イスラム金融 | 夢老い人の呟き

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ドバイのギガソーラーとトランプ政権の深謀?」 に紹介したドバイはじめ、中東は自国の電力は再エネで賄い石油は輸出へと、再エネシフトを進めています。

また再エネというと発電量が不安定という欠点があり、日本では「送電線空き容量が無い」と参入を妨げられていますが(参考記事「送電線空き容量って何? コネクト&マネージとは何?」「再エネについて日本の報道は周回遅れ」「仮想発電所と欧州の系統連携・・・日本は周回遅れ」)、その解決策一つとして太陽光発電や風力発電の余剰電力で水素を製造し、水素発電所や燃料電池車に使用するという方法もあります。

 

上の記事で紹介したドバイのギガソーラー「ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム・ソーラーパーク(Mohammed bin Rashid Al Maktoum Solar Park:MBR)」も水素を生成するプラントを開発中で、2020年に開催予定のドバイ万博で運行する燃料電池車に使用します。

 

そんな日本のはるかミライを行っているようなMBRですが、もう一つの特徴が資金調達です。

MBRフェーズ3の資金は、国際的な金融機関による従来型と、地元の金融機関による「イスラム型」を組み合わせた調達手法で賄っています。

利子を取る事を禁止されているイスラム社会の、イスラム金融とはどのようなものでしょうか?

 

 

イスラム金融

※最初にお断りしておきますが私はイスラム教についてはあまり知りません。

 間違いも多いかもしれませんので、お気づきの方はどんどん遠慮なくご指摘ください。

  • イスラム金融を一言で表現するとすれば「イスラムの教義に則した金融」ということになります。
  • 「イスラム法」という言葉をご存知かと思いますが、イスラム教における規範や法を意味し、アラビア語で「シャリーア」といいます。
  • つまりイスラム金融とは「シャリーアに則した金融」あるいは「シャリーア適格金融 ( シャリーア・コンプ ライアント ) 」と言い換えることができます。

 

よく旧約聖書はアブラハムの宗教に共通といいますが、旧約聖書という呼び方はキリスト教だけで、もとはユダヤ教の「タナハユダヤ教の聖書Torah トーラー:モーセ五書Nevim ネイビーム:預言者 Ketubim クトビーム、ケスビーム、ケトゥビーム:諸書の三つからなる)です。

全く同じではありませんが、これがキリスト教の旧約聖書、イスラム教の「コーラン」の基となっており、コーランにはさらにキリスト教の新約聖書の内容も一部入っています。

 

シャリーアは、コーラン預言者ムハンマドの言行(スンナ)を法源ととする法律です。

シャリーアはコーランと預言者ムハンマドの言行(スンナ)を法源とし、イスラム法学者が法解釈を行う。イスラム法を解釈するための学問体系(イスラム法学)も存在し、預言者ムハンマドの時代から1000年以上、法解釈について議論され続けている。法解釈をする権限はイスラム法学者のみが持ち、カリフが独断で法解釈をすることはできないとされる。預言者ムハンマドの言行録はハディースとよばれ預言者の言行に虚偽が混ざらぬように、情報源(出典)が必ず明記される。

シャリーアは民法刑法訴訟法行政法、支配者論、国家論、国際法(スィヤル)、戦争法にまでおよぶ幅広いものである。シャリーアのうち主にイスラム教の信仰に関わる部分をイバーダート(儀礼的規範)、世俗的生活に関わる部分をムアーマラート(法的規範)と分類する

出典:Wikipediaシャリーア

 

つまりイスラム社会においてはイスラム教は宗教でもあり法律でもあります。

従ってシャリーアで禁止されている利子も投機的な投資も出来ず、ヘッジファンドや先物取引なども出来ません。

 

 

イスラム金融の主要原則

 

シャリーア適格でなければならないイスラム金融には次の様な制約があります。

(4)項以外は私も賛成です。ただ(4)が・・・・・・

(1)利子の授受の禁止

イスラム金融において貨幣は単に交換の手段であり、価値保存としての手段以上の意味 を持たない。資金 の貸し借りに伴って利子を受け取ることは、搾取的な不労所得として禁 じられている。

(2)投機的取引の禁止

シャリアは果実 ( リターン ) を生み出す手段として投機的行為や賭博的行為を用いること を禁じている。

(3)不確実な取引の禁止

シャリアは価格や数量など条件が不確実な取引は、当事者間に不公平をもたらしかねな いもの、詐欺的要素を含みかねないものとして禁じている。

(4)禁避的行為の禁止

シャリアはムスリムが豚肉、アルコール、タバコ、武器、 猥褻 わいせつ 物など特定の禁制品を 利用、取引することを禁じている。

出典:イスラム金融の現状

 


 

イスラム金融の取引の形態

 

利子の授受を禁じるシャリアの原則を守るべく、イスラム金融では主として以下のよ うなマージンや配当など、利子に代わる概念を用いたスキームが利用されています。

金融取引形態としては次の5つがあります。

(1)ムラバハ

「ムラバハ」とは銀行が顧客に代わって商品を購入し、購入価格に銀行が受け取るマージ ンを上乗せして顧客に売却するものであり、伝統的金融における割賦販売に類似した ス キームである。マージンを上乗せすることによって、銀行は「利子」を受け取らないかた ちで利益を獲得することが出来るのである。 ムラバハは個人が自動車を購入する場合や、企業が設備機械や原材料を購入する場合な どに用いられており、イスラム金融では最も一般的なスキームである。 当スキームは契約時点で実物資産が存在することが前提となっている。 

 

(2)イスティスナ

「イスティスナ」は (1) のムラバハの変形である。ムラバハが契約時点で実物資産が存在 していることが前提となっているのに対し、イスティスナは新築住宅の取得やプラント設 備のように、これから建設するため契約時点では実物資産が存在しない場合に用いられる スキームである。 

 

(3)イジャラ

「イジャラ」は伝統的金融におけるリースと類似したスキームである。銀行は建物や機械 設備などの商品を購入・所有し顧客にリースする。銀行は商品の購入代金を上回るように リース料を設定し、一定期間にわたって顧客からリース料を受け取る。リース料金と購入 代金の差額が銀行の利益となる。 

 

(4)ムシャラカ

「ムシャラカ」は伝統的金融における共同出資に類似したスキームである。銀行 と顧客 ( 出資者 ) が資金を出し合って共同事業の経営を行い、事業によって得た収益を銀行と顧客 があらかじめ定めた比率に応じて配当として配分する。銀行と顧客 ( 出資者 ) 双方が共同事 業の経営に参加することができる。 

 

5)ムダラバ

「ムダラバ」は銀行が顧客 ( 預金者・投資家 ) から集めた資金を事業者に投資し、事業者は その資金を自らの事業に投下する。事業から得られた利益は事業者、銀行、顧客 ( 預金 者・投資家 ) で予め決めた割合に応じて配当として配分される。ムシャラカとは異なり、 ムダラバでは資金提供者も銀行も事業経営に参加しない

出典:イスラム金融の現状

 
 
同じアブラハムの宗教でありながらユダヤ金融とは正反対の厳格さですが、今の欧米を中心とした社会はレバレッジ、空売り、空買い、先物買い、さらにリーマンショックの原因となった金融商品など、裏を見ればとんでもない鉄火場のようなギャンブラー世界です。
ポンド危機やギリシャ危機のように中央銀欧や国家でさえハゲタカの食い物にされてしまう社会。
 
果たしてどちらがよいのやら、後世はどのように評価するのでしょうか?