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伊計翼・ほか「現代怪談 地獄めぐり 無間」

現代怪談 地獄めぐり 無間 (竹書房文庫)
響 洋平 ありがとうぁみ いたこ28号 深津 さくら 伊計 翼
竹書房



深津さくら/怪異描写に生々しい迫力があり、いま怪談界で注目の新星!(…と、私は思っている)ただ体験を語るに終わらず、問いかけの形で恐怖を普遍化してしまう展開が恐ろしい。
どれも良かったのだが、とくに「中古物件」の怪異の動きがひときわコワい!


いたこ28号/オーソドックスな怪談が続いたが、ラスト「青木ヶ原樹海」の死体描写、怪異の気味悪さが目をひいた。


伊計翼/うっかり‘つばさ’と読みがちだったが、お名前の読みは“たすく”さん。安定したネタと筆力で魅せる。
「肉じゃがの匂い」この怪異の迷惑さといったら。こんな理由で苦手になったら恐ろしい。
「お前から」因果は明かされないのだが、そのミステリーテイストがたまらない。怪異つよい。
八月二十一日」いったい何をしたのか気になる…!


響洋平/よどみなく流れてリアル。
「裏山」じわりと切なく、物悲しい。
「和室」シリアスな雰囲気が一変する驚愕のラスト!


ありがとう・ぁみ/よどみない語り口でグイグイ読ませる。
「葬儀場にただよう」ほっこりいい話と思いきや、落差がスゴかった。

2019年10月の読書まとめ

 10月は、満喫で時間つぶしする機会がありマンガの数こそは読んだけれど、なかなか活字本は手つかず…すっかり、3日に1冊ペースに。

月見活字本

鬼滅の刃 片羽の蝶
現代怪談 地獄めぐり 無間
子どもが息をのむこわい話、ふしぎな話 3
怖くてふしぎな都市伝説・迷信大辞典
祝祭と予感
地獄楽 うたかたの夢
新聞という病
呪術廻戦 逝く夏と還る秋
「超」怖い話 隠れ鬼
宵口怪談 無明
世にも怖い実話怪談


紅葉マンガ本
 
悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される 2,3
異世界おじさん 3
歪のアマルガム 1(再読)、2、3
インガ様応報す 2
お別れホスピタル 3
餓獣 1
監獄実験 08-10
鬼滅の刃 17
鬼門街 1-6
狂触人種 1
サイレントメビウスQD 4
ザ・ファブル 10-19
シカバナ 1
世界歩いてるとドープな人にカラまれる
ダンスインザヴァンパイアバンド エイジ オブ スカーレットオーダー 01-03
犯人たちの事件簿 7
ヘテロゲニア リンギスティコ
魔入りました!入間くん 6-10
見える子ちゃん 2

世にも怖い実話怪談 秋の夜長に襲いかかる怪異体験



 巻頭に「怪談のシーハナ聞かせてよ」で名高い狩野英孝、事故物件芸人として人気の松原タニシ、怪談社所属の怪談師・上間月貴と怪談ファンならカンゲキの豪華インタビュー(敬称略)!
 怪談作家のページはアンソロジーとしては本数頁数が多く、かなり読み応えあり。個々の感想は下記に。

伊藤久遠
 流行りのルポ形式の怪談ではなく、やや小説よりの怪談だった。描写の詳細さはともすればフィクションめいた空気を醸してしまうものだが、「瑕疵」の語り手の感じる気まずさは妙にリアルだ(怪異キモが意図的になのか描かれていないので、この話が怪談なのか否かの判断は別として)。
 いい話と思いきや、複雑な読後感の「六文」も印象的。

宇津呂鹿太郎
 竹書房でおなじみの作家さん。
 心霊は出てこないけれど、過剰なシンクロニシティからもやもやした不安に包まれる「彼女が離婚をやめた理由」、「コックリさん」の具体性、「隣家を覗く」の不可思議さがお気に入り。

大谷雪菜
「憑いちゃう子」はタイトルがネタバレだが、その展開は読者の予見を超える悲哀と諦念があった。ラスト一行が、混迷を一層深めていく。

剣先あやめ
「清水」我が家はどうなのか…思わずハラハラしてしまう怪作。
「赤子」哺乳瓶の不気味さときたら!!

朱雀門出
 怪異のビジュアルが、まるで目の前に浮かぶよう。
「もうやちゃん」後味のドス黒さがショッキング。
「S駅の怪人」夢に見そうなルックス!!

戸神重明
 高崎の怪談で有名な著者だけに「土下座」や「妖怪金盥」、嫁姑の確執を思わせる「明日の姑」ご当地怪談が目を惹く。後半には著者ならではの昆虫の絡む怪談も。

星川慶子
 エピソードはやや地味なものの、とても丁寧な筆致。著者の真面目さがうかがえる作品ばかりだった。

正木信太郎 
「岩手の怖い話」が面白かったので期待大。
「趣味」の不気味さを越える生きる人間の強さ、「知らない」の大発見だったかもしれないUMAが印象的。
「コイントス」現象自体は大人しいのに、じわじわ怖い。

丸山政也
 竹書房でも「幽」でもおなじみの作家さん。
「凶宅ーバルコニーのある家ー」は迫力の中編。因縁の真相に迫る過程がエキサイティングだ。

鳴崎朝寝「宵口怪談 無明」


 竹書房の怪談コンテストよりデビュー。このコンテストはプロアマ不門、ウェブで受賞作品が公開されていたが毎回レベルが高かったのである。

 丁寧な筆致で紡がれる怪談を読めば、著者の怪異に対する真摯さを感じた。

 お気に入りを下記に。

ひとりあるき/まるで掌編ミステリーのように、ツイストのきいた作品。なぜ男の子なのかは、永久保貴一の心霊コミックで師匠が語っていた〈気〉の理で説明できそう。


きはだ/なまめかしくもおぞましいのに、存在が控えめな怪異が印象的。


『存在しない鈴木』/なかみが気になる!!


緑の、遠くの人/教えてあげれば〜と思うけど、なかなかできないよなあ。


四匹目/怪異よりも怖い女…彼女、もしかしたら…。


つけっぱなし/プチ考えオチ?!怪異は一見地味だが、ヒヤリとコワイ。

黒木あるじ編著「怪談四十九夜 埋骨」


 四十九話が集まるアンソロジー、ついに埋骨へ。

 うかうかしていたら次の竹書房恐怖文庫が出るころになってしまった。

 お気に入りをざっと下記に。


・つくね乱蔵

縄鳥居/正義感の行きつく先は、なんともいえぬ薄暗い世界…。
英才教育/心霊毒●にふさわしいラスト!!


・朱雀門出
あの部屋/幼いころの記憶はとかく不確かなものだが、それにしても不気味な部屋だ。
餅のようなモノ/最初から、贄として魅入られていたのだろうか…?


・吉澤有貴
スーパーボール/我が子が変容する恐怖と、物理的な恐怖の二乗。


・冨士玉女
心配性/まわりくどいけど、ええ話や…。


・我妻俊樹
例外/不条理極まる…!
神社裏の家/何やら、秘められたドラマがありそう。


・小田イ輔
擁壁の扉/描かれぬ部分がドラマチック!


・川奈まり子
空き地にいた獣/現代の●怪譚!!


・黒木あるじ

どの話が…というのでなく、渾然一体となる構成の妙に唸らされる。