新規取引の銀行と交渉するにあたって 2
5月22日
勇気を持って都市銀行に相談に行ったとします。
御社が、融資のできる基準に達している会社であれば、
相談に乗った行員は、かなり積極的に融資を実行できるよう、応対すると思います。
時々、モチベーションの下がっている行員にあたると、違った対応もあり得ますが、
通常は、何とかノルマ達成のため、熱心に応対してくれると思います。
早い場合は、翌日にも電話で、融資額、金利、融資期間の提示がある場合があります。
ところがここで、多くの方が、この提示された数字を理解できず、
都市銀行なのに、高利貸しなのかと怒ってしまう方が時々いらっしゃるのです。
最近、弊社のお手伝いをした案件でも、8や9%という金利は別に特別ではありません。
もちろん平均は3%~5%程度が多いのですが、
この数字に驚かれるお客様が多いのです。
このことに驚くこと自体が、銀行に対する現状の理解が不足しているというか、
錯覚を起こされていると言わざるを得ません。
なぜなら、担当した行員は、別にお客様の好き嫌いや、良し悪しで決めているのではなく、
提出した財務諸表、たとえば某都市銀行では、
直近2期の傾向と、直近1期の財務内容を元に、ほぼ自動的に格付けを判定して、
この格付けに見合った、融資条件を提示しています。
ですから、もしあなたの会社が融資の相談をして、
銀行から融資期間1年、年利8.5%なんて言う提示を受けた場合は、
残念ながら、あなたの会社の財務内容は、提示された条件に見合ったレベルの財務内容ということで、
若干のアローワンスはあるものの、年利8.5%が交渉によって5%以下に下がるかと言えば、
これは絶対に不可能なことなのです。
万一、大幅に金利を下げるような行員がいたら、
この行員は間違いなく、背任の訴追を受ける可能性があります。
なぜなら、行内のルールを間違いなく破っているからです。
いろいろな意見があると思いますが、
私は都市銀行が10%に近い金利でも融資をするようになったことは、
むしろ歓迎すべきことだと思っています。
それは、都市銀行も、リスクに見合った金利を取るようになった、
言い換えれば、銀行もリスクをとるような融資をするようになったということだと私は理解しています。
それこそ以前は、都市銀行が中小企業に無担保でばんばん融資をするようなことは、
私の認識では少なかったと思います。
時々太っ腹な名物支店長が黙って出してくれたという逸話はどの銀行でも、
一つや二つはあったかもしれませんが、
日常的に行われてはいなかったと私は理解しています。
以前は、上場企業やそれに順ずる企業に、あるいは中小企業の場合は不動産という、
絶対に下がらないと認識されていた担保を取っていたので、
1%~3%程度の金利でも、十分債権を保全し収益を上げることが可能だったのだと思います。
更に金融行政によって、銀行はつぶさないという保護下にありましたし、
護送船団方式という名の元、まったく横並びの経営をしていましたから、
余計に型にはまったようなサービスをしていたのだと思います。
でも今は、担保に取る不動産も、
不動産業者は上手いことを言って、不動産物件を売ろうとしますが、
銀行やファイナンス会社で、今後ともずっと継続して不動産が右上がりに推移するといった
ノーテンキな認識をしている馬鹿な金融機関など1社もありません。
それに日本の財政の問題から国債価格の下落の可能性も低くなく、
こうなれば長期金利は間違いなく上昇しますので、
特に長期金利に連動する住宅ローンのデフォルトはかなりの懸念材料になっていますし、
無担保融資も、ほぼ金利は固定ではありませんので、デフォルトの懸念は大きいのが現状です。
更に、今盛んに中小企業に行われている融資は、無担保融資が主流ですので、
銀行にとっても、どのような会社にも以前と同じように、1~3%の金利で融資できるはずがありません。
正直なところ、弊社のお手伝いした無担保融資でも、返済不能になった会社の数は、10社以上あります。
このようにリスキーな融資を銀行も行っている以上、
リスクに見合った金利を取ること自体は、むしろ健全なことだと私は思っています。
事実、10%近い金利を提示した銀行であっても、
一方、財務内容の良い会社には、無担保融資であっても、2%台の金利で融資を行っていますので、
この辺りは、銀行も理屈に運営をしていると思います。
ですから、提示された融資の条件が、あまりにも厳しく、
最初からデフォルトの可能性が100%だと認識をするような場合を除いて、
新規取引の時の銀行が提示する条件、特に金利に、
自分の思い込んだ数字をイメージして、固執することはお止めになった方が良いと思います。
どこの銀行に持って行っても、通常、そうそうより良い好条件が提示される可能性は低く、
金利などの、融資条件を良くしたいのなら、ともかく会社の財務内容を良くすることが大切で、
財務内容を改善することなく、融資条件を良くするための交渉をすることはほとんど無意味です。
また、銀行、特に都市銀行は昨日も書きましたように、
行員一人あたりのノルマもきつく、新規取引時の融資で満足していることはなく、
財務内容の改善や事業の発展に応じて、もっともっと融資していきたいと言うのが銀行の本音ですし、
既存取引先として、日常の取引状況から、良い取引先と判断すれば、
融資条件が好転する可能性は大です。
もちろん銀行は、自ら自動的に融資条件を良くするような体質でないことも事実ですが、
その時その時に財務内容の改善という客観的事実を持って交渉すれば、
大幅な融資条件の改善は可能です。
財務内容が良くなれば、別の銀行だって黙ってはいませんので、余計に交渉がしやすくなります。
あなたが、もし銀行からの融資も受けないと
事業の発展やスムーズな運営ができないと思われているのなら、
それも多額の融資を計画されているのなら、
都市銀行との取引は不可欠と思いますので、
最初のコンタクトで行き違いのないようにされるのが賢明だと思います。
具体的には、銀行から提示のあった融資の条件は、
若干の交渉は必要ですが、
よほど会社にとって返済が困難と思われるような条件でない限り、
無理な交渉をすることなく、まず取引を始めることに優先順位を置き、
ともかく取引をスタートされることをお薦めいたします。
資金調達同様、銀行取引も長期スパンで考えることが大切と思います。
このことは弊社の今までのご支援会社でも十分実証されていますので、
ご参考にしていただいて良いことだと思います。
新規取引の銀行と交渉するにあたって
5月21日
今日は資金調達、特に銀行と新規取引をする時に、
銀行が提示する、金利や融資期間など条件を、
どのように考えるかという話題について書きたいと思います。
最近新聞紙上にも載っていましたが、
今年も各行とも、中小企業への無担保融資の額は大幅に予算アップされています。
弊社のお客様の中にも、融資条件を提示された時、大きな勘違いをした結果、
有力な銀行との取引機会を逸してしまう方が多く、
何度もこのブログでも書いたことですが、
再確認の意味も含めて、ご案内したいと思います。
しかし、融資表件について書く前に、お客様にとって、一番のよくある勘違い、
都市銀行に対するアレルギーについて書きます。
確かに中小企業の社長にとって、一度飛び込んで融資の相談をした時の銀行の印象は大きく、
横柄な態度の行員に門前払い的な対応をされると、とても悪い印象を持ってしまい、
この銀行とは永遠に、どのセクションも自分のような会社は相手にしていないと、
思い込んでしまう傾向があります。
誰でも、融資を申し込むために銀行に行くこと自体、それほど楽しいことではありませんし、
その上、親子ぐらい年の違う行員に無下に断わられたりすると、
プライドは傷つき、その銀行の名前を聞いただけで、寒気を感じる方もいらっしゃると思います。
ところが、ここ数年の金融情勢は大きく変化しており、
今や、銀行は貸すことのできる融資先を探して、
それこそ涙ぐましい努力をしています。
どこの銀行とは言えませんが、某都市銀行の、融資を担当する、
東京23区の中規模の部署の中堅行員の一月のノルマはどのぐらいだと思われますか?
私の知っている行員の毎月のノルマは、
新規貸出先5億円、既存先を含めて20億円の融資と手数料収入が3千万円だそうです。
この数字が重い数字なのか、軽い数字なのか、見方はいろいろだと思いますが、
私は非常に厳しい数字だと思います。
最近は、店舗数も行員の数も減少傾向にあるため、
既存取引先の面倒を見るだけでも、かなり時間が制約される上、
新規取引先を見つけて毎月5億円の融資を実行していくと言うことは、
よほどネットワークを持っていないと物理的にも不可能に近い数字と思います。
ここで何が言いたいかと言いますと、現在の都市銀行の融資担当者は、
貸したくて貸したくてしょうがない心境にあるという事です。
でも貸してくれないじゃないかと反論を受けそうですが、
銀行がまた不良債権の山を持たないように、
どの行員でも、融資先を審査するにあたり、
行員全員の共通の審査基準というものがあり、
それも以前のように、
「人格が良い」とか「信頼感がある」とか「事業に熱心である」とか言った、
情緒的な審査基準ではなく、数値化された基準で審査するようにルール化されているため、
できない基準の会社には絶対にできないということで、(若干ファジーな部分もあることはありますが)
逆に、できる基準の会社には融資は絶対にできるということなのです。
このため、融資の申込をして、融資ができない基準と判定され駄目だった時、
顧客と同様、担当した行員も相当落胆していると言うことをご認識頂きたいのです。
(融資が可能かどうかの基準は、2月頃のこのブログに詳しく書いていますのでご参照下さい。)
90年のバブル崩壊から、しばらくあったような超過し渋り状況の銀行と、
言い換えますと、自己資本率が下がると大変だった、貸したくても貸せなかった頃の銀行と、
現在の銀行の状況は全く違うものと考えてもらって良いと思います。
過去に都市銀行に嫌な思い出を持つ方も、一度相談に行かれると、
かなり様子が様変わりしていることに気付かれると思います。
仕事として見た資金調達コンサル業 5
5月20日
メンバーから資金調達の支援を要請されたものの、
打診できる金融機関などありませんでしたし、
何百億円資金調達をした経験があるといっても、
ほぼ不動産や株式を担保とした資金調達しか経験がなく、
さらに銀行被害の方の相談を受けてきたと言っても、
どちらかと言えば、資金調達をすることより、
資金調達の後始末をどうすれば良いかが詳しいだけで、たいした役に立たず、
どうすればこの状況を打開できるか、真剣に考え悩みました。
いくら考えても良い方法は見つかりませんので、
ともかくメンバーの中で、金融機関や金融機関OB、あるいは関係者など、
少しでも金融と関係のある人をあたるしかないと考え、1ヶ月ほどそれこそ毎日、
あたりがあれば、メンバーの人脈を作った時と同じように、
全国どこへでも、飛び回りました。
やっと会えても、地方の信金の関係者で、その地域の案件しか相談できなかったり、
また、会ってみると、全くの悪徳ブローカーであったり、悪徳金融業者であったりもしましたが、
執拗に、たとえば信金の関係者であれば、同級生で都市銀行にいる方がいないかとか、
いろいろ手を変え品を変え、いわゆる人脈の深堀をやっていく中に、
少しずつ都市銀行や有力地銀や有力なファイナンス会社と、
直接ではないにしろ、なんとかメンバーの案件を打診できるようになりました。
ところが、この頃の銀行は全て全滅で、とても新規先へ無担保融資などできる状況ではありませんでした。
この頃、メンバーのお手伝いができたのは、一部ファイナンス会社と公的資金の案内でした。
しかし、忌憚なく書けば、一回の案件での成約額は多くて1千万円、
通常は5百万円前後がやっと成約できるぐらいで、
顧客にとっても、自分にとっても、顧客紹介をしていただいた方々にも、
十分満足のいく額の支援ではありませんでした。
以前ブログにも書きました、
高金利の融資をお手伝いしたことが仇となり、
お客様の破綻を促進したような結果となったのもこの頃のことです。
またこの頃、多くのコンサルタントや顧客紹介の協力者と一緒に仕事をしましたが、
多くの方が、あまりの成約率の低さや、成約額の少なさに嫌気をさしたり、
顧客を紹介をしようとアプローチしたところ、心無い中傷を浴びたりして、
この事業から辞めていった時期でもありました。
100名近くいた提携コンサルタントや顧客紹介の協力者などが、
一気に10名に満たないような人数になったわけですから、
かなり魅力のない仕事だったのだと思います。
このような状況でしたから、私もさすがに不安を感じました。
辞めていく人も、口々に、
「資金調達の仕事は堅気の人間には無理だ」
「お客は勝手に銀行に行くから、こんな商売は成り立たない」
「自分の信頼を無くす」とか、
ありとあらゆる、言い訳をして辞めていきました。
私も、これらの意見も一理あると思ったりもしましたが、
やはり新しい事業を起こすには、もともと無理な方々であったとも思いました。
このようなことを言い始めれば、新しい事業などできるはずがないからです。
こう言った、少し傲慢とも思える信念と、
もともとメンバーの資金調達の支援から始めたサービスでもあった訳ですから、
そうそう簡単に、この仕事を止めにくい状況でもありました。
しかし、何より思ったのは、今は満足な支援ができていないが、
もしできたとしたら、顧客にも喜んでもらえるし、
ニーズ自体は山ほどあるのだから、
事業として成り立つはずだと言う、今から考えると、恐ろしくリスキーな、
しかし恐ろしく固い信念を持っていたようです。
とは言いながら、執拗に案件の成約を目指し活動を継続していきましたので、
金額は少ないものの、成約実績の数は100件、200件と増えていきました。
そうすると、銀行など金融機関とのネットワークも拡大するし、
何よりも良い案件を紹介してくれる、
税理士事務所など士業の方々や、地域や業界の実力者との提携もでき始め、
それにもまして、満足いかない支援であっても成約できた顧客の人脈は、
更に紹介を呼ぶような人脈の広がりを招き、
一度激減した、資金調達コンサル事業のネットワークが急に広がりを持つようになっていきました。
この頃、今から考えると、この事業を継続していく自信が、
おぼろげながら見え始めた時期でもあったようです。
事実この後、金融状況の変化に伴い、
一気に1案件で5千万円、1億、2億とブレークするのですが、
この頃の基礎体力のようなものがあったからこそ、
今があるのではないかと思います。(続く)

