”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室 -148ページ目

年初めの勉強会

今年初めての勉強会。ウェルティング以降の工程について検証。スプリットリフト(鉢巻)、シャンク、フィラー、出し縫い、ヒールについて。


スプリットリフトはスクウェア・ウェイストの場合、ウェルトに繋げるようにして付けます。スプリットリフトの形をしっかり整える事によって、ソール全体の形が決まります。スプリットリフトが出すぎていたり、入りすぎていたりすると、ヒールのバランスが崩れてしまうので、注意を要する。アッパーの踵からのラインが綺麗にストン!と行くように出来ると、ヒールが垢抜けて見えます。べヴェル・ウェイストの場合はソールを付けてから、スプリットリフトをつけることによって、木型の内側と外側のギャップを取り、ヒールを積み上げやすくする。結構気を使うところです。


シャンクは革のシャンクを使っている人と、メタルシャンクを使っている人では、メタルの方が圧倒的に多かったです。私は日本に帰ってきてから悩んだ結果、革のシャンクを使っていますが、今ひとつ違いがどのように出るのか解らないまま、形が形成しやすいのとイギリスで使い続けていたのでコストは高いが使うことにしていました。某職人のお客さんの中にメタルと革のシャンクとでは、やはり履いた感じが違うという人が何人かいらして、革だけを素材としている中に、異物のメタルが入っていると、そこだけ硬さが違うので違和感があるとのこと。でも、一番の違いは修理するとわかるそう。ほとんどの靴が、修理して中身を空けるとほとんど、シャンクは割れているとのこと。木や竹のシャンクは、直ぐに割れてしまうのは聞いていたので、私の中では問題外だったのですが、メタルもとは。。。大体、既製靴でお客さんが「インソールがやわらかく感じて、馴染んで来ました」なんていっているときは、シャンクが割れている時が多いとか(!)既製靴で、折れていないのが『オールデン』の靴だけだった、という話も聞けてちょっと『オールデン』見直しちゃいました。私のお客さんにもファンが多いです。

イギリスのビスポークは革のシャンク。メタルを使う場合は35ミリ以上のヒールの高さの時のみ。


フィラーは練りコルクやシートコルク、フェルトと色々ですが、インソールの処理の違いによって使いやすいものが違ってきます。ある程度のクッション性と防水性があるものであれば良いのですが、私のインソールの溝の掘り方と修理の時の事を考えると、現在使っているシートコルクが適していますね。


今回実感したのは、詰め物も全体の調和が大切ですね。これが、一番!って物はなく、「こういう場合にはこれ」って、作り方や整え方の違いに合わせて、臨機応変に使い分けるのがベスト。靴作りって、本当に面白いな~。まだまだ、勉強しなくっちゃ!

大雪

昨日は大雪の中、皆様ご苦労さまでした!もっと、皆さんお休みするかと思っていましたが。。。(嬉泣!)

午前中は『家庭の悩み相談 後編』(笑)とスピーカー&ヘッドフォンについてあれこれ話して面白かった!新しいワークショップに引っ越したら、手作りスピーカー(Sさん作)から流れる『DEEP SOUL 』でむせび泣きながら、靴作りをいたしましょう!haha


このところ、皆さんひたすら『すくい縫い』と『出し縫い』をしている人が多く、たいして教えることもなく、もてあましてしまって、上記のような会話ばかりしていますが、2足目作っている人達はかなり上達してきていて、いい感じです。今後はもっと全体のバランスと細部のキメや〆について検討していきましょう。益々手を使うのが面白くなっていくことでしょう。工具は今月末に注文出すので、来週まで受け付けます。面白い飾りを注文している方もいるので、届くの楽しみです。




習うということ

寒いですね。私は寒いの好きで、朝の冷たい空気を浴びると、気分も引き締まり『今日もやるぞ!』という気持ちになります。靴を作っていると、体中熱くなり汗かきますし、冬は靴作りに適しています。


腱鞘炎がひたすら悪化していて、医者に「治したければ、仕事を変えること!」と冷たく言われまして、『今更私に何しろっての!ユキコ負けない!』(笑)って闘士がメラメラ。なんか、指を鍛えなくては!と思っていた矢先、Phineas Newborn Jr. という大好きなジャズ ピアニストのDVDを寝る前に見てたら、これだ!と。


小学校の時6年間、嫌々習っていたピアノを再度始めよう!その当時、何が嫌だったって、先生がヒステリックで、私が間違うたびに背中や手にビンタが飛んできて、今思うと虐待だよな~あれは。私も、毎週びくびくしてて、楽しくないの。音楽大好きなのに。楽しさを学べなかった。親に訴えても「一度はじめたものを途中で止めるなんて、ろくな者にならない!」とか言われ、その後パンク道に突き進んでいたわけですが(笑)、あの時、先生が人にものを教えるって事を知っていたら、楽しむことが人を伸ばすって事を知っていたら、と悔しい思いに駆られます。そして、私はこんな腱鞘炎になるような柔な指ではなかったはず!今年はピアノがんばるわ!(って、そんな時間あるのだろうか?)


お教室でもたびたび思うのですが、何かを習う時は必ずその『基礎』はしっかり教えてもらわないと、人は伸びません。習う側も、教える側にとことん食いついていかないと。『一度言ったことは、もう言わないぞ!』なんて先生が高校の時いましたが、愛がなさ過ぎ。まー、よーく聞いておけ!って言いたかったんだろうけれど、自分が面倒臭かったとも取れる。(笑)自分で考えて行動し始めるのは、『基礎』が終わってからでないと、よっぽどの才能がある人意外、一生いい加減な『自己流』で終わってしまうような気がします。まあ、それはそれでいいのかも知れないけれど、お客さんとの共有範囲が狭まりますね絶対。そんなわけで、皆さん、一緒にとことん楽しみましょうね。そして、とことん食いついてきてください。でも、決して噛み付かないでね。

e-job の山村さん

前回、職人希望の方々から相談を受けています。とお伝えましたが、その後、8年前にロブに来店された時にお会いした、靴職人希望だった山村さんという方からメールを頂きました。現在は九州で靴職人として働いてらっしゃるそうで、私も彼のメールから元気を頂きました。以下は地元新聞に掲載された記事を送ってもらったものです。皆様にもヤル気と勇気が出るのでは。人の縁とは面白いものですね。また職人仲間が増えた感じで、”いいぞ!日本!注文靴を発展させようではないか!”などと、落ち気味だったテンションが上がりました。山村さん、どうもありがとう。
夢の“靴職人”に希望の一歩 地元で修業7年余…
靴のオーダーメード、修理をしている山村浩二さん
山村さんがオーダーメードした靴

 「顧客のニーズに自分の感性をプラスして、足にぴったり合う靴を作りたい」。大分市の山村浩二さん(29)は、今では珍しい靴職人として起業した。

 大分高専卒業後、市内の靴店でアルバイトをし、靴への興味を募らせた。二十一歳で単身、英国を訪問。王室御用達の老舗オーダー靴店などを見学し、刺激を受けた。帰国後もアルバイトで生計を立てながら、市内では数少ない靴職人、其田元久さん(79)=王子北町=の店へ七年余り通い、腕を磨いた。

 元久さんと一緒に仕事をする長男の俊一さん(46)は「最初はあきらめさせようとしたが彼の粘りに負けた。朝まで働き、仮眠後に店に通って来る彼に、次第に夢を手助けしてあげたいと思うようになった」と振り返る。

 山村さんは結婚後、高城新町の実家で修理業を始めた。〇五年十月にオーダーメードと修理の工房「e―job(イー・ジョブ)」を開業。年末に市内生石のマンションに移り、靴職人としての道を本格的に歩み始めた。

 既製靴に押され、靴をあつらえる店の多くが姿を消す中、最近は百貨店の靴売り場に十万円を超える高級靴が並ぶなど、静かなブームもある。オーダーメードは東京など大都市で十五万円程度からが相場で、分業も進んでいるが、山村さんは七万円からと低めに設定。採寸から本縫いまで一人で全工程をこなす。

 自宅の一室をサロンとし、顧客とコミュニケーションを取りながら、手入れのアドバイスなどをする山村さん。「もうからないが、靴が好きでたまらない。商売として成り立たせ、将来は店を持ちたい」と夢を語る。

 独立した山村さんに、俊一さんは「長く続けるにはいい仕事をしなければならないが、彼ならできる」とエール。俊一さんの長男も〇六年春に高校を卒業し、元久さんに弟子入りすることになっており、「若い人たちが父の代の技術を伝えてほしい」と期待している。

 「e―job」への問い合わせはTEL050・3444・2471へ。


指痛い!&悩み相談

このところ、快調!快調!で時間を忘れて靴作りに没頭していましたが、昨日から右手の人指し指が腱鞘炎になってしまって、もう痛いのなんのって!思うに木型がプラ型な為重くて、パターンを作るときなどに私の短い指で支えるのに、人差し指にどうしても力が要る為かと。


 痛くなって初めて、人差し指の大切さがしみじみわかりました。今も、人差し指を使わずタイプしています。大好きなコーヒーを飲むのにも右手を使えず、料理を作るのも、靴紐を結ぶのも。。。。(泣)ちょっと、テンション落ちてきてます。相変わらず、仕事は山のようにあるのに。。。。(大泣)


 今日のクラスで、デュプイの革で2足目を作っている生徒さんが、『革が固くて力が要りますね~。最近、指立て伏せをしたり、車に乗っているときも握力付けるものを片手で握ったりしています。』と話していましたが(えらい!)、ほんとこの仕事”力”がいります。私もイギリスで仕事を始めたばかりの頃、なかなかつり込みがうまく出来ず、『女の仕事じゃないからな!』などと職場の男衆に嫌味を言われ、悔しくて悔しくて!ダンベル買って、毎日鍛えました。(笑)夏にT-シャツの袖から見える私の腕の筋肉に慄く生徒さんがいましたが(笑)、この筋肉は血と涙の結晶です。今後は、指も強化していかないと、仕事についていけない。。。。更なる進化を遂げねば!

 

 私の悩みは、とりあえず『指』のみですが、今月に入ってやたらと悩み相談を受けています。先週の土曜日の午前中も生徒さんの『家庭の悩み』に花が咲きましたが、(きわどい話でしたが、その後大丈夫だと良いのですが。。。)メールや手紙で「イギリスへの留学を考えているのですが。。。」という悩みを今月は3通も。(新年明けての新たな決意か?)今までもこの悩み相談は20人以上から寄せられているのですが、これは本当に、本人の意思次第だと思います。


私自身は悩む前に行動するタイプなので、とりあえず行ってみたいなら行くべきだし、やらずに後悔するより、とことんやった上でなら、後悔しないと思うし。何かを一生懸命やれば、必ず後に何かは残ります。まずは自分を信じて、自分の可能性に賭けてみるのはどうでしょうか?これは留学だけでなく、日本にいたって同じこと。イギリスで、自分も含め多くの海外からの留学生を見てきましたが、やっぱり夢をかなえている人達は、本当に『私にはこれしかないんだ!絶対やり遂げる!』って気迫を持っていましたよ。がんばれ!

和チャン

今日は浅草へ革や工具などを買いに行って、5軒程まわってきましたが、浅草の人達ってあったかい!と毎度行く度に思います。今日は年始の為か、皆さん忙しそうでしたが、色々新しい物も見せてもらったり、ありがとうございました。


某工具屋さんへ行くと、「あー大川さん、和チャンのサンプル入りましたので、持っていって使ってみてください。」と言われ、「わチャン??」。渡されたものは「洋チャン」よりも色の濃い物で、溶解度が違うとの事。


「チャン」作りは長いこと逃げて通っていて、教室でも何度か作ってますが、イギリスで使っているワックス・ボールに慣れていると、どうも作るのが面倒で、気温にとても左右されるので作るのが億劫なのですが、なんか「和チャン」「洋チャン」と言われると、新しいおもちゃを与えられた子供のような心境になってしまって、なんかワクワクしています。一人でワクワクするのもつまらないので、今週お教室で「チャンづくり実験」いたしましょうね!

教室の追加

 ありがたいことに、教室への参加者希望者がかなり増えまして、『空き待ち』リストにのせて『空き』が出次第。。。。と思っていたのですが、なかなか『空き』が出ず、(私には嬉しいことですが。。)クラスを追加することにしました。新クラスは金曜日の18時半から21時半で行うことになりましたので、現在のクラスからこの時間に移動したい方は、お早めにお申し出くださいませ。新クラスは2月3日からスタートです。


 bench work studyもあっという間に1年が過ぎ、皆さんが楽しそうに靴作りに励んでいるのを見て、私自身本当に楽しく、励みになっています。お教室に来てくださっている方々から学ぶことも多く、ありがたく思っています。どうも、ありがとう。人数も増え、やりたいことも増え、資材も増え、と増え増え状態なので、昨年から皆さんにも相談していた、ワークショップの移転を夏ごろを目処に実行に移す予定です。よろしく。


 今年はとにかく仕事に打ち込みたい。山奥にでも籠もって靴作りだけをしていたい!と思うほどの『気』のようなものが新年早々まとわり付いていて、なんか良い調子です。去年より今年、昨日より今日、悔いの無い生き方をしていきたいです。さて、明日からお教室始まります。気合を入れてがんばろう~。

明けましておめでとうございます。

新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。


早くも新年が明けました。昨年は時間的にも気持ち的にも余裕の無い一年でしたが、今年の抱負としましては、『余裕を持った生活』を心がけたいです。毎日の忙しさにかまけて、自分を甘やかしていました。感謝の気持ちを忘れてしまったり、失礼なことをしたりと、反省点が多かったので、もっとゆったりとかまえて生きたいです。


今日は一日家で友人から頂いた、『実践瞑想ヨガ』沖正弘 の本をごろごろしながら読んでいます。さすがに沖先生、彼の言葉から、生き方からは学ぶことが多い。筋の通った人間の言葉は力強く、説得力があり、心地よい。今年もがんばるぞ!と力が湧いてきました。

今年最後のお教室

昨日の24日は、教室内凄かった!今年最後のクラスだったので、フィニッシングに入っていた人達が、何が何でも「今日仕上げたい!」とがんばっていて、3人無事に作り終えました!(パチパチ パチパチ!)みんな、いつになく黙々と打ち込んでいたし。緊張感が珍しくありました。(笑)


汚れを極力避ける理由から靴にはカバーを付けて作っているので、出来上がるまでの間アッパーを数ヶ月見れなかったので、「え~こういうデザインだったんだ~」という新鮮な感じで、カバーを取る瞬間が一番ワクワクしますね。


2月に出産予定のNさんも大きなお腹でがんばっていて、無事仕上がったのでよかった~。子供が生まれても靴を作りたい!と話していて、お別れの時ちょっと涙目に。。。。子供の首がすわったら、お子様連れて参加してね!赤ちゃんは本当に好きです。も~赤ちゃん見ると目がとろけちゃう。私の妹も2月に出産予定なので、今から楽しみ!


それから、私がクリッキングやスカイビング用に愛用している「ティナ」のナイフを入荷しました!両刃で細くて使いやすいのでお勧めです。ご希望の方はお申し出ください。金曜日のお教室にこられている小島さんのご協力により、 1750円にて。(私がイギリスで手に入れた時より安い!なぜだ?)


それから、来年1月にイギリスに「工具」の注文をしますので、欲しい工具があれば1月中に教えてください。カタログはワークショップにおいてありますので、見たい方はどうぞ尋ねてくださいね。


では、very merry X'mas!!

ビスポークとは何ぞや?

今年も後わずかになりました。思い返すと本当に色々とあった年で、大変だったというよりは、よく考えさせられた年であったな~と。来年も引き続きやりたいことが山ほどあるので何とか実現していきたいです。今年、多くの人に”レディース・ビスポーク”を。。。といわれ続けてきまして、”レディース”は未開拓の分野でもありますし、イギリスでも2年ぐらい前にクレバリーが始めましたが、それ以前のビスポーク店でジョン・ロブ以外やっていなかったってこともあり、始めたいのですが、ヒールの高さ、レディース用の革のことなど考えると、なかなか手が付けられない状態です。来年はレディース・ビスポークの準備をしっかりやりたい。まずは、メンズをしっかり確立することが先なのですが。”魂”あげてがんばります。


私が日本に帰ってきて驚いたのは、『既製靴』と『ビスポーク』についての考え方が、本当に知られていない。以前このブログで『既製靴』の価格について書いたとき、反響を呼びましたが、これもそれも『ビスポークとは一体何ぞや?』ということが理解されていないからでしょう。今日はこの一年、本当によく聞かれた質問に答えましょう。

では『ビスポークとはなんぞや?』といいますと、一人のお客さんの為だけに職人が作る靴のこと。私の場合、一人のお客さんに丸々10日間の時間がかかります。(大体これが平均だと思います)これって、他ではありえないビジネスですよ。『既製靴』は8万円代の靴でも1足作るのに数時間です。しかも、木型はお客さんの足を原型にしていない。10日間!ですよ。どんなに古風な奥さんだって、夫の為に丸々10日間面倒を見るなんてないでしょ!(笑)その10日間以外に、木型屋さんにプラ型にしてもらう時間とか、インソールを乾かす時間とか色々かかりますが、仮縫いが一度で決まらない時は何度だって(無料で)やり直すので、下手すると、1足作るのに30日間かかることだってありえる。これだけ時間のかかるものに、粗末な材料なんて使えないから、最上の素材をそろえているし、『お客さんの為』のより良いフィッティングを考えて。。。。。ですから、『既製靴』と『ビスポーク』を比較してうんぬん言うこと自体おかしいと思うのです。まったくの、別物として考えないと。特に価格のこととなると。。。。もう言うのは止めましょう。(笑)


職人がしている仕事を考えると、『30万円の靴なんて高すぎる!』といえるのかどうか?『30万円』ってお金は高価です。それは、もちろん解ります。靴職人自体、自分の作った靴は高くて履けません。半人前の職人は先輩から「一人前になる前に自分の靴を作っておけ!一人前になったら、自分の靴なんて作れないから。」と必ず言われます。一人前になれるまでにも、本当に時間がかかるし、毎日会社に行って8時間働けば、良い靴職人になれるかって言えば、そうでもないし。イギリスでは木型職人、パタンナー&製甲、クリッカー、底付け職人が分業で、割り当てられた職種に合わなければ、違うところに回されますし。厳しい世界です。『靴職人は変人が多い』と自他共に認めるところですが、『変人』でなくてはやってらんない!世界であります。


『ビスポークとは何ぞや?』答えは 『最高の贅沢』とでも言っておきましょう。