ビスポークとは何ぞや? | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

ビスポークとは何ぞや?

今年も後わずかになりました。思い返すと本当に色々とあった年で、大変だったというよりは、よく考えさせられた年であったな~と。来年も引き続きやりたいことが山ほどあるので何とか実現していきたいです。今年、多くの人に”レディース・ビスポーク”を。。。といわれ続けてきまして、”レディース”は未開拓の分野でもありますし、イギリスでも2年ぐらい前にクレバリーが始めましたが、それ以前のビスポーク店でジョン・ロブ以外やっていなかったってこともあり、始めたいのですが、ヒールの高さ、レディース用の革のことなど考えると、なかなか手が付けられない状態です。来年はレディース・ビスポークの準備をしっかりやりたい。まずは、メンズをしっかり確立することが先なのですが。”魂”あげてがんばります。


私が日本に帰ってきて驚いたのは、『既製靴』と『ビスポーク』についての考え方が、本当に知られていない。以前このブログで『既製靴』の価格について書いたとき、反響を呼びましたが、これもそれも『ビスポークとは一体何ぞや?』ということが理解されていないからでしょう。今日はこの一年、本当によく聞かれた質問に答えましょう。

では『ビスポークとはなんぞや?』といいますと、一人のお客さんの為だけに職人が作る靴のこと。私の場合、一人のお客さんに丸々10日間の時間がかかります。(大体これが平均だと思います)これって、他ではありえないビジネスですよ。『既製靴』は8万円代の靴でも1足作るのに数時間です。しかも、木型はお客さんの足を原型にしていない。10日間!ですよ。どんなに古風な奥さんだって、夫の為に丸々10日間面倒を見るなんてないでしょ!(笑)その10日間以外に、木型屋さんにプラ型にしてもらう時間とか、インソールを乾かす時間とか色々かかりますが、仮縫いが一度で決まらない時は何度だって(無料で)やり直すので、下手すると、1足作るのに30日間かかることだってありえる。これだけ時間のかかるものに、粗末な材料なんて使えないから、最上の素材をそろえているし、『お客さんの為』のより良いフィッティングを考えて。。。。。ですから、『既製靴』と『ビスポーク』を比較してうんぬん言うこと自体おかしいと思うのです。まったくの、別物として考えないと。特に価格のこととなると。。。。もう言うのは止めましょう。(笑)


職人がしている仕事を考えると、『30万円の靴なんて高すぎる!』といえるのかどうか?『30万円』ってお金は高価です。それは、もちろん解ります。靴職人自体、自分の作った靴は高くて履けません。半人前の職人は先輩から「一人前になる前に自分の靴を作っておけ!一人前になったら、自分の靴なんて作れないから。」と必ず言われます。一人前になれるまでにも、本当に時間がかかるし、毎日会社に行って8時間働けば、良い靴職人になれるかって言えば、そうでもないし。イギリスでは木型職人、パタンナー&製甲、クリッカー、底付け職人が分業で、割り当てられた職種に合わなければ、違うところに回されますし。厳しい世界です。『靴職人は変人が多い』と自他共に認めるところですが、『変人』でなくてはやってらんない!世界であります。


『ビスポークとは何ぞや?』答えは 『最高の贅沢』とでも言っておきましょう。