仕事として見た資金調達コンサル業 6
5月25日
成約案件の数が増加するとともに、
金融機関もお客様のネットワークも一気に増える状況となりました。
ただこの頃は、ちょうど今から6、7年ぐらい前の1999年前後でしたから、
私の記憶では、
まだまだ銀行の財務内容も悪く、
数年後にはりそな銀行や足利銀行の破綻を迎えるような時ですから、
今のような金余りの状況ではありませんでした。
このため、今のように各銀行が中小企業に対する無担保融資を当たり前のように行う状況ではなく、
この時にノンバンクからの融資やリース、直接金融、公的資金など様々な資金調達方法で、
お手伝いをしていました。
また、今では6店舗まで成長したパチンコホール経営の会社の立ち上げのお手伝いをしたり、
パチンコホール向けのファンドの立ち上げ(失敗に終わりました)に参加したり、
超債務超過の会社や、以前ブログでも書きました誇大妄想の経営者のご相談に乗ったのも、
M資金もどきの話に、具体的に首を突っ込んだのもこの頃で、
今から、考えると、はなはだ非効率で、成約など程遠い案件のお手伝いをしましたが、
このような一見無駄と思われるような経験が、
経営者の見る目や、案件の判断力向上、また人脈の拡大にはとても役立ち、
現在の事業運営にすべて活きていることを考えると、
有名なコンサルタントF氏がよく言う、
「人生は、全て必要・必然・ベスト」ということもあながち嘘ではないと思うところです。
そして、経済状況も変わり、都市銀行が中小企業への無担保融資を開始すると同時に、
私のこの仕事が、一気に上昇することとなります。
マスコミ報道で、M銀行が中小企業に無担保で5千万円まで融資するサービスを開始したことは、
仕事柄、当然のことながら掴んではいましたが、
忌憚なく言うと、このサービスは建前であり、
正直なところ、世間の銀行の貸し渋り批判に対する言い訳のようなものではないかと思っていました。
ところが、現在も一緒に仕事をする、
現在大成功しているコンサルタントと一緒にやった案件の時でした。
実質経営者が金融ブラックで、売上もまだ3億円前後、しかし独自性ある運営ノウハウを持つ、
あるスポーツ施設運営の会社のお手伝いをした時なのですが、
さまざまな調達方法を模索したのですが、どれもこれも駄目で、
最後にベンチャーキャピタルからの出資を前提とした資金調達も断わられた時、
この提携コンサルタントから、
駄目もとでM銀行に知り合いがいるから相談してみようかとの提案がありました。
私も情報としては、中小企業への無担保融資をM銀行が始めたことは知っていましたが、
なんといっても、実質経営者が金融的にはブラック状態で、
お飾り的であった代表者は問題がないにしても、銀行に融資を申し込んだ後、
会社の説明や事業の将来性を語る上で、実質経営者が出ないことには、
とても銀行の融資を引き出すだけの説得力はないと考え、
打診するだけ無駄ではないかと私は思いました。
しかし、他にも方法がないし、ともかく相談だけはしてみようと言うことになり、
提携コンサルタントがM銀行の都内の某セクションに持ち込むことになりました。
持ち込む朝まで、この会社の実質的経営者のことを言うべきかどうか迷ったぐらいですから、
今から思えば、本当に駄目もと、出たとこ勝負であったと思います。
ところが銀行に案件を持ち込んでから数日経って、
銀行から経営者と面談がしたいので、日程を調整して欲しいと言う連絡が入り、
100%断わられると思っていた、私達は驚きました。
でも多分駄目だろうと思っていましたので、
面談には実質上の経営者の方にも出席してもらうことにしました。
経営者との面談時に、私は同席しなかったのですが、
面談後、提携コンサルタントから、実質経営者の金融トラブルは承知の上で、
1億5千万円を無担保で融資することに決まったと聞かされた時には、
本当に驚きました。
と同時に、銀行は本当に変わったのかも知れないと認識したのもこの時でした。
今なら、銀行、特に都市銀行が無担保融資をすることは常識になっていますが、
(でも、まだまだご存知ない方が多いのには驚きます)
この頃は、仕事柄情報が入りやすい我々でも、
本当に都市銀行が無担保融資をするということを、この案件ではじめて知ったぐらいですから、
中小企業の経営者の多くの方々はご存知ではなく、
その頃にしてみれば、本当にびっくりするぐらいの数の案件が入り、
多くの融資のお手伝いができました。
また支援金額も、5千万円~2億円といった案件が出てきて、
以前とは比較にならない状況となりました。
前回のブログで触れた、満足いかないものの、成約案件が出てきた頃を1回目の
ターニングポイントとすると、
この時が、資金調達コンサルティングの仕事における第二のターニングポイントであったと思います。(続く)
M資金もどきの体験談 最終回
5月24日
そろそろ、この馬鹿な体験談も最終回にしたいと思います。
頭取と資金者と称する側の、先に資金を入れるか、先に頭取の意思確認をするか、
この二つのことが平行線をたどり、どんどん時間が経っていきました。
そろそろ頭取が退任を撤回できるための時間も期限が迫り、
我々も焦りましたが、
もっと焦ったのが資金者と称する側の人達でした。
ある時は、頭取に今回の話が本当の話であると信用させるために、
頭取の紹介者であるY氏に、
なぜか多くの場合、この手の話はT銀行がよく登場するのですが、
上京してもらえばこの銀行の本店に連れて行き、資金の証明となるものを見せるから、
確認をして、頭取に上京するように説得をして欲しいと言う話が来ました。
わざわざY氏は上京したのですが、T銀行の本店ではなく、新橋の喫茶店に連れて行かれ、
別のM銀行の某支店の別段預金の口座番号*******番に50兆円預けてあるという、
本当か嘘か分からないようなメモ書きを見せられたました。
まったく頓珍漢な話で、
そもそもT銀行の本店に資金があるといいながら、M銀行の某支店に資金があると言い、
また別段預金に資金が入っていると言うことなのですが、
私の常識でも、弊社の元銀行員の社長の常識でも、
別段預金はM銀行の預金量にカウントされるので、
この銀行の預金量は70兆円前後ですから、
他の預金は20兆円しかなくなってしまうと言った具合で、
本当に超法規的措置でもない限り、映画の見すぎか、小説読みすぎ症候群でないと、
とても信じ切れない話になりました。
またある時は、実は資金者とは、元大蔵省の事務次官のC氏であるとか、などなど、
資金者と称する側から、ありとあらゆる説得が始まったわけですが、
この説得の材料が、はなはだインチキ臭く、説得活動をされればされるほど、
欲ボケをしていた我々も、さすがに気持ちが引くようになりました。
もちろん頭取もです。
もっともっと傑作な、馬鹿げた話が本当にいろいろありましたが、
最高なのは、ある資金者と称する人から出たと思われる情報が、
後で分かったのですが、回りまわって、もとの資金者と称する同一人物に戻ったりもしました。
現在、案件の紹介をしてもらったりして、この資金者と思われていた人と親しくしているのですが、
全く人の良い、信じやすい好々爺で、とても資金者ではなく、(当たり前ですよね 苦笑)
結局のところ、現実的な仕事がうまく行かなかったり、
過去の栄光が忘れられず、一攫千金の夢を見る信じやすい人々の中を、
インチキ情報が循環していると言うことがよく分かりました。
もちろん、確信犯的に詐欺や恐喝を目的とした場合もあると思いますが、
何のメリットがあって多くの人が、熱心に活動しているのかと言う点については、
このことで納得したものでした。
賢明な読者の方々は、こんな馬鹿な話に誰が乗るのだろうと思われるでしょうが、
多くの、それなりの地位や名誉や財産のある方でも、
この話に一度は乗ったことがある方が結構多いので驚きます。
私ももちろん、馬鹿の一人なのですが、
少し親しくなって、まさかと思われる方に聞くと、
「イヤー実は」と頭を掻きながら告白される方も多いので、
大金の夢物語には気を付けないといけないとつくづく思います。
長々と、この馬鹿話にお付き合いいただきありがとうございました。
この手の話は100%インチキなので、気をつけましょう。
一番気をつけないといけないのは、私ですが・・・・・・。
東京の不動産についての
5月23日
このブログを書き始めた2月頃と今とでは、
東京を中心とする不動産の状況が、
間違いなく変わってきているような気配を感じます。
昨年から年初辺りまでは、
不動産購入の資金調達のご相談に来られるお客様の案件で、
利回り、つまり家賃収入/購入価格が大体10%前後であることが多かったのですが、
最近はこの数字が5%前後に下がっている傾向を感じます。
またお客様の不動産売買のお手伝いもしているのですが、
ここでも市場から出てくる、収益物件の利回りの数字がやはり低下傾向になっています。
特に港区など人気のある場所にある収益物件は、
5億円以下の小型物件でさえ、非常に品薄になっているようです。
そもそも、ここのところ、
リート(不動産投資信託)や私募のファンドに組み込むためのニーズで、
大型物件を中心に、かなり加熱しているようですが、
この傾向がここへきて、小型物件へ、また人気の場所から他の場所へも拡散してきているようです。
ここで、余計なお世話かと思いますが、
以前の私の失敗したトラウマからくる私見と、金融機関の本音も交えて、
不動産投資に対する感想を書きたいと思います。
現在書店に行くと、
「誰でもできるアパート経営」とか、「副業でできる不動産投資」とかいう本が並び、
勉強会も盛んに行われているので、
現在不動産投資を実際にやっている方や、
不動産会社や不動産コンサルタントの方には、気分の悪い記事になるかもしれませんが、
以前大馬鹿な不動産投資をして、数百億円にものぼる負債を持つに至った、
大失敗者の独り言と思ってお読みいただければ幸いです。
私見ですので、理論的な証明をするわけでもなく、そのような知識も持ち合わせていませんので、
あくまでも感覚的な話ですから、利害関係にある方も、失敗者のたわ言と思って、
一笑に付しお読みいただければと思います。
私自身、大失敗で全てを失くしましたが、
悪運が強いのか、現在また小型物件の取得なら可能な状況になりました。
でも、失敗の過剰反応と笑われるかもしれませんが、
ここしばらくは、10億円以下の小型物件の取得は、リスキーで投資をする気にはなりません。
といって、大型物件を購入するだけの資金がないので、
現状は不動産投資はやらない方向で考えています。
一番の理由は、
あまりにも多くの方が、不動産投資はOKという状況になっていて、
投資時期として面白くないと言うのが大きな理由です。
言い換えれば、売り手も、買い手も、東京23区なら利回りが5%程度でも仕方がないという、
市況になっていて、割安感がなくなっているので、投資に適した時期ではないと思っています。
二つ目の理由は、よく本でも書かれている、
省力化や団塊世代のリタイアによる勤労人口の減少、
少子化などによる不動産に対する需要の減少です。
このことについての是非は、多くの本なので紹介されていますので、
詳細は省きますし、事の是非も敢えて書きませんが、
少なくとも私は、大きなトレンドとして、
日本における不動産に対する需要の低下は、一部地域の超優良物件以外、
否めないと私は感じています。
しかし何より、私がリスクを感じていることは、
日本の財政危機(破綻)⇒国債の暴落⇒金利の上昇⇒不動産担保の融資のデフォルトの増加
⇒不動産価格の暴落 ということです。
このことも多くの本で紹介されていますので、是非は皆様のご判断にお任せするとして、
私は確実に上記のような現象が起きるかどうかの100%の確信はありませんが、
リスクとしては押さえておかないといけないことと判断していますし、
私はこの現象がある程度明確になる2010年頃までは、
この現象の様子見と言った観点で投資を控えたいと思っています。
弊社の付き合っている金融機関、特に不動産担保ローン専門の会社の見解も、
上記の現象を考えているのかどうかは定かではありませんが、
5年ローン以上の融資はリスクがあるので、本音では避けたいと思っていることからも、
全く的を得ない認識でもないと感じています。
この間も、テレビだったと思いますが、
100%ローンで買っても不動産は安全と言うようなことを、
不動産コンサルタントが言っているのを見ましたが、
このことについてだけは、私は100%支持できません。
なぜなら、上記の理由で金利の上昇リスクを強く感じていますので、
まして現在の東京のように、利回りが低くなっている現状では、
金利の上昇は、直ちにデフォルトに結びつく危険性が高く、
まして購入価格の100%に近い額を融資で購入をしていると、
考えただけでも、危ない、危ない・・・。
よく無責任なことが言えるなと、私は怒りさえ感じています。
歴史は繰り返すかもしれませんが、丁度90年頃のバブル真っ盛りの時に、
100%借入で不動産や株を購入しない人は馬鹿と言ったような論調の、
書籍や講演会、あるいはマスコミ報道があったことを思い出してしまいます。
もう一つ、東京の不動産を高い融資比率で購入していた場合の大きなリスクは、地震リスクです。
積極派の方々は、こんなことを考えていたら投資なんてできないと言うかもしれませんが、
融資比率が低い場合ならともかく、100%に近い融資比率で不動産投資をしていて、
地震があったらと考えると、かなり恐ろしくなります。
以前何度も書きましたように、ノンリコースローン(2月14日のブログご参照下さい)であればまだしも、
でもやはり、現在は、不動産投資をする時期としては、私は?と思わざるを得ません。
私は以上のように、東京の不動産であっても、不動産投資は、時期でないと私は考えていますが、
ビジネスはリスクをどのように取り、どのようにヘッジするかということですから、
お読みいただいた方が、いや、今が投資チャンスで、ヘッジも考えていると言うことであれば、
頑張って投資されたら良いと思います。
逆張りも必要、更にその逆張りも、ビジネスの常ですから、
ひょっとすると、今は不動産投資の好機と取れる方がいても、否定する気は全くありません。
住宅についても、私は上記のような理由で、高い融資比率で購入する場合は、
弊社のお客様には、控えた方が良いと、質問があればお答えしています。
これも人生それぞれなので、嬉々として購入をされたり、購入希望の方に、
私から否定的なことを言うようなお節介は焼きませんが、
聞かれたら正直にお答えはしています。
毎日毎日、不動産関連の案件のお手伝いをしていて感じる、
今日は本当に現場から感じた私見ですので、何かのご参考になれば幸いです。

