『I am Brian Wilson』(Kindle版)パートⅢ | Music and others

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遅れて来たブライアン・ウィルスンBrian Wilson)のファンである小生が読み始めた自伝、と云うか、回顧録をもう一度辿っています。 精神的に余裕が出て来た今、興味深いセクションを丁寧に読み解いています。

ImBW-memoir-201610-02


 
少しずつですが、ブライアンと云う人の人生観と心の叫びに共感している自分がいます。
 
そして、次の章は『Sun』と言うタイトルです。 いみじくも、『That Lucky Old Sun』のアルバムをリリースされた時期、2008年前後の印象的な出来事、Dr. Landy の死去について言及しています。 両者の関係を、CCR時代のジョン・フォガティ(John Foggaty)とファンタジー・レコーズ(Fantsy Records)のオーナーだった, サウル・ザエンツ( Saul Zaentz )の関係性になぞらえています。 泥沼の法廷闘争になってしまった楽曲の版権争い、ブライアンは何を思ったのか、ここでも本音は語られていません。
 
そして、未だに和解の兆しが見えない、マイク・ラヴMike Loveとの関係について語られます。
 
1988年に遡り、ビーチ・ボーイズが the Rockn’ Roll Hall of Fame の授賞式に出席した際のメンバーのスピーチに言及しています。 ブライアンは、フィル・スペクターの“Be My Baby”に感謝の意を表し、カール・ウィルスンは4年前に行方不明になったままのデニスの事を偲びました。 しかしながら、最後のスピーチに立ったマイク・ラヴがとんでも無いことを話し始めたのです。 
 
「自分たち、ビーチ・ボーイズが他のどのバンドよりもロックしており、我々が成し得た事を彼らにもっと分からせたいんだ。」と言い放ったのです。 そして、ビートルズ、ストーンズ、ビリー・ジョエルの実名を挙げて、「自分達は、彼等を全てにおいて上回る存在である!」と自慢げに語ったのです。 おまけに、悪乗りしたのか、かのミック・ジャガー(Mick Jagger)の名前を引き合いに出して、「同じステージに一緒に立たなかった小心者chickenshit )だ!!」と、断言したのです。
 
会場にいた人達の中には、口の悪い冗談だと捉えた者もいましたが、ボブ・ディラン(Bob Dylan)だけは後で楽屋を訪れて、「俺の名前を出さなかったマイクに感謝するよ。」と、ジョークとも本音とも取れる、彼らしい言葉を残して行ったそうです。
 
この発言、どこまでが真実なのかは不明ですが、マイク・ラヴならいかにも言いそうな内容に思えてしまいませんか??


Good_Vibes_Mike_Love

 

 

続いて、小噺のように、何故キャロル・キングCarole King)をゲスト・ヴォーカルに招いてこのThat Lucky Old Sun』の収録曲をレコーディングしたのかの経緯を述べています。 2006年に『Beautiful Dreamer;Brian Wilson and the Story of SMiLE』のプロモーションでニューヨークに滞在した時に、老舗のイタリアン・レストラン、バルドリア(at Baldoria  -現在は閉店してありません )で食事を取っていたのです。 この店の向かい側には、60年代には音楽関係の出版社が数多く入居していた、ブリルビルディングBrill Building)が建っているのです。 そのビルの1階のカフェのテーブルに、あの有名なシンシア・ワイル(Cynthia Weil)と一緒にいるキャロル・キングに偶然出会ったからです。 もちろん、この女性陣のかたわらにはシンシアの夫君であるバリー・マン(Barry Mann)までいたそうですが(笑)。
 
同じテーブルに友人たちと集まり、シンシアとバリー、そして、フィル・スペクター(Phil Spector)による共作であり、ブライアンのファイヴァリットな楽曲の一つでもある名曲、”You've Lost That Lovin' Feelin'”をその場で即席で1ヴァースずつ歌ったそうです。
 
□ ”Good Kind of Love”  by Brian Wilson with The Wondermints    ;

 

 

 

 
 
なお、キャロルが客演した楽曲はオリジナル曲の”Good Kind of Love”でしたが、通常のアルバムには何故か収録しておりません。 Best Buyから限定発売されたCDにのみに収録される、ボーナス・トラックとされています。 この曲は、キャロル・キングが作曲した古い楽曲を思い浮かべながら創り上げたので、どうしても彼女に歌って欲しかったそうです。 もちろん、いつものブライアンらしく、子細に渡りヴォーカルに注文を付けたのは言うまでも有りません、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)の時と同じです。「音程が半音フラットしているよ、でも、君のドレスは素敵だ!」と。 
 
また、スタジオで一緒に演る内に、ブライアンのフェイヴァリットである、キャロル・キングの64年のオリジナル曲、“I'm into Something Good ”もレコーディングすることになりました。 キャロル曰く、「私はアイダホから出てきたのよ!あの曲、どうするの?」と。 全てが完璧に終わったあと、ブライアンは彼女を称して、「She was a real pro」(プロ中のプロだ!)と。 この曲、イギリスのハーマンズ・ハーミッツ(Herman's Hermits)が取り上げてヒットしています。 また、歌詞を一部変えてフットボール・アンセムになっています。 あの、赤い悪魔、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United F.C.)のファンの間で歌われ続けているのです、凄いですね。
 
□ ”I'm into Something Good”  by Brian Wilson with Carole King    ;

 

 

 

 

 

 

 
 
もう一つのネタは、とある頃、バック・ステージにドン・ヘンリー(Don Henley)が現れて、大事に抱えていた”Pet Sounds”のオリジナルLPにサインをしたそうです。ドンによれば、幼い頃に聴いたビーチボーイズのサウンド、特にハーモニーは自身のバンド、イーグルスのヴォーカル・ハーモニーに多大な影響を与えたとのことです。
 
もう、偉大なるブライアン・ウィルスンの自画自賛が果てしなく続きそうで、食傷気味になりますが・・・・。



 
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