途中でいつも立ち寄っていたコンビニがなくなっていた
ようやく見つけた一軒
Bossのレインボーなんちゃらを手に取り、レジで煙草の並んだ棚を
「あれ・・・?」
小さな駐車場にR1を停めて境内に入り
辺りに漂う昨晩の雨の残り香に包まれながら、砂利を鳴らして奥へと進む
もう完全に位置を覚えた墓石の前で止まり、缶のプルを開けると
綺麗な花の間に数本並んだBossの横に並べた
墓石の前には、線香を置く箱がある
中には、火が消えないように網入りになった台があり、そこはいつもヤツの為に買って来られた煙草が火を点けて置かれる
自分の煙草を取り出して火を点け
フィルターだけになった数本の横に、同じように置く
更に自分用にもう1本
「・・・なんだよ 文句あるか?」
脇に、キャメルが1箱
封を開けた状態で置いてあった
震災の影響で、キャメルの生産が終わるとか聞いた覚えがあったので
コンビニで無かった時点で買わなかったのだが
まだ、売っていたのだろうか
奴がこだわっていたのが、もっと面倒くさい物とか、すぐに消えてしまうような物じゃなかっただけでも凄い気もするが
コカ・コーラ飲んでマルボロでも吸ってれば、こんな苦労はしなくて済んだだろう
「・・・それじゃ、誰も買って来ないか」
今年も変わらない
連絡すら取ってない奴等も、ここには来ているのが Bossとキャメルで分かる
各々が自分の道を行く前
みんなが未熟なまま、いつも一緒に居た
青臭くて 幸せな時期
あの頃は、俺もこいつも
そんなに速さは変わらなかった
お互いまだ下手くそだったし
バイクを好きな強さも、アクセルの開けっぷりだけは“いっちょまえ”なのも 同じ感じだった
今は
俺は 本当に速くなったぞ
お前なんか もうハナクソだ
生きてたら
奴はまだ
走っていただろうか
