重大事故時はすぐにEDRを解析すべし。但し、早急に法改正が必要。 | 夢老い人の呟き

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昨日、東京池袋で乗用車が暴走し、母子2人が死亡、8人がけがをされる痛ましい事故がありました。

亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、けがをされた方々が一日も早く回復されることをお祈りいたします。

 

なおこれから書きますEDRについてはアメリカでは2006から2012にかけて American regulation 49 CFR 563. で装備が義務付けられており、トヨタプリウスも2007年装備されています。また2012年からはトヨタ全車種に装備しています。

 

なお日本語Wikipediaはおかしい所もありますので、“Event_Data_Recorder”を参照した方が良いと思います。

 

 

 

事故の原因について推測することは控えさせていただきますが、このような暴走事故の際にいつも感じるのは、なぜ警察はすぐに“EDR(Event Data Recorder)”の解析を行わないのか?ということです。

EDRのデータを見れば事故前後にブレーキを踏んでいたのかアクセルを踏んでいたのか、ハンドル切れ角は?などはすぐに判定できます。

 

 

 

EDRの読出し:“CDR(Crash Data Retrieval)

 

EDR(Event Data Recorder)”の読出しは“CDR(Crash Data Retrieval)”という小さな機器があればすぐに出来ます。

 

 

このようにEDR解析はすぐに行え、もしも車両に原因があった場合には、ドライバーは潔白を証明できます。

 

 

 

EDR解析は藪の中

 

ところが技術的に出来るのと実際に出来るかは違います。

 

いざという時の切り札となるか? クルマに備わる「イベントデータレコーダー」の実態とは”によると、EDRを解析してよいのはメーカーと警察のみとなっていますが、メーカーは車両の使用者の同意などの壁を設け、積極的には行わないようです。

以下引用

 EDRの記録を読み込むには、EDRボックスを取り外してコンピューターで読み込むだけで足りるため、事故車両の状態によっては数十分程度で確認可能。 ただし、EDRのデータ解析を行えるのは、自動車メーカーと警察のみとなっています。

 

 日産が公開しているEDRの取扱説明書では「車両の使用者の同意がある場合」「裁判所命令など法的強制力のある要請に基づく場合」「統計的な処理を行うなど、使用者や車両が特定できないように加工したデータを研究機関などに提供する場合」に限定してデータを開示・提供すると記載。

 

 一方で、事故原因が自動車の欠陥によるものだった場合、データが改ざんされる恐れも懸念されるため、第三者が解析を行なう、もしくは立ち会う必要があるとの意見もあります

 

 EDRの解析依頼件数はどのくらいあるのか、実際に解析で判った例や、記録内容など海外との仕様統一などもあるのかをホンダの広報部に聞いてみたところ「現状、ホンダ車は日本国内での適用はありません。ただ、今後、法規対応も含めて適応を検討して参ります。したがって現状で、解析の依頼状況、実績など、お答えできるものはございません」とのことでした。

 

 国内でEDR搭載を明言しているトヨタは、「EDRについてはセンシティブな内容であるため、すべて非公表」とのことでした。

 新車を販売するディーラーにおける、EDRの取扱方法について話を聞くと「事故が起きて『ブレーキ踏んだのに加速した』というような、大きな不具合の可能性がある場合、解析はサービス本部や部品メーカーに依頼します」という説明されました。

 

 

これでは仮に車両の不具合が原因であっても改竄が可能であり、ドライバーは守られません。

少なくともドライバーの要請がある場合には、第三者立会いの元、公開でEDRの読出しと解析が行われなければなりません。

 

そのためには法改正で、メーカーと警察に義務付ける必要があります。

 

 

 

CDR90日ルール

 

2018年8月6日の“ボッシュのクラッシュデータ・リトリーバル(CDR)の一般向けセミナー!”の公演を見ると日米の違い、日本の後進性がありありと見えます。

米国ではほぼ100%EDRのデータを解析して事故の解析をし、また新車が発売された90日後には、EDRのデータを抜きだせるように対応するCDRが市販されているよう義務付けられています。

  • 米国では17年前からEDRのデータを基に事故解析をしている。
  • 今アメリカでは市警さんと通常事故も含めて、ほぼ100%に近いぐらいの割合でCDRのデータを抽出して事故の解析をしているという実態。
  • 実は2018年に法案を検討してます。将来的にEDRが米国のように法規化される日がやがてやってくると思います。ちなみに米国では2012年の9月から法規化されてますので、現在米国で発売されている車両につきましては、全てEDRが搭載されているということになります。
  • アメリカの場合、自動車メーカーが車を販売したと同時にですね、このCDR、ツールですね、90日以内に一般に市販で買えないといけないとルールがありまして、新車が発売された90日後には確実にCDRのデータが抜き出せる機械が手に入るようにしてるということになってます。
  • 日本もやがてEDRの搭載が義務付けされて作業として行われるようになれば、この90日ルールというものが主流になってくると思っております。

一方、日本は米国に輸出するために、少なくとも2012年以降の車両はEDRを装備していますが(米国に輸出しない軽自動車などは不明)、それがドライバーの自己防衛には使用されていませんし、使用するには足枷があります。

 

日本もまず米国と同様の法制化を行い、それを事故調査に利用する環境を整え、EDRデータの改ざんをメーカーなどが行えないよう、事故後速やかに第三者立会いのもと、公開でデータ解析を出来るようする必要があると思います。

繰り返しますが、これはユーザー保護のために法制化しないと改善されません。

 

 

ご参考までに過去記事に車両が原因の事故の際の注意、 民間第三者交通事故調査機関『日本交通事故鑑定人協会』 について書きましたのでお読みください。