切ない話題。シニア男性ドライバーご注意、前立腺肥大治療薬の副作用。 | 夢老い人の呟き

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孤老や孤独死、そうかと思えば高齢ドライバーの逆走や事故が話題になる昨今、長生きなどしたくないと思う人も増えてきたのではないかと思います。

笑点の大喜利の「18才と81才の違い」によると「道路を暴走するのが18才、逆走するのが81才」だそうですが、核家族化と高齢化が止まらない日本、これから増々高齢ドライバーが増え、明日は我が身かも知れません。

 

 

81才まで生きなくとも、加齢に伴い多くの男性が悩まされるのが前立腺肥大。

本人にとっては人間の尊厳にも関わる(ちょっと大袈裟か)深刻な病気であるが、世間に蔓延する「スケベなおっちゃんが罹る病気にひひという誤解と偏見から、同情などされず笑いのネタにされるあせる情けなくも切ない病気である。しょぼん汗

 

この治療によく用いられるのが「α1遮断薬(具体的な薬品名はこのリンクをご参照)」という薬であるが

、副作用については次のように記載されています。(個々の薬品名で検索してもほぼ同様)

  • 精神神経系症状
    • めまい、ふらつき、眠気などがあらわれる場合がある
  • 循環器症状
    • 起立性低血圧、血圧低下などがあらわれる場合がある
  • 肝機能障害
    • 頻度は非常に稀である
    • 倦怠感、食欲不振、黄疸などのみられ症状が続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • 高血圧治療薬(降圧剤)との併用に関する注意
    • 本剤と併用することで起立性低血圧がおこる可能性があるので注意する

ここには目に対する記載が何も無い事にご注目ください。

 

ところがこれらの薬は眼にとって重要な副作用があります。

以下に眼に対する副作用の説明をしたいと思います。

 

 

■白内障

高齢ドライバーが多い伊豆半島ですが、時々国道で前に車がいないのに徐行 かめ しているような車に遭遇します。

なぜそんなにゆっくり走っているかというと多分前がよく見えていないためで、その原因の多くは白内障ではないかと思います。

 

白内障とは眼の水晶体が濁る病気で、簡単に表現すれば曇ったガラスを通して見るようなものです。

いくら眼鏡で矯正しようとしてもあまり視力が上がらず、物がボヤケル、逆光になると見えない、周囲が明るいと日陰の物が見えにくい、酷くなると物が二重に見えたりしますが、徐々に進行してゆくため中々自覚されません。

白内障は今では日帰り手術(手術時間は30分くらい)できますし、費用も3割負担で4万円くらい、1割負担の高齢者なら1万円台で出来ると思います。

 

<白内障と前立腺治療薬>

しかし白内障と前立腺肥大は高齢男性にとってはセッメニューショボーンのようなものではないかと思いますが、前立腺治療でα1遮断薬の服用をしていると白内障の手術を著しく困難にする恐れがあります。

 

 

■α1遮断薬

α1遮断薬とは「Wikipedia交感神経α受容体遮断薬」をご参照いただきたいと思いますが、 交感神経アドレナリン受容体のうち、α受容体のみに遮断作用を示す薬剤ですが、α受容体にはα1とα2があり、そのうちα1受容体のみに作用します。

「α1受容体への刺激は血管平滑筋の収縮を引き起こし、血圧の上昇に関与する」と書かれており、これを遮断するので血圧が下がるわけですが、平滑筋は血管平滑筋だけでなく「前立腺平滑筋」はじめ体の各所にあり、それらもフニャ~酔っ払いとするのでしょうか。

 

 

 

■虹彩

虹彩は瞳の周りの茶色の部分ですが・・・・・・・。

虹彩には瞳孔を縮める瞳孔括約瞳孔を開く瞳孔散大筋がありますが、瞳孔散大筋平滑筋α1受容体遮断薬の影響を受け、虹彩が薄くビラビラになり、散瞳しなかったり突然縮瞳したりして白内障手術を困難にする、術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)の原因となります。

 

なお逆に膀胱平滑筋に作用して膀胱の働きを強める薬(ウブレチドなど)もありますが、こちらは虹彩にある瞳孔括約筋に作用し、縮瞳の副作用を起こしますので、こちらも運転には注意が必要です。

 

 

■α1遮断薬の眼に対する危険性

以下のサイトでは術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)にしか言及されていませんが、当然、縮瞳が起きやすく暗いところでは見えにくいとか、明るいところからトンネルのようなくらいところに入った時に瞳孔が開きにくく視力が回復し難いという症状も出ると思いますが、白内障が本人が自覚し難いのと同様、これらも自覚され難く報告されていないだけだと思います。

また術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)となってしまうと休薬しても効果がないそうです。

 

α遮断薬の処方時は白内障の考慮を【米国眼科学会】

以下引用

米国眼科学会(AAO)は4月7日、α遮断薬による術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)についての声明を、米国白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)と共同で発表した。

 今回の声明は、4月に発表された2件の研究結果を受けたもの。うち1件は多施設前向き盲検対照試験で、選択的α1遮断薬であるタムスロシンと非選択的遮断薬であるアルフゾシンを比較。タムスロシンの方が重度IFISを起こしやすいことを明らかにした。Ophthalmology誌4月号に掲載。

 もう1件の研究は、α遮断薬と白内障手術に関するプライマリケア医の知識をアンケート調査したもの。IFISは術前にα遮断薬を休薬するだけでは予防できないが、α遮断薬が白内障手術に影響することを知っていたプライマリケア医はわずか35%α遮断薬で治療する際、白内障を考慮に入れていたのはその半数(17%)だった。大多数(96%)は、もっと情報がほしいと回答した。Journal of Cataract and Refractive Surgery誌4月号に掲載。

 ASCRSとAAOはα遮断薬を処方する医師に対し、非緊急に処方を開始する場合は白内障を考慮するよう求めている。すでに白内障のある患者は早期に手術するか、非選択的α遮断薬治療から始めるのがよいと推奨している。

【関連リンク】
American Society of Cataract and Refractive Surgery and the American Academy of Ophthalmology Advise That Alpha-blockers Can Complicate Cataract Surgery

 

前立腺肥大症の治療をうける方で白内障の患者さんはご注意を!!

以下引用

近年、高齢化社会に伴ない、前立腺肥大症に罹患する患者さんは増加の一途をたどっております。この前立腺肥大症、以前は手術がメインで行なわれていましたが、現在は薬物療法、特にα1遮断剤がファーストチョイスになっています。

このα1遮断剤は、前立腺部尿道の筋肉をリラックスさせ、尿道を広げて排尿をスムーズに行なう作用があります。副作用としては血圧低下・起立性低血圧ですが、それ以外に白内障で手術を行なう患者さんにとって重大な合併症があります。

それは術中虹彩緊張低下症候群(intraoperative floppy iris syndrome:IFIS)というものです。簡単に言うと白内障手術中に瞳孔が狭くなり手術が難しくなることです。日常生活で問題になることはないのですが、白内障の手術を受ける場合、難易度があがることです。

そもそも白内障は年齢とともに水晶体(レンズ)が濁ってくる病気で、目がかすんだり、物が二重に見えたりするようになります。症状がひどくなると手術が必要になります。現在白内障の手術は年間100万件も行なわれているわけで、この中には前立腺肥大症でα1遮断剤を飲んでいる人も少なくないと思います。その場合手術の難易度が上がるわけですが、手術前に内服していることがわかれば、対処方法もあり難易度は軽減します。

なぜ、そのようになるのでしょうか?これは目の虹彩という部分にもα1遮断剤が効いてしまって、薄くなり起こるようです。レンズを入れるには瞳孔を拡大(散瞳)しますが、IFISでは十分な散瞳が得られず、手術する範囲は狭い状態で行なわなければならなくなります。そのため、手術の難易度が上がり、場合によっては出血や虹彩を損傷してしまうのです。

対処として、α1遮断剤の中止は効果がなく、内服していることを事前に知り、眼科担当医にそのことを伝え、準備をして手術に望んでもらうことが大切です。そうすれば手術のリスクは軽減できます。

もし白内障の手術の可能性がある患者さんで排尿困難や頻尿で治療を希望される場合は、手術が終わるまで治療を受けないほうが良いかもしれません。

これはまだ泌尿器科医でもIFISの存在を知らない場合が多く、(実は私も名前は聞いていましたが、詳しい内容は今回の勉強で初めて知りました。)また最近では一般内科医で排尿困難や頻尿に対して容易にα1遮断剤を投薬されている場合も多く、知らず知らずのうちにα1遮断剤が投薬されてしまう可能性があるからです。

現在神経因性膀胱患者にもα1遮断剤は使用されています。そのため前立腺肥大症ではない女性でも、α1遮断剤内服により、このIFISは起こりえることも十分把握しておかなければなりません。

 

手術に影響する内服薬について

以下引用

近年、白内障手術で問題になるものに、IFIS(術中虹彩緊張低下症候群)というものがあります。手術中に虹彩(いわゆる茶目)がふにゃふにゃになり手術中の水流によってうねったり動いたりする急に縮瞳(瞳孔が小さくなる)する虹彩が手術の切開創に挟まり込むなど、とにかく白内障手術がとても難しくなってしまうやっかいな現象です(下図参照)。IFISは前立腺肥大の治療に使われる薬剤で生じることがわかっています。

中心性漿液性脈絡網膜症

※図は左から、手術前の状態、術中の急な縮瞳、特殊な器具で瞳孔を拡張しているところ、無事に終了したところ
商品名ではハルナール、ユリーフ、フリバス、ユリーフ、ミニプレス、バソメット、エブランチル、デタントール(デタントールは高血圧でも使用)などという薬剤で、泌尿器科では最近これらの薬を処方する際に、「白内障手術を受ける際には、この薬を飲んでいることを眼科の先生に伝えるように」と説明していただいているようです。

ここには‟泌尿器科では最近これらの薬を処方する際に、「白内障手術を受ける際には、この薬を飲んでいることを眼科の先生に伝えるように」と説明している”と書かれていますが、眼に対する影響について知らない医師もいるようですので注意が必要ですが、車を運転する人は特に注意が必要だと思います。