SHAMBARA / DEAD END (再UP) | お茶どうぞ(仮)

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個人的嗜好を押しつける気は毛頭ないが
この作品は究極である

限定的なジャンルではあるが日本のロックとしてひとつの頂点に達したと言っても過言ではない

作品毎に繰り返されたメタモルフォーゼを目の当たりにした方はお分かりだろうが、彼らの音楽はカテゴライズ不要、唯一無二の世界を切り開き提示し続けてきた

バンドのバイオグラフィを詳細に羅列するつもりはないので簡単に書くが、本作はメジャーでの2枚目にあたる作品で、インディーズ時代の作品を含めても僅かに4枚しか(当時)作品を発表しなかった彼らだが、シーンや後続への影響は計り知れないものとなっている

その遺産の中でも特に「シャンバラ」
の輝きは突き抜けている


現存するバンド達に通じる影響という点では「ゼロ」の方が納得しやすいのかもしれないが、デッドエンド自身が新しい領域に踏み込んで制作した「ゼロ」は更なる変革への衝撃はあったものの、熟成、磨き上げたという完成度はまだ見えない

その点「デッド・ライン」「ゴースト・オブ・ロマンス」と続いてきた一連のサウンドには連続性が見られる為、この「シャンバラ」に至ってはこれ以上の事は出来ないのではないかという
完成度を誇る仕上がりとなっている

「シャンバラ」がたどり着いた未踏の景色は、バンドにこの先は下山ルートしかない事を示す頂点でもあったのである。こういった解釈を根幹に再び次作の「ゼロ」という作品を見つめると、あの驚くべき方向転換も納得がいくのである

音楽性の変化を含めてバンドの歴史は進化を
伴う事も多々あるわけで
「シャンバラ」と「ゼロ」を対の作品として捉えれば、バンドのアプローチの変化を含め各々の楽曲があらたな姿を見せ始めたり、聴感上だけではなく、その精神世界にまで思索を走らせれば一粒で二度美味しいアルバムに生まれ変わるのである

「シャンバラ」がなければ「ゼロ」は生まれずその逆も又しかり。一見畑違いとも思える岡野ハジメをプロデューサーに迎えて制作された本作は音の分離が非常に良く、全てのパートを聴き分ける事が出来るのも特筆しておく

岡野ハジメが音楽そのものにどこまで介入したかは不明だが、この後もバンドとの関係は良好の様子だし、なんらかのケミストリーが生まれたのは間違いないだろう



「EMBRYO BURNING」


素晴らしき悪夢の幕開け。地獄の扉が開こうとしているのに何故かワクワクする甘美な誘惑とでも言おうか背徳と退廃を魅力的に煽るリフ。楽曲を支えるギターのサウンドタペストリーは絶品。まさに「悪夢の絶頂」




「JUNK」

デッドエンドの歌詞世界はラブクラフト、P・K・ディック、夢野久作に代表される様な文学世界の引用が多いのが特徴だが、本作全体を覆うのはデヴィッド・クローネンバーグ的、肉体変容に対する異常な迄の執着である。肉体破壊から遺伝子操作までそのテーマは一貫していて、冷めた狂気を俯瞰して表現するという手法はモーリーの言葉選びと相まって彼らならではのものである。ちなみにこの曲は海外のチャートを駆け上がった




「PSYCHO MANIA」


本作のハイライトのひとつ。紡ぎあげられたバンドアンサンブルは他者を寄せ付けない圧倒的な物

湊の素晴らしいドラムワークは、並の「一流」奏者を置き去りにする「超一流」の片鱗を見せつけている




「LUNA MADNESS」

バンドにとって「月」は好んで使われてきたモチーフで、世相、内省、狂気、を映し出す鏡の様な存在として象徴的である
歪な歌詞世界をメロディアスに唄いクリーントーンで冷たく表現してしまう足立祐二の
ギターセンスには脱帽である




「BLIND BOY PROJECT」

リフの裏で疾走するジョーのベースラインは脈打つ無邪気な悪意の胎動を思わせるもので、歌詞もバイオハザードの世界を想起させるものだ





「BLOOD MUSIC」

こちらも湊の非常に繊細なハイハットワークを堪能する事が出来る。トリッキーなオブリガードをかぶせるYOUのアイデアも素晴らしい




「I CAN HERE THE RAIN」


本作には全英詞の曲が2曲あるが
これはその1曲

イントロのギターから芳醇なヴィブラートを聴かせる珠玉の名曲。本作におけるほぼ全ての楽曲を手がけたYOUは、作曲からその音色(トーン)
ギターのフレージングセンスに至るまで日本に現れたストラト使いとしてベストの一人であるのは疑いの余地がない



さていくつかの楽曲解説を行ったが、モーリーのクセのあるボーカルについては、最も好き嫌いが分かれるところだ。強烈なカリスマ性をも武器にしたその個性は苦手な人もいるだろうと思われる。しかしこの4人でなければデッドエンドは成立しないというバンドのアイデンティティーの根幹を支える最も重要な部分がモーリーであるのも事実だ(今現在ドラマーの湊は離脱)


冒頭にも書いたけれどこの作品が国産ハードロックにとってひとつの到達点であると自分は思っているし、客観的に見ても完成度だけなら自分が愛してやまないANTHEMの作品群を
上回っていると感じている

今夏(当時)再結成を宣言した事もあり本作を含む数作品のリマスター&再発が決定した


この記事に興味の惹かれた方は
是非聴いてみていただきたい



追記

本記事は以前に別の場所で書き上げたものをREMIXと称して多少の手直しをしたものでありますが、当時から今日まで時間が結構たっており、デッドエンドも再結成してから数枚の作品を発表、ツアーをおこないました

管理人も「Dream Demon Analyzer 」




のツアー京都公演においてデッドエンド初体験を済ませてきたのですが、ほぼ無言で進行されるステージングは曲間もアンプからのヒスノイズしか聞こえないぐらいの緊張感で、ようやくアンコール近くになって観客とのやり取りがあるまでは
オーラは感じるものの

「これがカリスマ・・・」

と、取っつきにくかった

しかもバンドは現代的なヘヴィネスを身に付けていて、気楽に見られる感じではなく
とにかく重かった印象

しかしモーリーやクールジョーの存在感は流石にハンパなく、魅せるロッカーここにありという
感じでプロフェッショナルの気概を感じた

こういったリビングレジェンドは
観れるうちに観ておいた方がいい
また、いつ四散するかわからないからね


追記の追記

アメブロも動画添付が
簡単になった事により
文字による音像の
イメージ化を必死でやって
いたのが懐かしい

我ながらこの記事には
思い入れがあったので
参考音源を貼り付けて
再度UPする事にした

最後に管理人がアルバム外
で好きだった3曲を紹介して
このしつこい記事をしめます


BLUE VICES


GOOD MORNING
SATELLITE


WIRE DANCER

最後の追記

足立祐二氏が逝去されました

語り尽くせぬ魅力を持った
ギタープレイヤーでした

今はただご冥福をお祈り致します