シャンデリア | すかいうぉーかー

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND













「700馬力、筑波58秒は伊達じゃないですね、楽しめました」







「もう、あそこは走らないんですか?」








「やっぱり、あなたの周りには特殊な人が集まってくるね」










“引退”なんて言葉自体が仰々しいが





添付された画像には、薄暗い芝浦らしきパーキングの中で
一般とはかけ離れた姿の2灯の4つ輪が、静かに佇んでいた




愚かな行為


だが、胸が踊る




実際、俺はあそこには大した回数は行っていない

ただ
MやKが毎日のように通っていた時期も
他の奴等が、年に数回しか走らなかった時期も

変わらず、一定のペースで
“行きたい”と思った日に上がっていただけで

それも、ディープな時間帯でも週末でもなく、平日の日付が変わる前後に 1人でサラッと走って帰っていた





あそこは悪魔が棲んでいる

飛ばしたい奴の衝動を掻き立て、見栄やプライドを煽って 冗談でも何でもない本物の“死”に引きずり込む





勿論、誰だって死にたかぁない

だが、ふと 誘惑されるのだ
「速くなりたい」「他人に事の優劣を突き付けたい」



それが、リズムを・判断を・マージンの厳守を狂わせる






1人でってのは、そういう事だ

誰とも絡まずに、出したい速度で無心で走る





日々変わるギャップの位置や、気温・風速
落下物に停止車両

いきなり車線変更する四つ輪


そんな状況の中で、140~50から200後半を出して





危なくない訳が無いじゃないか












危ないから、やるんだ













バイクで飛ばしたくもなんともない人間には、何の価値もないだろう


だが、俺にはその価値は分かる





それでも
俺には、あの場所は怖かった


怖かったからこそ、行っていたのだ
そんな怖さの中で、ドップリと危険に浸かりながら 自分の腕と経験を磨いて、暴風のように走るのが 何よりも楽しかったから




速くはなりたかった
でも、他人はどうでも良かった

基準すら曖昧だが
ある日、ある時点で 俺より速い人もいるし遅い人もいるだろうが

それは、俺が速くなっていけば変動するし
勝てない人間に、その場でどうこうしようとしても意味は無い




俺は最初から、あそこでトップクラスに居る人達にも、あの場所自体にも畏敬の念を持っていたし

そういう風になりたいとは思っていても、何が何でも勝ちたいとはならなかったのだ




一緒に走れば、なんとなく分かる

2回・3回と走れば、もっと分かる




たまたま絡んで、本気で殺し合った事もあるが

そういう気分になれない時や、“怖いと感じるライン”を越えそうになった時

何よりも“ノリが合わない”と感じた時には、必ず退いた



何処よりも、あそこで転ぶのが怖かったから










だから


俺なんて、大した事無い筈なんだ




結婚を機にスッパリ止めた

そりゃあそうだろう






だが





















ひしゃげたアルミニウム缶



コレは、あなたに似てるわね












すかいうぉーかー






































・・・冗談じゃないっつーの