地獄の辞典 第七回
天道
六道輪廻の世界の一つ。天の道。天界。六欲天とも呼ばれる。六欲天というだけあり、六つのレヴェル(階層)からなる。他化自在天、兜率天、夜摩天、忉利天、空居天、地居天などからなる。天界(天道)の住人は、諸尊諸天である。(他化自在天のみちがう。他化自在天の住人は、悪魔である。)諸尊諸天とは、神々である。神々とはいっても、この世界(欲天=六欲天)の神々は、欲まみれ、煩悩まみれである。寿命もある。五衰という現象も存在する。これは、欲天(六欲天)の神々に死が近づいた時、発生するものであり、この段階では、神々の身にさまざまな衰微傾向が生じてくるようになる。こうして五衰を経たのち、天道(六欲天)の神々は、死にいたるわけであるが、死ぬと、神々も人間と同じように、生前の業に応じて他の世界へと転生する。こうしたところは神も人もまったく変わらない。仏教の輪廻転生観では、そうなっているのである。天界(天道=六欲天)とは、極楽の世界であるが、真の浄土ではなく、苦界の一つであり、死をまぬがれることはできないというところがシビアーな仏教の世界像となっているのである。
『地獄の辞典』 補足
『地獄の辞典』 補足
『地獄の辞典』に関しての補足です。『地獄の辞典』では、オカルト(隠秘学)、魔術、魔学、エノク語、神学などをあつかった内容を予定しています。悪魔や魔神だけでなく、天使や神、宗教上の聖人なども登場する場合があるということです。
シリーズ惨獄死(さんごくし) 第二回
シリーズ惨獄死(さんごくし) 第二回
臥薪嘗胆の巻
シリーズ惨獄死(さんごくし)第二回は臥薪嘗胆の巻です。
呉越春秋
ある時の戦で呉は越に対して敗戦を喫した。闔閭自身も、この戦での足のけががもとで亡くなった。息子の夫差は、越への報復を誓い、後年、越に対して勝利を収めている。越の王、勾践もまた、この時、呉への報復を誓い、達成している。
夫差は、敗戦の苦さを思い出すため、時としてたきぎの上に身を横たえて、その痛さに報讐雪恨の念を新たにするのだった。勾践もまた、時として胆を嘗めることで、敗戦を喫した時の心情を思い出すのだった。
感想(まとめ)
夫差、勾践の両者とも雪辱に成功しているが。今日では、臥薪嘗胆の四文字を好きな言葉に選定する向きはあまりいないであろう(と思う)。恨の概念にも通じるものがあると思うが。なにか大事業をなそうという時、なにか事を断行しようという時には、時として必要な概念かもしれないと思います。
地獄の辞典 第六回
地獄の辞典 第六回
バアル
東方の大王。キリスト教に魔神として取り込まれる以前は、バビロニア神話に登場する主神。バビロニア神話における全能の神。
聖書ヘブライ語: בַּעַל
フェニキア語: LOe( ba‘al)
ウガリット語: 𐎁𐎓𐎍( b‘l)
バビロニア神話をはじめとした中近東の神話体系では、アシュタロス、セト、ダゴン、モロク、およびモートなどと関係があるとされる。
カナアン、フェニキア、パレスチナ、シリア、メソポタミア、そして、エジプトというように広範囲にわたって崇拝されていた。
バアルという名前を含む多くの名称が存在する。ハンニバルもそのひとつである。(※ハンニバル…慈悲深きバアルという意味)
シリーズ惨獄死(さんごくし) 第一回
シリーズ惨獄死(さんごくし) 第一回
劉瑾の巻
シリーズ惨獄死(さんごくし)第一回は、劉瑾の巻です。
刻切三千刀の漢
唐代の宦官。唐の時代、官界中枢で権勢をふるった。いろいろと贈答政治を行う。天文学的な数値のまいない金を受領する。しかし、好事魔多し。彼の行った不正は発覚し、劉瑾は、処断されることとなる。彼は、凌遅処死という残酷な刑に処されることとなった。処刑がはじまって一昼夜後に、彼は、粥を二椀すすった、と記録には、ある。この劉瑾の様子を見た見物人は、その彼の強健さ(身体的にも精神的にも)に、あるいは驚き、あるいは一種尊敬の目で、彼を見るのだった。その彼(劉瑾)も、処刑がはじまってから、二日後に、ついに絶命した。処刑のための執刀がはじまってから三千刀、一説に五千刀だった。
惨獄死(さんごくし)
惨獄死(さんごくし)
シリーズ惨獄死(しりーずさんごくし)
アイデア段階ですが。考えました。古今東西のちょっと残酷な話の集大成です。(実際にはちょっとではないが。)第一回は、劉瑾の巻を予定しています。しかし、題材があまり手に入らず、第一回で終わってしまうかもしれませんが。いや、第一回どころか一回もやらないかもしれませんが(その場合、第0回)。この名前(惨獄死およびシリーズ惨獄死というタイトル)は、使ってもらってもかまいません。別に意匠登録とかもしてませんし。そういうことです。とくにオチのようなものはないかもしれませんが、そういうことです。告知のようなものと思ってもらいたいです。では。
地獄の辞典 第五回
地獄の辞典 第五回
キリスト教の地獄…
刑期という概念がなく、基本的に無期刑。『聖書』にその記述がある。最悪の地獄は、寒冷の地獄である。
仏教の地獄…
八熱地獄・八寒地獄の二つの地獄が存在する。他に辺境地獄というものが存在するらしい。キリスト教のそれとはちがい、刑期が存在する(異様に長いが)。キリスト教の地獄が苦役の場であるのに対して、仏教のそれは、〈浄罪の場〉としての趣向が強い。
ヒンドゥー教の地獄…神々の反逆者ヤマが創った世界。地下世界。地界。
ギリシャ神話の地獄…
ゲへナ、ヒンノム、タルタロスの三つからなる。アイアコスの直轄地。スティックス、コキュートスなどの河、炎の谷などの景観を有する。
スエーデンボアーの地獄…
キリスト教や仏教の地獄が、苦罰や浄罪の世界であるのに対し、スエーデンボア-の地獄は、悪の世界という意味合いを有する。そこには、もはや、苦しみは存在しないのだが、住人(有罪の魂)は、そこでは、俗悪の世界に住まい成すことを余儀なくされているのである(住人は、そのことを苦とも思っていないようであるが)。
日蓮の地獄…六道輪廻の世界すべて。
地獄の辞典 第四回
悪魔
『オカルトの事典』による解釈…総称
仏教による解釈…
「悪魔」という単語自体もともと仏教語である。サンスクリット語(梵語=サンスカール)では、マーラ=パーピマーというものである。その主たる役割は、聖人や高僧を悪の道に唆して堕落させるというものである。そういう点では、キリスト教の悪魔(悪霊)と変わらない。
仏教の悪魔…
第六天(他化自在天)などの高位の天界を住居とする種族。波旬王をその総帥とする。六道輪廻の中にあって唯一、輪廻の法則に従わない種族。上述のように聖人・高僧を堕落させるという役割を持っている。その正体は、菩薩とする説も存在する。
地獄の辞典 第三回
地獄の辞典 第三回
饕餮
中国伝説上の動物。『捜神記』、『山海経』などの文物の中にその姿を見ることができる。一つの頭に二つの体を持つとされる。左右対称(シンメトリー)をなしたプロポーションをしており、このタイプのルクスを持った想像上の動物は、古今東西の神話伝承の中でもこの饕餮だけだろう。想像上の動物としてもかなり珍しい形姿といえるだろう。饕餮は、また、蓄財に励むが、布施をしない人の比喩でもある。