見切り発車した事業
8月28日
先週も2件ほど、資金手当てができないまま見切り発車で事業を進め、
引くに引けない状況にある会社の相談を受けました。
何回も書いていることですが、資金調達というのは、
いざ資金ニーズができてから、慌てて手当てを始めても、なかなか上手くいかないものです。
まして、資金の目処なく契約を締結したり、建築の工事を始めたり、機械や設備の投資を始めていて、
資金調達の期限が迫っているとなると、低コストの良い条件の資金調達はほぼ困難である場合がほとんどです。
特に8月とか、年末年始、5月の連休時期は、
金融機関も仕事が事実上ストップしている場合が多く、
いくら調達を焦ってもこの時期は時間が非常にかかります。
まさに今の時期は金融機関でも仕事の進まない時期なので、
1週間ぐらいで1億円を調達したいと言うお話は現実的には無理な話なのです。
それもこのようなケースの場合、たとえ時間が十分にあったとしても資金調達が不可能な場合が多いのです。
今回の2つの案件もそうでしたが、
では、調達できないとなると、どうなるのかと言う質問をすると、
ほとんどは、資金調達が現実的には無理なのに、
何とかなるだろうと、単にこの事業を断念することを先送りしているのに過ぎないことが多いので、
この事業に対する参入を諦めれば良い場合がほとんどです。
中には手付金のような性格のお金を支払っている場合もありますが、
これも金額によっては、私はこの手付金のような支払いを無駄にしても、
不可能な資金調達を止め、この事業自体を諦めるのがベストだと考えます。
このような状況に陥っている方々の共通点として、
何を根拠に考えているのか分かりませんが、
今この事業に進出しないと、未来永劫、絶対に新たなビジネスチャンスはないと言う、
錯覚に近い思い込みがあるように思えてなりません。
私も過去にこのように思った経験があるので理解できますが、
自分が思うほど、ビジネスチャンスなんて限られてはいません。
確かに引返すには無理のある金額を既に投資していて、
簡単に止めることが難しい場合もありますが、
ご相談を受けたほとんどの案件は、引返すのが難しいほどの状況でないことが圧倒的に多く、
今後の資金調達が冷静に考えて、難しいと思われる場合は、
時間的なリスクと、無理な資金調達と資金繰りのリスクを考えて、
一日も早くこのような事業を止めることを説得しています。
私の経験でも、このような夢が先行して、資金の手当てが後手後手になっているような事業で、
成功した会社を見たことがありません。
むしろ、できもしない事業を追いかけて、既存事業までおかしくなり、会社が潰れたケースの方が圧倒的に多いです。
よーく考えて頂きたいのですが、
弊社だって、資金の目処が付けば、やりたい事業は、その時その時にけっこうあるものです。
現在だって2つの事業への投資や進出を検討はしています。
しかし、いくら今参入することがビジネスチャンスであると思っても、
肝心要の資金手当てに目処がつくまで、
「はい、やります!」なんて手を上げるような、馬鹿馬鹿しい、人迷惑なことはしません。
資金の手当てができていないということは現実性のないことに等しい訳ですから、
この会社の従業員も、取引先も迷惑千万な話だと思います。
ほとんどの方々が理解していると思われる、
事業はヒト、モノ、カネと情報が揃って初めて成功できると言うことを、
今一度再確認したいと思います。
このようなケースは皆様の周りにはないと言われるかもしれませんが、
弊社のような仕事をしていると毎月1件や2件は、このようなケースの案件があるので、
やはり注意しないといけないことなのだと思います。
資金調達コンサルタントに一言
8月27日
余計なお世話とは思いますが、
同業の資金調達コンサルタント諸氏にぜひお願いしたいことがあります。
それは顧客から意味不明な着手金や入会金など、
成果報酬でない報酬を取るのは止めようではないかと言うことです。
できれば相談料もです。
顧客の中には冷やかしのような方もいることは確かですが、
善意の顧客、それも資金調達に困っている顧客から、
何の成果も上げていないのに、たとえその額が小額であっても、支払いを求めるのは筋が違うのではないかと私は感じます。
確かに、銀行に打診するための準備や打診にも時間も手間もかかるので、
この分のリスクを軽減しようと言う気持ちは、同業の私には良く分かります。
でも、このことはよく考えて見れば、コンサルタントの都合であって、
顧客に何のメリットがあるわけではありません。
悪い言い方をすれば、資金を斡旋する優先的な地位を利用して、
何の成果も上げていないのに、顧客にコンサルタントのリスクをヘッジしてもらっていることになります。
このことはどう考えても、顧客を向いたサービスをしているとは言えないのではないかと思います。
中には、出資法の紹介料の上限である5%とは別に、着手金を取っているケースもあり、
これは明らかに法律違反ですので、必ず着手金などをとった場合は、この5%の中に収めるように、
最低限このことは守って欲しいと思います。
10年間この仕事をしてきて感じるのは、
確かに5年くらい前までは、銀行を中心にまともな金融機関は中小企業に本当に融資をしませんでした。
この理由は何度か触れているように、バブルの後遺症で、金融機関自体の財務内容が滅茶苦茶で、忌憚なく言えば、リスクを取るような融資をできる状況ではありませんでした。
ですから資金の支援自体非常にリスクのある仕事であったのは事実です。
しかし、5年位前から、条件が合う会社には銀行を始め、ほとんどの金融機関は融資をする方向になりますので、以前に比べると、ミスリードをしなければ顧客の支援はし易くなっています。
だから、このような時期に、本当に金融機関から融資のお手伝いをできるノウハウさえあれば、
着手金など取らなくても十分にやっていけるとはずと私は確信します。
一時、誰だったか分かりませんが、
コンサルタントのコンサル料を取るノウハウとして、顧客に諂うな、むしろ顧客を選択しよう。
コンサルタントが時間を取られる相談時も相談料を、そして顧客の本気度を試すためにも、成功報酬だけでコンサル料を取るのは愚の骨頂だというようなことが言われた時期があったかと思います。
この話にも頷く点もありますが、でも私に言わせれば、相談料や着手金を取ることによって、
間違いなく良質な顧客を獲得する機会を喪失している事は否めないと思います。
少なくとも、私や弊社は、今まで一切相談料も、着手金も取ってこなかったことが、
大した成功ではありませんが、今の状況につながっていると思います。
時々、本音を言えば、全く時間の無駄だったと思われるような相談を受けることもありますが、
でも私は、一人でも多くの方々や会社と名刺交換することが、
良い人脈を構築する基礎だと思っていますので、まったく苦になりません。
今まで日陰のような仕事だった資金調達コンサルタントも、
少しずつ、その成果を認められて、社会的認知も若干は上がってきたと感じていますので、
資金調達コンサルタント業界なんてあるのかどうか分かりませんが(笑)、
業界のイメージアップのためにも、相談料や着手金を失くすことを提言したいと思います。
もちろん、資料を作成したりした作成費や、遠隔地の会社に呼ばれた場合の旅費など実費は、
先に頂いて当然だと思います。
資金調達で言う決算書とは
8月26日
決算書の重要性を一昨日書きましたが、決算書の件で、非常に基本的な認識違いのある方が時々いらっしゃるので、今日はこの件について書きたいと思います。
時々融資やリースの申込をするにあたって、
2~3期分の決算書のコピーの提出をするように言いますと、
貸借対照表、損益計算書、利益処分案のみを送ってくる方がいます。
確かに弊社もきちっと税務申告書と言えば良いのですが、(最近は細かく言うようにしています。)
融資などの資金調達をした経験のある方であれば、
通常の場合、融資の申込に必要な決算書と言えば、税務申告書であることは常識です。
税務申告書は、貸借対照表、損益計算書、利益処分案と勘定科目明細書を添付して提出することはご存知の通りです。
中には、紹介者が資金調達コンサルタントと言いながら、
顧客の融資の申込のための資料を送ってもらうと、
貸借対照表、損益計算書、利益処分案だけが同封されていることがあります。
中には、このような書類を送付するコンサルタントに税務申告書や勘定科目明細書の提出をお願いすると、
「この顧客、今まで何回も融資の支援をお願いして上手く行かず不信感を持っているので、今は提出できないと言っています。提出してある貸借対照表、損益計算書、利益処分案だけで融資の目処を立てて下さい。」と全くトンチンカンな回答が返ってくる事があります。
最近は、さすがにこのような素人なコンサルタントとのお付き合いはなくなりましたが、
開業したての頃は、このようなコンサルタントと顧客に悩まされたものです。
なぜ、貸借対照表、損益計算書、利益処分案だけで審査ができないかと言えば、
当たり前のことなので、説明することもはばかりますが、
まず、これらの資料だけでは、本当に真実の決算書かどうか分からないと言う点が一つです。
これらの資料と整合性の取れた税務申告書に税務署の受付印や税理士の署名捺印が押してあって、初めて本物の貸借対照表、損益計算書、利益処分案と判断できるわけです。
また、融資などで大きな懸念材料となる税金が完納されているかどうかも、
貸借対照表、損益計算書、利益処分案だけでは分かりません。
さらに勘定科目明細がないと、
既存の取引金融機関とその取引内容も分かりません。
更に流動資産の売掛金、貸付金なども明細が分からないので、本当に資産に計上してよいものかどうかの判断もできません。つまり、本当は資産に計上されているが回収不能なインチキ資産かもしれない訳です。
更には、借入金の明細も分からないと、この会社の資金調達の状況や内容も分かりません。
同じ借入金でも、銀行と商工ローン、あるいは代表者自身と金融機関では、
まったくこの会社の格付けは変わってくるので、
どのようなところから、どのような条件で借入れているかが分からないと審査のしようがない訳です。
このように、貸借対照表、損益計算書、利益処分案だけを提出して、
金融機関に審査をしろといっても、できるはずがないことはご理解いただけると思います。
ところがへそ曲がりなのか、知識がないのか分かりませんが、
資金調達の支援を頼みながら、税務申告書や勘定科目明細を提出したがらない会社があるのも事実で、
インチキなコンサルタントに騙されたトラウマがあるのかもしれませんが、
こんなことをしていては、できる資金調達もできるはずがありません。
本当に、資金調達が上手くいっていない会社や流行っていないコンサルタントに限って、このような資料を提出しがちですが、考えてみれば当たり前で、このようなことをしているから資金調達が上手く行かなかったり、支援実績ができないわけで、上手くいっていないことを証明しているようなことなので、この辺り、ご認識をいただきたいと思います。
多く方々は、今日の話は当たり前と思われると思いますが、
このような基本中の基本が分かっていない方もけっこういらっしゃることも事実です。
資金調達の上手く行かない方の中には、こんな当たり前のことで、提出すべきかどうかグズグズ悩んで、
資金調達機会をみすみす失っている場合もあるので、
該当する方は今日の件、ぜひご認識を改めていただきたいと思います。
銀行融資のことにポイントを置いた、このブログと連動するCDです。



