カントリー・ミュージック界の伝説的な歌手、兼ギタリストのグレン・キャンベル(Gren Campbell)は、 60年以上に亘り5,000 万枚以上のレコードの売り上げを誇るレジェンドと言えます。
”ラインストーン・カウボーイ”(Rhinestone Cowboy)、”ウィチタ・ラインマン”(Wichita Lineman)、”サザン・ナイツ”(Southern Nights)などのヒット曲を発表してきました。
一方で、歌手だけでなく、映画スター、テレビのパーソナリティとして、アメリカのポップ・カルチャーに消えることのない足跡を残しました。
更には、凄腕のスタジオ・ミュージシャン集団、ザ・レッキング・クルー(the Wrecking Crew)の革新的なギタリストとして、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)、フランク・シナトラ( Frank Sinatra)、ザ・ビーチ・ボーイズ(the Beach Boys)、リッキー・ネルソン(Ricky Nelson)、ナット・キング・コール(Nat King Cole)、ザ・モンキーズ(the Monkees)、フィル・スペクター(Phil Spector)、ザ・エヴァリー・ブラザーズ(The Everly Brothers)など、その他多くのミュージシャンのレコーディングで活躍してきました。
今回再構築する(reimagining)対象となったアルバム、『Ghost on the Canvas』は2011年に最後のアルバムとしてレコーディングされました。 と言うのも、2010年にアルツハイマー病に罹患していることを公表し、グレンとプロデューサーのジュリアン・レイモンド(Julian Raymond)は、健康状態が良好な内にオリジナル曲による最後のスタジオ・アルバムをレコーディングすることを決定したのです。 このアルバムに合わせて、最後となるであろう『グッバイ』ツアーもやり切りました。
そして、2014年には最後となる楽曲、”I'm Not Gonna Miss You”をレコーディングし、この曲に併せて、ドキュメンタリー映画、『Glen Campbell: I'll Be Me』(邦題;『グレン・キャンベル 音楽の奇跡 /アルツハイマーと僕』)が全米で公開されました。 病と闘いながらステージに立つ姿は感動的でしたし、ゆかりのあるアーティスト達、ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)などがコメントを寄せていました。
ドキュメンタリーであると同時に、この”アルツハイマー病”(Alzheimer's disease)の認知度向上に貢献したとして全米では称賛されました。 グレン・キャンベルは闘病の末に2017年8月に81歳で旅立ちました。
余談になりますが、私の母親も同じ病に冒されて十数年近い療養生活を送っていた時期と重なるため、他人事とは思えず、2019年9月に日本国内で公開された際には劇場で観ました・・・・・。 認知する力がどんどんと衰えていく様をそのまま記録している映像を観た時には、もう何も言えない心境でした(大泣きしました・・・・・)。
ビッグ・マシン・グループとサーフドッグ・レコーズ(Surfdog Records and Big Machine Label Group)の発表によれば、アルバム・タイトルは『Duets - Ghost On The Canvas Sessions』とされて4月19日にリリースされる予定です。
オリジナル音源より故グレン・キャンベルのヴォーカルを抜き出し、音楽界の偉大なアイコン達、ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)、キャロル・キング(Carol King)、ドリー・パートン(Dolly Parton)、エルトン・ジョン(Elton John)、スティング(Sting)、エリック・クラプトン(Eric Clapton)、などが参加したデュエット・アルバムとなっています。 プレス・リリースに合わせて、下記に紹介する2曲が先行公開されています。
なお、”The Long Walk Home”と”I’m Not Gonna Miss You”の2曲は『Ghost on the Canvas』収録の楽曲ではなく、先に紹介したドキュメンタリー映画の『Glen Campbell: I'll Be Me (Original Motion Picture Soundtrack)』に収録されています。
■『Duets - Ghost On The Canvas Sessions』
All songs co-written by Glen Campbell and Julian Raymond, except where noted
1.”There’s No Me… Without You” < with Carole King > 6:16
2.”Ghost On The Canvas” < with Sting > (Paul Westerberg) – 4:13
3.”Hold On Hope” < with Eric Church > (Robert Pollard) – 3:33
4.”The Long Walk Home” < with Hope Sandoval > 2:20
5.”Nothing But The Whole Wide World” < with Eric Clapton > (Jakob Dylan) – 3:41
6.”In My Arms” < with Brian Setzer > (Teddy Thompson) – 3:27
7.”A Better Place” < with Dolly Parton > 1:51
8.”Strong” < with Brian Wilson > 3:33
9.”A Thousand Lifetimes” < with Linda Perry > (Campbell, Justin Grey, and Raymond) – 4:09
10.”It’s Your Amazing Grace” < with Daryl Hall and Dave Stewart > 3:14
11.”Any Trouble” < with X > (Westerberg) – 3:00
12.”I’m Not Gonna Miss You” < with Elton John > 2:58
produced by Dave Kaplan and Julian Raymond
エリック・チャーチは、シンプルに「彼の功績を称えるこのプロジェクトに参加できることを光栄に思います。」とコメントしています。
□ “Hold On Hope” by Glen Campbell with Eric Church;
□ “Nothing But The Whole Wide World” by Glen Campbell with Eric Clapton;
エリック・クラプトンは、
「私はいつもグレン・キャンベルのギタープレイを称賛していたし、彼の歌い方が大好きでした。 闘病中のグレンの最後のパフォーマンスがテレビで放映された時には、心を動かされました。 ジェイコブ・ディランが書いた曲をグレンと一緒に歌って演奏するように頼まれたとき、全てがぴったりだと感じたので、その一員になれることをうれしく思います。」
と言うコメントを寄せています。
それにしても、”Any Trouble”だけはアーティスト名が明かされておらず、伏せて”X”となっているのが気になりますね。