借入金過大会社の実例 2
9月18日
昨日の借入金の多い会社についての続編です。
昨日は、この借入金が多いことが理由で融資を断わってきた銀行の基準となった数値が
実質長期比率=(固定資産-資本の部)÷(経常利益×0.6+減価償却費)
であることを書きました。
今回の年商約30億円の飲食の会社のこの数字が、銀行が正常な会社として融資が検討できる基準の10(10年)を超えていて、この数字が原因で融資見送りとなったわけです。
ではこのような会社の資金調達のお手伝いを、どのようにしていくのかを今日は書きたいと思います。
このブログをお読みの方の中にも、店舗や施設を拡大することが事業の拡大につながる状況の会社を経営なさっている方も数多くいらっしゃると思います。
このような方々に参考なればと幸いです。
もう一度この数字を出す式をご覧頂きたいのですが、
この数字をアップするためには、分子の数字を大きくするか、分母の数字を小さくすることしかありません。
更に詳しく考えていくと、
・固定資産を小さくする。
・資本の部を大きくする。
・経常利益を大きくする。
・減価償却費を大きくする。
と言うことになりますが、
この中の数字で減価償却費については、
原価償却費自体を計上していない場合を除いて、大きくするということは、当然固定資産も大きくなる訳で、
この減価償却費を大きくするという対策で、実質長期比率の数字を大きくすることにはなりません。
と言うことは、固定資産を小さくして、資本の部を大きくして、経常利益を大きくすることになります。
(資本の部の増額)
まず資本の部ですが、ご存知のように資本の部は資本金、法定準備金、剰余金などで構成されています。
ただ法定準備金も剰余金も単純にこの数字だけ増やすことはできないので、
まず資本金を増額、つまり増資することが実質長期比率アップにつながる一つ目の対策になります。
資本政策を検討して経営権に問題が生じないようであれば第三者割当増資やVC(ベンチャーキャピタル)からの出資を受けることなどが選択肢になります。
しかしながら、今回のように、既に借入金過大な会社場合は、
VCからの出資は、余程ビジネスモデルに特徴があるか、
同業他社と比較して差別化点がないと難しいのが現状ですので、
現実的な方策は直接金融である第三者割当増資や、
財務内容が可能な状況であれば、他の資産を振り替えて新株を発行する無償増資、
あるいは債務の資本金化(デット・エクイティー・スワップ)などが対策の選択肢になります。
(経常利益のアップ)
二つ目の対策は当たり前のことですが、企業経営で日々努めないといけない、
営業利益のアップと販売管理費の見直しを本気でやることです。
一挙に改革は困難でも、日々の積み重ねで改善していくのは重要ですし効果も期待できます。
特に今回の会社のように、歴史の長い会社の場合は、
長年の無駄や習慣などがある場合が多いので、結構劇的な効果も期待できるますので、
とても重要な項目と言えます。
(固定資産の減額)
最後に固定資産の減額をどのようにするかというポイントが残りますが、
実はこのポイントが実質長期比率の数字を改善するのに最も効果的で、
場合によっては劇的な効果を期待できるポイントですので、今回お話をしたい最も重要な部分です。
明日この件の詳細を書きたいと思います。
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借入金過大会社の実例
9月17日
以前からこのブログで、資金調達で最も大切な数字は、
自己資本比率と経常利益額であると度々書いてきましたが、
今日はこの問題から融資が難しくなっている会社の実例を上げながら、
この問題への認識を改めて、ご確認願いたいと思います。
弊社が現在コンサルをさせていただいている会社は、
東京で20数店舗の飲食店をコアの事業として経営しているA社です。
この事業を数社で運営していて、合計の年商が大体約30億円の規模です。
毎年この飲食部門で経常利益が約1億円から2億円の幅で利益を出しているものの、
四つの都市銀行や地銀、信金からほぼ20数億円の借入があって、
よく言われる借入金の限度は、キャッシュフロー(当期利益+原価償却費)の10年分であるとすると、
限界を少しオーバーしているかなと思われる水準の会社です。
この会社が唯一取引のない都市銀行に、新規取引の打診をお手伝いしたところ、
丁度数社あるグループ会社の中核となる会社の決算書が7月末に出来上がることを受け、
この決算書の数字を確認後、8千万円の無担保融資をする方向でこの銀行の意志も固まっていました。
ところが、この決算書の数字が悪化していたため、この融資が見送られてしまいました。
弊社もこの決算書の作成の部分で、アドバイスができる状況なら良かったのですが、
残念ながら、この決算案を固める時期は、弊社とこの会社の接点ができたばかりの頃でしたので、
アドバイスもできないまま決算書が確定してしまい、
申告後入手した手前、どうすることもできず、銀行に提出したため、
予想通り融資が見送られることになってしまったのでした。
この銀行が、次の数字を、融資を検討できる会社かどうかの基準にしていることは、
この銀行の融資担当をしていたOB(このブログで以前紹介した提携コンサル会社の社長T氏)から聞いていて良く知っていましたから、決算案を固める時にアドバイスできなかったことが悔やまれるところです。
以前にも書きましたが、再度ご紹介しますと、次のようになります。
実質長期比率=(固定資産-資本の部)÷(経常利益×0.6+減価償却費)
この数字が10以内(10年以内の意味)であれば正常で積極的に融資を検討し、
10以上であると固定資産が過大で融資をしない会社と考えると言うものです。
なお、経常利益×0.6というのは、税負担を差し引くと言う意味でご理解下さい。
この会社ような飲食業とか、パチンコ店などは装置産業である性格から、
どうしても固定資産が過大となり、自己資本比率が下がり安い傾向があり、
余程の高収益を上げるか資本金を大きくしないと、
規模が拡大すればするほど、すぐにこの数字が黄色信号になってしまいます。
このようなことから弊社では、
この種類の会社のお手伝いには長期間のスパンでお手伝いをするようにしています。
もちろん経営者が必要がないということであれば無理に手伝いませんが、
店舗拡大を間接金融一本で資金調達をするのは、財務上限界のある体質の業種なので、
どうしても健全な資本政策と資産のオフバランス化が欠かせない用件になって来るわけです。
明日もこの続きを書きたいと思います。
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アスベストの不動産評価への悪影響
9月16日
ご存知のようにアスベスト問題は、その健康への被害が大きな社会問題となています。
その被害は、アスベスト製品を生産していた労働者や工場のある地域の住民だけではなく、
吹き付けアスベストの建物に住んだり、働いていた従業員にまで被害が及び、
またその被害の潜伏期間が長いことも相まって、静かな時限爆弾と言われています。
最も危険で問題のある吹き付けアスベストの利用は1988年頃までは使用されていた思われ、
アスベストを使った建材も2004年の秋まで禁止されたいなかった現状から、
これ以前に建築されたビルにおいて、アスベストは多く使われていたと思われます。
実はこのアスベスト問題が不動産の価値⇒担保価値に大きな影響を与えるようになっています。
アスベストの吹き付け部分が丸見えの建物は論外として、
特に築古ビルの様な場合、その解体費用にアスベストの処理コストが大きな影響を与えています。
私は予てから、融資を伴う個人投資家や中小企業の現時点の不動産投資の危険性を、
このブログでも執拗に繰り返していますが、
特に1988年以前に建てられたビルについては、地震リスクにこのアスベストのリスクを勘案して、
投資を考えねばならない状況になっています。
一方、東京を中心に大都市圏では、不動産価格が確かに上昇し、
不動産の売主は強気の姿勢を崩しておらず、
市況的に売手市場で、買手はそれでなくても高買いする懸念があるのに、
さらに地震リスク+アスベストリスクが加わり、
再販したり、この物件を担保に融資を受けるような場合の悪影響は、
想像以上に高くなっているとご認識いただきたいと思います。
特に年金の代わりにアパートのオーナになって自分年金を作ろうなんて馬鹿馬鹿しいことを言っている、
業者やコンサルタントはこのアスベストの問題をどのように考えているのでしょうか?
弊社のように金融から物事を考えてしまう習慣が身に付いている立場から言えば、
このような連中は、忌憚なく言って、悪質リフォーム業者と同じくらい悪質といって差し支えないと思わざるを得ません。
このような連中が飯を食っていけるのも、騙される人がいるから成り立つのであって、
もう好い加減に詐欺師商法に近いことに騙されるのは止めようと強く言いたいと思います。
※前半のアスベストの説明はリアルエステートマネジメント・マガジンの記載をかなりの部分引用参考にさせていただきました。
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銀行融資のことにポイントを置いた、このブログと連動するCDです。



