ドバイのギガソーラーとトランプ政権の深謀? | 夢老い人の呟き

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中東というと産油国、石油はジャバジャバジャバ使え、再エネなど関係無いかのようなイメージをお持ちの方も多いかも知れませんが、現在は再エネシフトが加速しています。

 

大規模プロジェクトで日本でも報道されているのはサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ、ドバイなどですが、サウジアラビアとアブダビは輸出用に石油資源を守るため、自国のエネルギーを再エネで賄う意図が大きいと思います。

しかしドバイはちょっと違います。

 


 

ドバイ首長国

 

ペルシア湾の小さな港町であったドバイは、中継貿易港として発展し、1966年に石油が発見された後も石油に依存せず(現在ドバイの石油生産量は日量8万バレル程度と周辺の産油国と比べてごくわずか)です。

ドバイの経済活動は貿易、観光、金融が三本柱で、空港や港湾、道路など経済活動に不可欠なインフラを整備し、経済特区を設け、行政機能を強化し、外資を誘致観光客も増やしました

 

そしてアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで建設中の、完成すればメガソーラーではなくギガソーラーとなるのが「ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム・ソーラーパーク(Mohammed bin Rashid Al Maktoum Solar Park:MBR)」です。

※メガ:10の6乗、ギガ:10の9乗 (1MW=1000㎾、1GW=100万㎾)

 


 

ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム・ソーラーパーク

 (Mohammed bin Rashid Al Maktoum Solar Park:MBR)

 

 

パネルに何か書いているモスレムのオッサン・・・・と思ったらパネルコンピューターにタッチペンで入力している図でしょうか?

先進的なテクノロジーに不似合いなイメージの人物ですが、窓らしきもの外に広がるのは広大な太陽光発電所。

中央に見えるのはイノベーションセンター、左に見える塔は“集光型太陽熱発電所”です。

 

 

■フェーズ1.2(現在稼働中)

フェーズ1(容量13MW)とフェーズ2(同200MW)は、既に完成しており、現在稼働中です 。

 

 

■フェーズ3(2020年4月竣工)

2020年4月に予定されている800MWのフェーズ3が竣工すると、MBRは世界最大の太陽光発電所となります。

プロジェクトの主体はドバイ電力・水庁(DEWA)で、DEWAが実施した競争入札でマスダール社が組成したコンソーシアムが当時としては最低価格の2.99セント/kWhで応札しました。

1kWh(キロワット時)あたり2.99セントは現在でも十分に安いレベルです。

 

 

■フェーズ4 集光型太陽熱発電所
2022年6月竣工予定のフェーズ4ではさらに700MWの集光型太陽熱発電所(CSP)が加わります。

フェーズ4が就航すると約1.7GW となります。

集光型太陽熱発電所(CSP)は、構造的にエネルギー貯蔵(蓄電)機能も持っており、 ドバイの夜間の電力需要の相当分を賄うことが可能とみられるとの事。

但し、リチウムイオン電池の価格がさらに下がり、ソーラーパネルと蓄電池の組み合わせの方がコストが安くなれば変更の可能性あり。

 

 

■イノベーションセンター

一番上の図の窓の外中央にある不思議な形をした建物はイノベーションセンターです。

イノベーションセンターは何をするかというと、ガーン、、、、次の動画をご覧下さい。

フェーズ4が竣工すると約1.7GW.

MBRプロジェクトの投資総額は、500億ディルハム(約1.5兆円) との事だが、意外と安いような気がします。

これから新規の同程度の出力の原発を作ると、アレバやWHの例をみるともっと高価になると思います。

「原発は雨でも夜でも発電する」というでしょうが、「平成21年度わが国の原子力発電所の時間稼働率および設備利用率 (12-01-01-31)」をみると稼働率は60%程度とみて良いと思いますし、保守維持費用がべらぼうに掛かります。それに廃棄物や使用済み燃料の始末や厄介ですし、テロ防止にも費用が掛かります。

出典:原発経費、重い負担 停止中にも維持費、テロ対策も

 

 

 

■トランプ政権の深謀?集光型太陽熱発電所

【2015ソーラーパネル世界ランキング】叫び

 2位のカナディアン・ソーラーは本社はカナダにありますが、オーナー経営者や製造拠点は

 中国です

  出典:http://solar-nenkin.com/market-trends/2015-pv-module-maker-top10-ranking/

 

太陽光パネルでは中国に完敗し、リチウムイオン電池でも劣勢のアメリカ。

しかし太陽光発電に比べ太陽熱発電が優位になれば立場は逆転します。

集光型太陽熱発電所にはその可能性があるのか、「太陽光から「太陽熱」発電へシフトするトランプ政権の深謀」 によると2017年9月12日、米国エネルギー省(DOE)は集光型太陽熱発電の技術を推進するために6200万ドルを投資すると発表しました。

しかしその代わり太陽発電への投資を減らしたようです。

 

陰謀論好きのワタシは太陽光パネルをセーフガードで抑え、集光型太陽熱発電の技術を太陽光発電に勝てるようにしようという、トランプ政権の策略ではないかと考えておりますが・・・・にひひ

 

2018年1月24日 Bloomberg

中国主導の太陽光発電産業に打撃、米セーフガード発動-コスト増

トランプ米政権が決めた太陽光パネル輸入への緊急輸入制限(セーフガード)発動は、2017年に世界で総額1610億ドル(約17兆7500億円)の投資を呼び込んだ太陽光発電産業を混乱に陥れる見通しだ。同産業では中国企業が支配的地位を占めている。

 

  ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスの試算では、セーフガードが発動されれば米国の公益事業レベルの太陽光発電所のコストは10%増加し、家屋の屋根に設置する太陽光パネルのコストは3%増となる見込み。GTMリサーチは、向こう5年間で米国内の太陽光パネル設置が11%減ると推定した。しかし、太陽光発電ビジネスの経済的側面が様変わりしたり、同業界での中国の立場が一変する可能性は低い。

 

  国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は23日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で、「世界の太陽光発電産業は順応するだろう。この決定が米国における太陽光発電の普及を逆行させることはないと思う」と語った。