奇妙なコラボ 『ブライアン+ ジェフ』 | Music and others

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 音楽愛好家の諸氏の中には、この"哀しい"ニュースご存知の方が沢山いるかと思います。過去から数多く繰り広げられて来た、バンド名の使用権を巡る骨肉の争い、とうとうあのビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)にも訪れました。


結論として、バンド名の独占的使用権を所有しているマイク・ラヴ(Mike Love)が、バンド・メンバーであり従兄弟でもある、ブライアン・ウィルスン(Brian Wilson)を初めとして、アル・ジャーディン(Al Jardine)やデヴィッド・マークス(David Marks)らをバンドから追い払う事に成功?したのです。



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結成50周年記念のツアーのために、全員が和解した上でのワールドツアーかと思いきや、実際には水面下でレコード・レーベルにプロダクション・サイドを巻き込んだ”醜い”争いがあったわけですね。


莫大な金額と将来に亘る権利関係、そしてリリースを控えていたボックス・セット("Made In California (1962-2012)" )の発売、もう”訳あり”なのは想像に難くありません……..。



常に主役でないと気が済まないマイク・ラヴの公式見解(何と、新聞"L.A.Times"に掲載)によると、”「ビーチ・ボーイズ」のバンドの正当性を護るためであり、ブライアンとの関係に問題があった訳ではない” そうです。 『レーベルやプロダクション・サイドを含む第三者側からの”横やり”のせいで、意図しない方向に物事が進んで行くことに危惧を感じ、止むにやまれず法的な処置を取った』とのこと。


でも、昨年の10月以降もバンドをよりコンパクトにして、ブルース・ジョンスン(Bruce Johnston)は加えたまま、ビーチ・ボーイズのツアーを再開しています。決して首にした訳ではなくて、あくまで再開したツアーに招聘しなかっただけと云う顛末ですが……。70歳を過ぎてもなお旺盛なこの独占欲、アメリカ国内のビーチボーイズ・ファンの間でも、「えー!、またかよ…...」という感じで、あまり擁護している人はいないようです。




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この話を聞いてから、元々の原因だと云われているリユニオン・アルバムであった、『That's Why God Made the Radio』をあらためて聴きました。 全く好対照な作品、マイクとブライアン、16年振りにブライアンが復帰して製作された作品でしたが、ただの”同窓会”に終わらすべきだったのですね。


我々にも経験があると思うのですが、十数年振りに会った同級生と話してももうあの当時の楽しかった想い出も風化してしまい、よそ行きの会話で終わり、「じゃあ元気で、また連絡取り合おうな。」で別れるのに似ています。あまり、いい例えではないかもしれませんが......。


そして、ブライアンですが何と今度はジェフ・ベック(Jeff Beck)をコラボレーションの相手として選んで、新作のレコーディングに入っております。この10月の段階で、ほぼ3分の2は完成しているとのインターヴュー記事を目にしました。 果たして本当にリリースされるのか、あまり気乗りしていないように見えるジェフ・ベックが難色を示して、”お蔵入り”になるボツ曲が山のように増えるのか愉しみと云えば愉しみですが……。
リリースは来年の前半予定で、プロデューサーはあのドン・ウォズ(Don Was)です。



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このコラボのきっかけは、ジェフの奇想天外なカヴァー曲、”サーフズ・アップ”(Surf's Up)を耳にしたブライアン側からの提案だったようです。


◆ Jeff Beck - Surf's Up in Feb. 11th, 2005;








昨年10月からアメリカ国内で二人のジョイントツアーが行われています。日本公演の予定はなさそうですが.....。ジェフ自身が語っている様に、"奇妙な取り合せ"のツアーだと思います。




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我等が敬愛するエリック・クラプトン(Eric Clapton)もインストでこの曲演っていましたが、もうかないませんネ、さすがはジェフです、参りました。

■ Danny Boy, Brian Wilson & Jeff Beck Bands;





◆ "Danny Boy" by Eric Clapton(クロード・チアリさん風でちょっと甘過ぎデス);





そのブライアン・ウィルスンの新作について、ジェフ・ベックが語っている内容ですが、

「ブライアンがジェフを念頭に置いて書いたという組曲のような作品に取り組んでいる。」

「メロディとかコードとかのスタイルが『ペット・サウンズ』の感じを捉え直したいのかなと思わせるところがあるんだよ。みんな、いつでも俺の好きなように弾かせてくれているんだけど、実際やってみるとね、ブライアンのコード演奏が伴奏としてあると、こっちもどうしても西海岸スタイルのギターを弾かざるを得なくなるっていうことなんだ。でも、最大限やれることをやってるんだよ」