畳むと言う
店自体はタカギさんでは無くて社長さんの物だが


俺の家から眼と鼻の先
だが、場所が悪い

幹線道路は目の前だが
停めにくい一通の交差点で、もう何度もテナントが代わっていた



「見た目」的にも何の店だか分からず

数台のバイクと自転車
パーツの在庫も無く、修理も1から10までやれる訳でも無い

バイク・車関係の雑貨や小物、アパレル系もあったが そっちの趣味も悪くはなく 俺はこういう店は大好きなのだが


結局、「一見さんに入りにくい」店である事実を、俺は言い出せなかった






(・・・でも






「タカギさん、R1のチェーンとスプロケを頼んで下さい」



タカギさん「え?ウチでイイんですか?」






タカギさんは整備士の資格を持っていない
自転車のパンク修理も、初めてやった時に「練習させていただいたんで」と、工賃も取ってなかった


だが、俺が自分でタイヤを換えた時の、パンク修理をしてもらった手際と丁寧さ

「元々好きなもんで」と言うには揃い過ぎている、自前の工具


以前は某輸入工具の代理店で営業をやっていたと言う





そして


何気ない、バイク絡みの雑談

自分のCBR1000RRの修理やメンテの話


半年程度、延べ数時間のソレで

少なくとも俺には分かっていた




“この人にはR1を頼める”と







(・・・お


養生テープをスイングアームに
レーシングスタンドを掛けるスタンドフックの周りに丁寧に貼っていく



「滋賀に行くなら、チェーン調整しときましょう」


クリーナーを吹き、丁寧に汚れを拭き取り

アクスルシャフトのナットを緩めて伸びを



文章にすると伝わりにくいが

この感じなんだよな






俺は走るのが好きで、走るためにバイクに乗っている



車両のデザインとか、排気音とかは気にするが


イジったりメンテする作業・工具にはあんまり興味が無い

嫌いではないが、元々行き当たりばったりのチャランポランなので、ボルトが1本無いとか オイルのブランドだとかも目に見えた支障が無い限りは気にしない


だが、多分タカギさんはすべてが逆だ




「タカギさん」



「はい?」







「オイルも換えちゃって下さい」







別に自分でできる

春先ぐらいまで、換えないつもりだった



だが、滋賀行きの件




なんとなく

なんとなく、今のような気がした






「トリプルRがあります。どうせ処分しなきゃならないんで、安くしときますね」








スタンドに載せられたペール管が傾き

ジョッキに「クッ クッ クッ クッ」と音を立てて、綺麗な光沢を帯びた液体がそそがれて行く



なんだろう、それをこの人がやっているのを見ているだけで この安心感は

















もしかしたら



いつか、一緒に











とりあえず








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その言葉は、今じゃない気がした



 













強大なトルクで路面に叩きつけられたコンパウンドが、クラッシュアイスのように千切れ飛ぶ


ご機嫌な直4のサウンドが、冷えきった大気中に鳴り響き

膨大な熱を撒き散らしながら、0→100まで僅か数秒



たわんだバネのように景色が跳び、軽い息苦しさと圧迫感と共に 天井知らずの高揚が全身を突き抜ける







単なる切り返しじゃあ間に合わない





デカいベクトルの塊と化した180psは、重い慣性をたっぷりと速度に纏い
そう簡単には言う事を聞かない


全身の神経と筋肉を総動員し、数秒で吹き飛ぶ数百メートルを、じっくりと値踏みしながらターゲットを絞る



刻々と変化する、鈍牛のような車の群に
楔の点を穿ちながら、次のパッシヴへと跳ぶ













Do the stomp Your feet





It's the time to groove










股下で熱の塊のようになったR1が吠える


分からなくたってイイ

俺が分かっていればイイ



同じなら、アンタが分かっていればイイ







制御しない

操らない









ただ


導けばイイ

















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お前も


一緒に来るか?




 




昼休みに着信






カトー「お疲れっす。今日休みですか?」



俺「仕事」





カトー「マジすか。僕、嫁子供が実家に早々と里帰りして暇なんですよ」



俺「俺は夜デートだ」





カトー「マジすか。早くも第2の犠牲者が」



俺「いやすまん嘘だ。つーか、殺すぞお前」





カトー「いやー、パツさんならすぐ彼女出来そうだし」



俺「ウチの会社の連中と同じ事言うんじゃねーむかっ 俺はそんなにモテ無ぇーんだよ」






カトー「まあ、そういう事にしておきましょう。じゃあ僕は目白の教会に行って来ますよ」



俺「テメェ。スルーするなら女でも紹介しやがれむかっ つーか、なんだ?懺悔でもするのか?」



カトー「どの口が言ってんですかむかっ 罰当たりの日本代表が。


“ひやかし”に行くんです“ひやかし”」



俺「神罰確定だアホたれがむかっ 俺は明日、掃除と洗濯したら R1のチェーンとスプロケ換えるから忙しいんだよ」


















カトー「なるほど。じゃあ良いイブを」




俺「メリークリスマス」



 




「最近、タクトを如何に速くするかに、こってるんやわ♪」 by午前3時










(-"-;)←ある意味、一番遠い


 







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やべー

完全に「見た目」で落札しちまった(性能不明)











さて

滋賀への道行きである


乱蔵さん家は、いわゆる「近江の國」の為
年末に行くとなると、当然東名を通る事になる




元嫁の家に行って以来の、二輪ミサイルだが

何しろ季節が違う


ぶっちゃけ、真冬の東名なんざ走った事が無い





ちょっと調べると
一番やばいのは御殿場や足柄らしい

そう言われてみれば
完全に山の中だもんな


そんな訳で、スノボ用のを探してた訳である

オーバーパンツを履かないと言う俺を、タカギさんは心配してくれたが
あんなもんは、俺の美学に反する



何しろ3年ぶり

R1で行くのは初めてだ

“若様”が待ってんだ
カッコ良く行かねーとな





滋賀まで400kmかぁ



















2時間もあれば(自粛)




 






店に入った瞬間に、口がアングリと開いた



真新しい赤と黒のカウル

ブラックアウトされたスイングアームに、ユニットプロリンク
それだけで説明不要の「CBR」の文字






「マジで買ったんすか、あの娘汗


タカギさん「はい汗





09'の国内仕様・78ps

ピカピカの程度極上

お値段もかなり安い


20歳そこそこの 女の子が初めて乗る大型としては、理想的だろう


たくさん距離を乗って、慣れて来たらマフラーなりフルパワー化なり考えればいい





バイク雑誌の仕事につくためにバイトも始めたと言う

しかも「ロイヤルエンフィールド」だの「KTMはオーストリアだけど、韓国で作っている」だのを楽しそうに喋るのだ



本当に109でショップ店員やってそうな、普通の女の子がだ




信じられるか? いきなり身近でそんな話(笑)





なんで俺って、こういう面白いバイク乗りに 次から次へと出会うのだろう







だが、嬉しくなってしまった

ドラッグスターだのSRだのじゃないのだ



そんなにバイク好きなら、とことんバイク人生を歩んで欲しいじゃないか

楽しい事がいっぱいある
機会があれば、俺の知ってる事なら教えてやりたいじゃないか







「こんにちは~♪」

背後から、ご機嫌な声
俺を見た瞬間に、今時の小さな顔が少しはにかみながらニンマリと笑う








「ツーリング連れて行って下さいね!」





















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俺は

黙って親指を立てた



 





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真夏にあれだけ熱かったエンジンが、這い上がって来るような冷気を吹き飛ばしながら両足を優しく包む




車もまばらな夜中の幹線道路

3車線を自由に使い 何かから解放されたかのような勢いと力で疾駆する車体





有り余る馬力が夜陰を一息に引き寄せ
嘲笑うように引きちぎる




小さく息を吐き
狙い定めたラインを、アクセルの一捻りで


凍りそうな大気の千切りカスが、一瞬で圧縮され上半身を押し包む





回り続けるホイール

水銀灯の淡い光の中で
現実と夢の朧気な境界線から逃げるように、小さく車体を傾けてコーナーの先へ





凍える手

分子の活動が停止したようなフルフェイス



ただ無心に
目の前に現れては消えるアスファルトを、走り抜ける



















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言い訳は要らない


後戻りした事も無い