ブライアン・ウィルスン『Imagination』 | Music and others

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ブライアン・ウィルスン(Brian Wilson)のアルバムを取り上げるのは、このブログでは初になります。E.C.こと、エリック・クラプトン(Eric Clapton)と同じ位に、或いは、それ以上に尊敬し敬愛するアーティストなので、いざ書こうとすると途中でバタッと止まってしまい、そのまま放置することになります。 

事実、昨年の8月には『Smile』来日公演(2005年1月)の想い出を書き始めたのですが、やっぱり気楽には行かず中座したままです。


ウェブ上には、ブライアンのアルバム、曲を精緻に分析した素晴らしい内容の記述が数多く見られます。そういう諸氏と張り合う気持ちもないですが、その方達と同様にブライアン・ウィルソンに対してはある特別な感情を持ってしまうのです。 もうこれは、全世界のファンに共通の感情の様でもあり、”Smile”再現ライヴが行われた中野サンプラザの会場でも感じました。
もう一生忘れることのない、素晴らしい瞬間、包み込まれるような一体感を感じた日でした。


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ポップス(Pops)というエンターテインメントの世界に『芸術性』と云うものを持ち込んだ最初のアーティストだと思います、ブライアンは間違いなく。 30数余年にも及ぶ、長い空白の期間、屈折(挫折)の中から産み出された彼の作品、何度聴いてもいつも新しい発見があります。



リアル・タイムで彼の音楽に触れることが出来なかったこと、少し後悔しています。 本当の彼の音楽にきちんと向き合えたのは70年代後半になってからでした。 脳天気なサーフィン、ホットロッド・ミュージックだという側面しか見ていなかったようにも思います。 



音楽的なリーダーであったにも拘らず、表舞台から姿を消してしまい、長い眠りに着いてようやく復活したブライアンの紡ぎ出す作品、それらを評する時に必ず付くようになった”無垢”Innocentとか、”ひたむきさ”と言うワード(Word)が全てではないかと思います。




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今回、取り上げる『Imagination』は98年にリリースされた彼の2枚目のソロ・アルバム(4枚目ですが、オリジナルのマテリアルとしては2枚目)になります。 本当の意味での完全復活を印象付けた素晴らしい作品だと言えます。 


1枚目のソロ作品、『Brian Wilson』は1988年にリリースされましたが、陰に陽にその存在が何かと”胡散臭く”言われた精神科医、ユージン・ランディ氏(Eugene Landy)の影響があり、揶揄される面がありました。 まあ、所謂”操り人形”のようになっていたとか、向精神薬の過度の服用により病状がさらに悪化していたとか、目を疑うような話題が先行していました。 決して悪い出来ではないのですが、正真正銘のブライアンが復帰したという印象を抱いたのは本作になります。



◇  Track list  *****

1."Your Imagination" (Brian Wilson, Joe Thomas, Steve Dahl)
2."She Says That She Needs Me" (Brian Wilson, Russ Titelman, Carole Bayer Sager)
  ※)Originally composed by Wilson in 1965 as "Sandy", and rerecorded in 1976 as "Sherry She Needs Me", but never released by The Beach Boys

3."South American" (Brian Wilson, Joe Thomas, Jimmy Buffett)
4."Where Has Love Been?" (Brian Wilson, Andy Paley, J.D. Souther)
5."Keep an Eye on Summer" (Brian Wilson, Bob Norman)
  ※)Originally released on The Beach Boys' Shut Down Volume 2 in 1964

6."Dream Angel" (Brian Wilson, Joe Thomas, Jim Peterik) – 3:21
7."Cry" (Brian Wilson) – 4:56
8."Lay Down Burden" (Brian Wilson, Joe Thomas) – 3:44
9."Let Him Run Wild" (Brian Wilson, Mike Love) – 2:29
  ※)Originally released on The Beach Boys' Summer Days (And Summer Nights!!) in 1965

10."Sunshine" (Brian Wilson, Joe Thomas) – 3:20
11."Happy Days" (Brian Wilson) – 4:44
  ※)First section originally recorded by The Beach Boys as "My Solution" in 1970, but remained unreleased

◆ Produced and Arranged by ;
  Brian Wilson and Joe Thomas

◆ Mastered by;Bob Ludwig

□ Recorded at;
  Brian Wilson's House
  Shrimp Boat Studio, Key West, FL.
  Ocean Way Recording, Hollywood, CA
  Masterfonics, Nashville, TN




◇ 「Your Imagination」by Brian Wilson



「Your Imagination」
このアルバムの印象を一気に引き上げた正にポップ・チューンの王道路線です。随所にブライアンにしかできない多重に重ね合わせたコーラス・ワーク、そして、ティンパニや弦楽器、打楽器の巧みな使い分け、やはりすごい才能(頭脳)を持ち合わせた人です。 プロデューサーのジョー・トーマス( Joe Thomas)に因ると、この曲は音節毎に作られており、断片化した言葉の積み重ねで構成されており、レコーディングでは最も苦労したとか。



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Lay Down Burden
ブライアン曰く、”自分自身の復活とより幸福な日々が近づきつつあることを意味している。 過去、例えば弟のカールの死をを忘れることでね。 あのことは忘れなくちゃならないんだ。” とても、パーソナルな”鎮魂歌”という趣きで、シンプルですが、うねるようなコーラス・ワークがとても印象的です。


So many years spent running away
How many times I wished I could stay
Too much emotion, a hole in my heart
Feeling alone since we've been apart and

If I had the chance I'd never let you go
I just want you to know

Down, lay me down, lay me down
Lay down burden
Down, lay me down, lay me down
Lay down burden

So many things I wanted to do
How many times spent thinking this through
So many nights spent here by the phone
Wonderin' if you felt just as alone and

While some things have all been
Crazy from the start, it's tearing me apart


Down, lay me down, lay me down
Lay down burden
Down, lay me down, lay me down
Lay down burden

Just remember the way I held you
You're always in my heart

Down, lay me down, lay me down
Lay down burden
Down, lay me down, lay me down
Lay down burden





訳すると少したわいのない感じになりますが・・・・・・素直な語り口ではないでしょうか!


長い歳月、いつも逃げ回って生きてきた
この身を落ち着けられたらと何度願ったことだろう
色々な感情に翻弄されるあまり
僕の心には穴が空いてしまった

僕らが離ればなれになってしまってからとというもの
孤独に襲われっぱなし

もしも、僕にもう一度チャンスが与えられるのだとしたら
絶対に君だけを行かせたりはしない
このことだけは、君に知っておいてもらいたいんだ

コーラス)
この身を投げ出そう
全てを任せよう
心の重荷を投げ捨てよう
投げだそう
僕はこの身を投げ出して降参しよう
心の重荷を投げ捨てるんだ




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アルバム・スリーヴの最後には、愛する家族、前妻との間の娘二人、カーニーとウェンディ(Carnie&Wendy)、そして,現在の心の支えとなっているメリンダ夫人(Melinda Wilson)と二人の女の子、ダリアとデラニー(Daria & Delanie)への愛と感謝が綴られています。 

そして、 98年に亡くなってしまった愛する母、オードリー(Audree Wilson)さんと一番下の弟であるカール・ウィルスン(Carl Wilson) へのありったけの想いが記されています。

In loving memory - to my mother Audree・・・・・・

THIS ALBUM IS DEDICATED IN LOVING MEMORY TO MY BROTHER CARL.



◇ 「Lay Down Burden」by Brian Wilson;