再エネについて日本の報道は周回遅れ | 夢老い人の呟き

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昨日の報道ステーションを見て哀しくなりました。

九州で太陽光発電の発電量が、一時電力需要の8割を超えたという事が紹介されました。

なぜ哀しくなったのかは後ほど説明しますので、ビデオの26分20秒から39分あたりまでをご視聴ください。

 

 

番組中で述べられている逆潮流の問題、不安定な発電量の変動、あるいは負荷の変動(負荷の変動は再エネだけの問題ではありませんが)で発電量が電力消費量を超えてはまずいという事ですが、この対策にはいくつもの方法があります。

などなどいろいろな方法がありますし、これからさらに選択肢が増えると思います。

仮想発電所はあまり知られていませんが、日本でもこれからの課題だと思います。


 

デンマークの風力発電と海を越えての連係は出来ないという認識不足

報道ステーシステーションを見ていて哀しくしくなったのは、いまだに再エネ先進国といえばドイツという時代遅れなステレオタイプの認識と、海を越えての送電は出来ない(橋が架かるような海峡は除く)という前時代的な認識です。

ヨーロッパを見ればイギリスとフランス、オランダオランダとノルウェーさえ海底ケーブルで繋がっています。(ノルウェーとオランダ間を結んで2008年に開通した「NorNed(ノルネッド)」全長が583km

 

再エネというといかにもドイツが一番進んでいるかのような取り上げられ方をしますが、ドイツの2017年の再エネ比率は下図のように33.1%にしかすぎません。

出典:ドレスデン情報ファイル

 

ところがデンマークの風力発電は2017年度43.4%を記録しています。

New Danish wind power record

2017 was a record year for Danish wind power. Denmark is on track to surpassing its EU energy targets, with 43.4 percent of Denmark's electricity consumption supplied by wind power last year. The share of renewable energy production from wind power has more than doubled since 2008, previously accounting for 19.3 percent.

全文は>>こちらからお読みください。

 

 

デンマークの風力発電は「デンマークの風力発電とヨーロッパの電力連系網」に書きましたが、2016年12月1日、風力発電の発電量が2時30分から5時30分の間、国内の電力消費量の111%を記録しました。

 

これは凄い事で、日本では再エネ発電量が増えると「バンク逆潮流」( 配電系統に対して系統連系された事業所や家庭の余剰電量が急増し変電所の受電能力を超える電力が流れ込んだ状態 )が起きる、系統が不安定になり制御できなくなる、(発電量が不安定なので)風力発電を増やすと火力発電を増やさなければならない、蓄電設備が不可欠などとされます。

ところがデンマークは火力発電を増やさず風力発電を増やし、しかも蓄電設備もありません

 

ではどうしているかというと、国を超えた系統連携で、電力が余れば輸出し、足りなくなれば、輸入します。

  • ところがデンマークとスウェーデンの間の国際連系は、カテガット海峡を挟んでいます。
  • ノルウェーとの間にはさらに幅が広く水深があるスカゲラック海峡があります。連系線の全長は全長240kmで、そのうち海面下だけでも約120kmに達し、最大水深は200メートル(m)以上です。

出典:神話を破壊、111%の電力生むデンマークの風力

 

 

デンマークの電力輸出入

次のグラフを眺めた後、もう一度報道ステーションのビデオをご覧になっていただきたいと思いますが、デンマークとドイツ、ノルウェー、スウェーデンとの電力輸出入は、ご覧のように分単位で調整しています。

特に赤線のドイツ東薄青緑線のスウェーデン南については、時間帯により輸出になったり輸入になったりしています。

朝9時まではドイツ(東)から輸入し、9時から14時まで輸出、14時から15時までまた輸入し、15時以降は輸出といった具合です。

 

どうですか?

報道ステーションでは出来ない、困難だと説明されていた事が、海外ではとっくに行われています。

周回遅れどころか数週遅れの感じがしませんか?

 

出典:神話を破壊、111%の電力生むデンマークの風力

 

 

 

ヨーロッパの電力網

次の図をご覧ください。

字が細かくてゴチャゴチャしていて、細かいところまで読むのは無理だと思いますが、「ヨーロッパの電力網、系統連系はこんなに広く密に行われているという事は読めると思います。

 

しかもアイルランド、イギリス、フランス、オランダと海を越えた連携がありますし、なんとオランダとノルウェーも繋がっています。(2008年に開通した全長583㎞の.「NorNed(ノルネッド)」

九州と本州を繋ぐのが無理という報道ステーションのキャスターは何なのでしょう?

出典:自然エネルギーへ移行する欧州、多国間で電力の取引量が拡大

 

 

高圧直流方式で送電コストが低下

欧州の国際送電網のトピックのひとつは高圧直流方式です。

高圧直流方式で送電コストが低下」より引用

 

 国際送電網を支える送電技術の進展は目覚ましい。特に重要な役割を果たしているのが、高圧直流(HVDC)方式による長距離送電技術である。通常の送電網では電圧を変換しやすい交流で電力を送るが、直流と比べて送電時の損失が大きくなる。この点で高圧のまま直流で電力を送るHVDCは損失が小さく、国際送電網の基幹部分に採用することで送電効率を高めることができる。

 

 それに加えて海底ケーブルの技術が進んできた。長距離の国際送電線をHVDCで海底に敷設する大規模なプロジェクトが各地域に広がり始めている(図4)。その中で代表的な例を挙げるとすれば、ノルウェーとオランダ間を結んで2008年に開通した「NorNed(ノルネッド)」だろう。全長が583kmに及び、現在でも世界最長の海底送電ケーブルである。

 

 NorNedは±450kV(キロボルト)の高圧直流方式で700MW(メガワット)の電力を送電できる。建設に掛かった総コストは6億ユーロ、現在の為替レートで計算すると約750億円である。日本の近海と海底の状況などが違うものの、技術革新によるコスト低下も進んでいる。そう考えると、欧州とさほど大きく変わらない単価で、日本と近隣諸国の間をHVDC方式の海底送電ケーブルで接続できる可能性は大きい。

 

 欧州では国際送電網の建設コストが下がるのと同時に、太陽光発電や風力発電を中心に自然エネルギーの電力が各国で増加して、電力を輸出入するメリットが大きくなった。とりわけ海に面した国々では、HVDC方式による国際連系を通じてさまざまな便益が期待できる(図5)。

 

以下省略 全文は>>こちらからお読み下さい

 

 

 

北欧からイギリスへ自然エネルギーの電力

イギリスの情況ですがお読みになってみてください。

なぜイギリスが自然エネルギーの電力を買うかといえば、その方が安いからです。

世界の常識は日本の非常識、日本の常識は世界の非常識でしょうか。

以下「北欧からイギリスへ自然エネルギーの電力
 
日本と同じ島国のイギリスでは火力発電の比率が高く、しかも電力の卸売価格が近隣諸国と比べて高いという問題を抱えている。こうした課題を国際連系線で解決できる期待は大きい。最近では欧州の電力取引のハブになっているオランダから大量の電力を輸入できるようになり、新たに北欧のノルウェーデンマークからも国際連系線を通じて安価な水力・風力の電力を輸入する計画が進んでいる(図6)。


以下省略 続きは>>こちらからお読み下さい。

 

 

情報鎖国といいたくなるような日本ですが、こうやって見ると海外との差が大きいと思いませんか?

 

これで日本は先進国だ、技術立国だ、ニッポンスゴイデスネ~と己惚れていたら、日本はどんどん沈んでゆきます。