地獄の辞典 第七回
天道
六道輪廻の世界の一つ。天の道。天界。六欲天とも呼ばれる。六欲天というだけあり、六つのレヴェル(階層)からなる。他化自在天、兜率天、夜摩天、忉利天、空居天、地居天などからなる。天界(天道)の住人は、諸尊諸天である。(他化自在天のみちがう。他化自在天の住人は、悪魔である。)諸尊諸天とは、神々である。神々とはいっても、この世界(欲天=六欲天)の神々は、欲まみれ、煩悩まみれである。寿命もある。五衰という現象も存在する。これは、欲天(六欲天)の神々に死が近づいた時、発生するものであり、この段階では、神々の身にさまざまな衰微傾向が生じてくるようになる。こうして五衰を経たのち、天道(六欲天)の神々は、死にいたるわけであるが、死ぬと、神々も人間と同じように、生前の業に応じて他の世界へと転生する。こうしたところは神も人もまったく変わらない。仏教の輪廻転生観では、そうなっているのである。天界(天道=六欲天)とは、極楽の世界であるが、真の浄土ではなく、苦界の一つであり、死をまぬがれることはできないというところがシビアーな仏教の世界像となっているのである。