風力発電大国デンマーク。
2016年12月1日、同国の風力発電の発電量は2時30分頃から5時30分頃の間、国内の消費電力を上回り,最高111%を記録しました。
以下 神話を破壊、111%の電力生むデンマークの風力 より引用して紹介します。
これは凄い事で、日本では再エネ発電量が増えると バンク逆潮流( 配電系統に対して系統連系された事業所や家庭の余剰電量が急増し変電所の受電能力を超える電力が流れ込んだ状態 )が起きる、系統が不安定になり制御できなくなる、(発電量が不安定なので)風力発電を増やすと火力発電をふやさなければならない、蓄電設備が不可欠などとされます。
ところがデンマークは火力発電を増やさず風力発電を増やし、しかも蓄電設備も無いそうです。
○電力変動の吸収
では不安定な風力の発電量の変動をはどうやって吸収しているかというと欧州の電力連系網との間で輸出入し調整しています。
しかし日本では国際間の電力連系は海を越えては困難とされおり、また短時間の変動は吸収できないとされています。
○ところがデンマークとスウェーデンの間の国際連系は、カテガット海峡を挟んでいます。
ノルウェーとの間にあるスカゲラック海峡はさらに幅が広く水深があります。
連系線の全長は全長240キロメートル(km)。そのうち海面下だけでも約120kmに達し、最大水深は200メートル(m)以上です。これは北海道と本州を結ぶ連系線(北本連系)の約5倍の距離(海面下部分)を結んでいることになります。
○またその次の電力輸出入のグラフを見ると、実に細かく短時間の変動させています。
○電力輸出入
次のグラフは国際間の電力輸出入ですが、ご覧のように短時間に容量を切り替えたり、輸出入を切り替えたりしています。
日本国内では連系線を利用する場合、最短でもスポット市場において翌日分の容量を確保できるにすぎず、これでは風力の変動を吸収することは無理です。
面白い事にスウェーデン南部やドイツ東部に対しては時間帯によって輸出したり輸入したり切り替えています。
ヨーロッパの電力連系は電力に余剰が出れば安く輸出し、逆に安い電力を購入し揚水発電につかったり、不足時に輸入し電力需要を賄っtりしていますが、二国間だけではなく別の国を経由して別の国に送られる事もあります。
○ドイツの電力輸出入
ドイツの電力輸出入を見ると欧州の連係網の特徴が分かります。
物理的な電力の輸出入と商業ベースの輸出入の電力量が違いますが、これは他国の電力がドイツを経由して輸出入されたり、ドイツの電力が他国を経由して輸出入される事を示します。
以下ドイツのエネルギー関係データより引用
次のグラフはドイツの物理的な電力の輸出入ですが、スイスやオランダに大量の電力を輸出し、フランスからはずいぶん輸入しています。
しかしその次の商業ベースの電力輸出入を見ると違います。
こちらは商業ベースですが、スイス、オランダへの電力輸出はぐっと減り、フランスなどからの電力輸入は減り輸出超過となります。
これはなぜかというと、フランスなどからの電力がドイツを経由してスイスやオランダに送られているからです。
つまり原発の多いフランスは電力需要の少ない夜間の余剰電力をスイスなどに輸出し、電力需要の多い時はドイツなどから輸入しているようです。
そしてスイスでは安い余剰電力を買ってダムへの揚水をし、揚水発電に利用します。
昨年スイス最大のダム、揚水発電所 「リンタール2015」 が操業を開始しました。
下部の貯水池である人工湖のリマーンゼーは、半世紀前に標高1857メートルの場所に建設され、リマーンゼーはそれ自体で約500メガワットの発電能力を持ちます。
上部の貯水池は、9月9日に運転を開始したムットゼーで、こちらは海抜2474メートルに位置する、ヨーロッパで最も標高が高い人工池で、1000メガワットの発電能力があります。
こうやってみると日本ではできないと決めつけていることが、ヨーロッパに目を向ければすでに行われていることも多く、再生可能エネルギーを増やす余地はまだまだありそうです。