哀悼、メリンダ・ケイ・レドベター・ウィルソン | Music and others

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 すでに多くのブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)ファンの方は、心から哀悼の意を表していることと思います。

ブライアンのかけがえのないパートナーであり、マネージャーであったメリンダ・ケイ・レドベター・ウィルソン(Melinda Kae Ledbetter Wilson)さんが1月30日に逝去したそうです。
長く暗い闇の世界に棲んでいたブライアンがそこから抜け出して復活した支えになったのは、彼女がいたからこそでした。


70年代に入り過度のドラッグ、向精神薬、アルコールにより蝕まれてしまったブライアンが立ち直るために受けた、心理学者であったDR.ランディー(Eugene Landy)のセラピーがきっかけとなり、全てを依存する事態に陥ってしまいます。
様々な投薬の影響と不安定な精神状態により操り人形と化していた、ブライアンがメリンダとの結婚を機に少しづつ暗い闇の世界から抜け出す歩みを進めました。

もちろん、彼が復活を果たすまでには長い時間をかけた法廷闘争が必要でしたし、天賦の才能を再び引き出すための様々な人たちからのサポートがあったからこそ成しえた”復活”の歩みだったのです。

愛する兄弟、デニス、カール(Dennis Wilson, Carl Wilson)に先立たれたブライアンにとり、最愛のメリンダさんの旅立ちは辛い別れだったと思います。
28年間共に歩んできた時間の中で、あの未完成のままお蔵入りしていた『Smile』(『Brian Wilson Presents Smile』)を復活させてくれたのは、彼女のたゆまないサポートがあったからこそだと思っています。


2004年2月にロンドンで行われた、あの初演ライヴの映像を観て涙を流した人達ならお分かりだと思いますが、決して”Beautiful Dreamer”ではなかった歩みだからです。

メリンダさんが99年のローリング・ストーン誌のインタビューで語った言葉、「音楽ビジネスは基本的に交渉です」(The music business is basically negotiating)はとても印象的でした。 彼女がキャデラックのディーラーで車を販売していた当時と同じだったと述懐していました。

□ “Our Special Love”   by Brian Wilson from 『No Pier Pressure』;

 

 


ブライアン自身がSNSで綴っていたこの言葉が、

    メリンダは私の妻以上の存在でした。 彼女は私の救世主でした。
    彼女は私にキャリアを築くために必要な精神的な安心感を与えてくれました。
    彼女は私に、自分の心に最も近い音楽を作るように勧めてくれました。

    Melinda was more than my wife.  She was my savior.  
    She gave me the emotional security I needed to have a career.
    She encouraged me to make the music that was closest to my heart.

全てを表していますね。

 

最愛の伴侶を失った”喪失感”は、当人にしか分らない感情ですが、能登半島で起きた地震で同じような想いをされている方達も含めて哀悼の意を表したいと思います。

2005年1月31日、有楽町フォーラムで観た『Brian Wilson Presents Smile』ライヴは今でも忘れられない感動を与えてくれました。

 

 

『No Pier Pressure』のアルバムの最後のこの曲の歌詞、今思えばメリンダさんに向けての想いが籠っているように思うのは、うがった見方かも知れません・・・・・。

□ “The Last Song”   by Brian Wilson from 『No Pier Pressure』;

 

 

    Don't be sad

    There was a time and place for what we had

    If there was just another chance for me to sing to you

 

    La la la la la la

    La la la la...

 

    There's never enough time for the ones that you love

    There's never enough time for the ones that you love

    There's never enough time for the ones that you love

 

    悲しまないで

    我々は同じ時間と場所を共有してきたんだ

    君に歌いかけるチャンスがあと一度でもあればいいのに・・・・

    

    愛する人と過ごす時間はどれだけあっても足りない

 

 

 

 さて、熱狂的なファンではありませんが、大きな影響を受けたアーティストの一人であり、敬愛すべき人です、ブライアン・ウィルソンは。

今までこんなブログがありましたので、興味があればご覧ください。

 

 2013年6月 ブライアン・ウィルスン『Imagination』(ここ↓↑

 2013年6月 ブライアン・ウィルスン『Imagination』その弐(ここ↓↑

 2013年9月 カール・ウィルスン『Young Blood』(ここ↓↑

 2013年9月 ブライアン・ウィルソン『Gettin' in Over My Head』(ここ↓↑

 2013年10月 デニス・ウィルスン 『Pacific Ocean Blue』(ここ↓↑

 

 2013年11月 奇妙なコラボ 『ブライアン+ ジェフ』(ここ↓↑) 

 2017年5月 『I am Brian Wilson』(Kindle版)パートⅠ(ここ↓↑

 2018年2月 『I am Brian Wilson』(Kindle版)パートⅡ(ここ↓↑

 2018年2月 『I am Brian Wilson』(Kindle版)パートⅢ(ここ↓↑

 

 2019年3月 リンダ・ロンシュタットの自伝を読み終えて その弐(ここ↓↑

 2020年2月 ブライアン・ウィルソン vs マイク・ラヴ(ここ↓↑