”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室 -149ページ目

靴を綺麗に作るには パート5 インソール2

昨夜は「勉強会」でした。一ヶ月がやけに早く感じます。今回のテーマは「底付けの製法」について。底付けの種類はかなり色々あるのですが、名前が職人同士でも今ひとつわかっていなかったり、名前と実物がそれぞれ違ったり。。。。「PUMP」の製法を誰も知らないようでしたので、黒板を使って説明しようと試みましたが、実物で見せないと理解不能。。とのこと。実際に縫えば難しくはないが、どうも説明が下手なのも手伝って。。。ちなみに「PUMP」はウェルトを使わないで底付けする方法。オペラ・パンプスや室内用革底スリッパ(主にベルベットに刺繍を施した物)やレディースの靴に使われる製法。私も長らく作っていないので、皆さんに見せながら、無駄話ばかりしていないで、作ってみようかな~。


 底付けの製法も、しっかり名前を確定したほうが良さそうです。雑誌等で製法の名前が間違ったまま一人歩きしている物が多いので、困ります。それから、見た目だけ真似て作っている場合が多いようです。それぞれの製法には「意味」があって形が形成されているのですが、ほとんど「意味」が無視されていたり、知られていなかったりで、「ただ面倒」な製法。。。なんて事になっていることもあり、長い年月をかけて知恵を寄せ合い作られた製法が、ただの装飾になってしまっては靴職人の先輩方に申し訳が立たない。。。。とも思います。靴作りはまだまだ奥が深いです。


 毎回思いますが、勉強会のメンバーは皆さん勤勉で、本当に良い刺激を受けます。職場を退職してから叱ってくれる人も、「ナンだよ、この出来は!」と、けなしてくれる人もいないのは寂しいです。ロブではお互い罵りあったり、褒めあったり、喧嘩しあったり。同業の人間に、「がつん!」と言われるのは「ありがたいこと」なのだと、しみじみ思います。


 さて、今日のタイトル「インソール パート2」。パート1で、インソールのつり込みが終わり、木型の周りの釘を全部取り、エッジを90度にナイフでカットしていきます。まず、土踏まず部分以外を丁寧に。インソールは木型の底部の形そのまま。角度はきっちり90度。土踏まず部は左右のラインが同じになるように、ボールペンでマークをつけてから、丁寧に。くれぐれも切り過ぎないように。エッジが90度になっているか、なっていないかで、出来上がりのラインが変わってきます。しっかりと!


 インソールの形が出来たら、インソールのエッジから5ミリ(スタイルや製法によって違いますが、ここでは初心者用、スクウェア・ウェイスト用に)内側にラインをヒール部までペンで書き、そのライン上にナイフを深さ2ミリ位入れてからそのカットした部分に、マイナスのドライバーを入れて溝を作り、その溝から外側を90度に切り取ります。(日本製のやり方は角を45度位落とします)アッパーをつり込みした後ここにウェルトの端が乗っかるので、ここが波打っていると、ウェルトが波打つ結果になり、ウェルトが波打つとソールが波打つ結果になります。ですから、フラットになるように綺麗にカットし、ガラスやラスプでしっかり整えて。



 次に90度に落としたラインから約1センチ内側にもラインを引き、その上から45度位の角度で内側にナイフをいれてカットしていきます。カットした部分はドライバーなどで立ち上げて起こし、起こした革を、今とは反対側からナイフを入れてカットしていき、溝を作ります。


 あ~解ります?ここまで書いて、かなり神経疲れました。やっぱり言葉で説明するのって大変。今日はここまで。本当に疲れた。これから、アッパーのハンドステッチしなくちゃならないのに。。。。靴作るより疲れた。。。

 

 

お芋堀り

今日は幼稚園の芋ほりがあり、綺麗な紫色のお芋を袋いっぱい掘ってきました。毛虫系が大の苦手なのだが、土の中からはもごもご動く虫達がわんさか出てきていましたが、良い土なんでしょうね、きっと。。。


午後はひたすら靴作り。今日は出し縫いをしてたのですが、「とても好きだわ!この作業。」と久し振りに感じました。忙しさに追われていると、ついつい楽しむ感覚を忘れてしまいます。貧乏性の私は、楽しむべき時に、思いっきり楽しまないと「もったいない!!」と損した気分になってしまいます。一秒も逃さず、仕事を楽しまなきゃ!


最近「中国」が気になります。日中関係危ういですね。東シナ海のガス田開発問題が非常に気になります。中国って言う国は、アメリカ同様むちゃくちゃですからね。個人的に私は、「靖国参拝」は反対派だけれど、中国って国は日本を批判できるような立場なのだろうか?どの国も、自国のことは棚に挙げているのは確かですね。ますます、「戦争」への不安がつのります。「九条の会」応援してます。

尼子さんの工房へ

 今日は友人のY氏と逗子にある「あまこ靴工房」を訪ねてきました。あいにく、雨で景色はいまいちでしたが、尼子さんが駅まで車でお迎えに来てくださって、海岸を右手に逗子を少々ドライブ。「あまこ靴工房」は光の多く入り、使い良さそうに整頓されていていて「うわーいいな~」と言うのが第一印象。やさしそうな旦那さまはお話しても面白く、時間が過ぎるのがあっという間で、とても充実した時間を過ごしました。ご夫婦の「ものづくり」に対する真摯な気持ちもひしひしと伝わり、沢山刺激を受けて東京に帰ってきました。(1時間半くらいの距離でしたが。。。)そうそう、海の見えるカレー屋で本場インドカレーも食べ、すっかり満喫!

 あまこ靴工房はこちらhttp://members.jcom.home.ne.jp/amacokk/

 

そうそう、私の初体験もこの工房にて。それは、初めてルームシューズを注文しました!私はこの十数年、スニーカー以外の靴は全部自分で作っていて、「靴は買う物」ではなく「作る物」として、何の疑問も持たずにきたのですが、あまこさんの作るフェルトのルームシューズは尼子さんの人柄がそのまま出ていて、あったかそ~。我が家では暖房も冷房もあまり使用しないので、冬は足元が冷えて困っていたのでそのルームシューズを見たとたん、「こんなの欲しかった!」と一目ぼれ。いつできるのかな~とすごく楽しみ。そういえば、私のお客様もこんな気持ちで靴が出来上がるのを待って下さっているのかな~と。お店に行って即買って即使えるのもいいけれど、注文して出来上がるのを待つというのは、また違った楽しみがありますね。(作る側はその間、プレッシャーと時間的ストレスなどを抱えるのですが、、、)


 さて、今夜は仮縫いの底付けを今から自宅で。。。。一日が私だけ38時間あれば、もっと人生楽しいな!


靴を綺麗に作るには パート4 インソール1

どうも家に帰ると頭を切り替える癖がついていて、靴のことより他の事で頭がいっぱいになっていて、「靴を綺麗に作るには」がクロージングで止まっていました。(って言うか、すっかり忘れていました。。。)催促があったので、ぼちぼち始めます。


メイキングについて少しづつ話そうと思いますが、メイキングは工程が多いので一つ一つ話していくと、いつ終わるか解りませんが、別に急ぐこともないので出来るだけ細かく話せたらいいな、と。


メイキングの第1回目は、「インソール」。靴作りはどの工程も手を抜けないし、どれも大事だけれど、インソールは特に大事。なぜなら、ソールやヒールは減れば取り替えるが、インソールは一生付き合うパーツであり、ステッチをインソールで押さえるので、素材は最もタフで柔らかで繊維詰まったしっかりしたものを使います。それらの条件を満たす革はオーク・バーク(オーク・なめし)のショルダー部分が最適。足に直接、接地するものだから。そして、靴の土台であり、靴の形の元であるのでとても、とても大事なのです。


 雑誌の取材なんかでもイギリスと日本の靴の違いなどをよく聞かれますが、私が思うに一番の違いは「革」。特に底材。イギリスのビスポークで使われているのは上にも書きました「オーク・バーク」と言われる革で、とにかく繊維が詰まっていて、水を吸収するのに時間がかかる。国産のインソールは繊維が荒く、直ぐに水を吸収し即使えますが、オークバークを使う場合、1~2時間たっぷりの水に漬けたあと、新聞紙に丸めビニール袋に入れて一晩置いてから使います。


 インソールを程よく湿らせた状態に整えたら、銀面をガラスで削り、後々面が割れるのを防ぎ、革の裏側もガラスややすりで起毛させ、いらない繊維質を削り表面を綺麗にします。この裏面の繊維質を残して置くと、靴自体余分な重さがつきますし、(微々たる物ですが。。。)ボールペンでマークする時や、ステッチする時などジャマになるので、手を抜かないように。


 インソールをカットする時は5ミリ~10ミリ木型より大きくカットし、木型につり込みやすくする。ここでは、とにかく木型にインソールが吸い付くように、しっかり革を引っ張りながら、釣り込む。木型の形状をしっかりインソールに伝えないといけない。ここで、しっかりつり込みをしないなら、水に濡らす必要がなかったのである。革は水に濡れると繊維が膨張し、乾くと繊維がきゅっと収縮する。その性質を利用して、しっかり木型の形にする。


 つり込みをする時は長めの釘を使い、(25ミリ位が丁度よい)釘の半分までを打ち込み、後はインソールのはみ出た部分で木型を包み込むように倒す。


 インソールが乾くのには一晩あれば足りるが、時間があるならば4日以上置いたほうが、しっかり出来る。メーカーの中には仕事を急いでするために、ヒーターの前に置いて乾かしたりする人がいますが、「邪道」だと言われています。自然乾燥が一番繊維をしっかり収縮させて、革に負担をかけなくてよいと聞いた事があります。「急ぐ」ということは、自然の理に反することで、急ぐことによってクオリティーが落ちることは多いですよね。生活全般に言えることのような気がします。だからと言って、だらだらと時間ばかりかけていても、駄目なのですが。。。


 靴を作るのには色々な方法が各工程にありますが、各工程のやり方を選ぶ時、この足にこのデザインを履かせる時、どのやり方がこの足に良く、耐久性が出せ、作業がしやすく、美しく仕上げることが出来るのか選択していくことにより、「クオリティー」が出せるのだと思います。この「やり方を選ぶ」事が出来るようになる為に、日々手を動かし、頭を使い、経験を積んでいくのが必要だと思います。なんだか、自分に説教している感じになってきたので、仕事に戻ります。インソールの続きはまた次回。(こんな調子で進めるので、気長にお付き合い願います。。。。)ではでは。

ノーベル平和賞

今日は息子の「運動会」でした。途中ぱらぱらと小雨が降ったりしましたが、そんなものナンのその。園児達は顔いっぱいの笑顔で一生懸命走り、ダンスし、玉を転がしていました。年齢に関係なく、一生懸命にがんばる人は人を感動させます。障害を持ったクラスメートを助けながら何週も余計に走った男の子には目頭が熱くなりました。ちなみに私はPTAの競技の「フラフープくぐり」でハッスル!


 最近は特にニュースを見るたび腹が立つことが多い。電車のつりビラは「小泉劇場喜劇版」で、あまりのアホさ加減に電車に乗るのもうんざりする。「小泉劇場恐怖版」はhttp://homepage.mac.com/ehara_gen/jealous_gay/koizumi_rape.html かな?友人同士の間では前から、かなり話題になっていた歌ですが、ネットで事件を調べるとかなり、真実ですね。こわ!


 それから「ノーベル平和賞」はがっかり!やっぱりね~としか言いようがないが、私は日本人候補者の、日本被爆者団体協議会代表理事の山口仙二さんに受賞していただきたかった。「今」だからこそ。http://www2.nbc-nagasaki.co.jp/peace/voices/no06.html


 国際原子力機関(IAEA)とムハンマド エルバラダイ事務局長(発音すると舌をかみそう!)が受賞しましたが、彼らがしてきたことは「アメリカのみが核を持つことが出来、反アメリカ国家が核を所有するなんて絶対許さん!奴らは悪者なんだから!」と叫んでいるだけではないか?大体、何でアメリカは持ってよくて、他の国はだめなの?そんなわがまま、園児なみの駄々こねでしょ?それにね、アメリカのみが実際に原爆を使った国で、しかもアメリカは日本の被爆者を「治療」と称して「モルモット」として実験に使っていた事実も暴露されている。そして、被爆者はなお今も苦しんでいると言うのに、核が「平和利用」できるって!!冗談じゃない。「核」にしろ「銃」にしろ、平和利用は無理だとまだ解らないのか?「力」で言うことを聴かせること等、「恐怖政治」の始まりだ。広島の長崎の人々の死がなぜ、無駄にされなくてはならないのだ。もう、悔しくってしょうがない。ノーベル平和賞なんて、既に何の意味もないのか?平和ってナンだ?

英国紳士靴デザイン パート1;ダービー

「靴」といわれて皆さんの頭の中にぱっと浮かぶのは、どのようなスタイルですか?私は茶色のダービーを思い浮かべます。


ダービーは外羽根式と呼ばれ、クウォーター(腰革)がヴァンプ(爪先革)の上に縫い付けられているスタイル。このスタイル、ロンドンのジョン・ロブではナビ・カット(NAVVY・CUT)と呼ばれています。NAVVYとはイギリスで肉体労働者を指し、彼らが作業ブーツとして外羽根式のブーツを履いていることからこのように呼ばれています。昔はハイキング用、ウォーキング用として履かれていましたが、今ではオフィスやフォーマルな場でも履かれていますし、ジーンズにも合わせやすいのでとても便利なスタイルです。しかも、女性でもこのスタイルは履きこなしやすく、(女性用はギブソンと呼ぶ)紐でぎゅーと締めたり、たっぷり緩めたり出来るので、コンフォート・シューズにもこのスタイルは多く使われています。


外羽根式の構成上ベローズ・タン(Bellows・tongue)と呼ばれる、フェーシングの裏に一枚の長いタンをつけることが出来、これによって砂埃や雨を靴の内側に入れない工夫も出来ます。


ダービーはカジュアル・シューズなので、基本的にはウェルトはスクウェア・ウェイストで仕上げ、ボリュームを持たせます。ダービー・ブーツの場合、ヒールの回りもウェルトをつけるシート・ウェルトでさらに重厚にしてもバランスが良いです。


話が少し外れますが、ビスポークの老舗が「shoes maker」でなく「boots maker」と看板を出しているのは、100年以上昔のイギリス人はほとんどがブーツを履いていたからです。ロンドンにある恐ろしいミュージアム「ロンドン ダンジョン」へ行った事がある方はお分かりでしょうが、一世紀ほど前のロンドンには下水システムがなく、糞尿はつぼに入れて窓から捨てる(怖!)という生活様式。そんなわけで、町中糞尿とねずみ(とその死骸)などで、とても靴など履いていては足からペストにかかってしまいそうだったらしいです。そんなわけで、ブーツに対して短靴(シューズ)はほんの一握りの金持ちにしかはけない物でした。短靴の上から足首を包むように履く(ボタンブーツの足首だけの物)」「スパッツ」は紳士の外出には欠かせないカバーだったようです。ところで、先ほど話に出た「ロンドン・ダンジョン」はかなり怖く、面白く、楽しめます。ビクトリアン時代の「匂い」(臭い!)の再現や、実際に行われていた拷問の数々(本当に恐ろしく、私は貧血で途中倒れました。ほんと!)実際にあった恐ろしい殺人事件の裁判状況や、昔のロンドンの町(恐ろしく、汚い!)の再現など、ロンドンへ行ったら是非どうぞ。私は観光名所へはほとんど行ったことがないのだけれど、ここだけは歴史を知る上でも行く価値あり!と思います。


さて話を戻して、ダービー。オックスフォード同様、少々ラインを変えると新たな顔を見せてくれます。まずは革を贅沢に使い、クウォーターとヴァンプを一枚革にしてフェーシングのみに革をつなげるホールカット・ダービー(Wholecut)。ステッチしていることを極力隠す製法の「フラット・シーム」はホールカットの時に限りなく革を一枚に見せる為にあみ出されたステッチ方法。

色々なステッチでレイク(エプロンまたはUーチップ)を飾ったノウィージョン(Nowegian)、フェーシングをV字型にカットしたヴィーフロント(V-front)、フェーシングをハイ・インステップからステイまで緩やかなカーブで落としていくハイ・ロウ(high-low)。このハイ・ロウのブーティー(bootee)がチャッカーブーツ。ちなみにブーティーとは、踝の上くらいの短めのブーツを言います。それ以上の長さの物はBOOTS。

これらのスタイルはどれもダービー同様紳士のカジュアルとしてはきこなしやすいスタイルです。

人と人

 先週もお伝えしましたが、今週の土曜日10月8日は都合によりお休みです。よろしく。


土曜日のクラスで話が出たことだけれど、ベンチワークに参加の皆さんのほとんどは仕事を持っています。飲食店でバイトの人や、OLさんなど。ビジネス・マンの方達は平日は、7時前に家を出て、11時ごろ帰宅との事。お疲れ様です。私が驚いても、結構皆さん「そんなもんでしょ!」なんてクールに言うので、今度は声にも顔にも出さずに心の中でかなり驚きました!!うーん。平日はそのような生活で、週末にハンドソーンで靴を作るなんて!肩こりには注意してくださいね。


いろんな職業、考え方の人と話せるのは本当に楽しい。特に日本に帰ってきて、私と反対の意見を私にぶつける人があまりいなくて、驚いた。イギリスでは、毎日毎日、意見の衝突、違いがある。でも、それは考え方、ものの見方が違うだけで、なんら個人的感情にはつながらないく、相手を深く知る意味でも有効的である。また、反論などをしないと「考えのない奴!」として馬鹿にされる。

この間、アメリカで6年ほど暮らしていた友人が、「会社で仲の良い女性がいるのだけれど、会議で彼女と正反対の意見を述べたら、その後彼女との関係がギクシャクしてしまって。。。本当に日本人って面倒くさい!」(彼女も日本人だが。。。)という話をして、「わかる!わかる!」と盛り上がった。なぜ、みんなと同じ意見で、同じ考え、同じライフスタイルをしなくてはならないのか?そんなの世界が狭すぎる。。。


ベンチワークでは、色々な意見をバトルさせつつ、「靴を作ること」「ものをつくるということ」について、色々なアングルからこれからも考えていきましょう!


日本に帰ってきて、「私は世間とは折り合いがつかないので、自分の世界をつくり、自分と同じ考えを持った人との輪を広げて生きたい!」という人に数人会った。まあ、これもいいだろうけれど、一つその人達が勘違いしていると思ったのは「世間と折り合いがつかない」ということ。私はその人達は「世間」ではなく、「自分」と折り合いがつかない人たちなのだと思う。だから、自分を否定されることを恐れ、自分のコピー達とと狭い世界で暮らしていたいのだ。そして、そういう人達はほとんど必ず、自分と違う意見、考え方の人達を「否定」することによって自分を「肯定」する。自分と折り合いをつける為にはそうしなくては「自分」が見えない為であろう。自分を否定されたって、自分がしたいんだからいいじゃないか!ははは!と笑い飛ばせばいいじゃない、ね~。


私は同じような人間ばかりが集まって、同じことしか言わない環境は恐ろしくて苦手だ。自分とは意見が違っても、解りあえる人もいれば、趣味は同じなのに話がぜんぜん通じない人もいる。自分と違う人間に合うと、色々突っ込んで話したくなってしまう。そして、通じ合えた時本当の人間関係が生まれるのではないだろうか?


ロンドンはかなりエキサイティングな町だと思うが、その理由はイギリスにある階級と人種の多さの為だと思う。イギリスのクラスシステムは、アッパー・クラス、ミドル・クラス(アッパーとローワーに分かれる)、ワーキングクラスに分かれているが、見た目でも話し方でもアッパー・クラスとワーキング・クラスの人々ははっきり違う。そして、クラスはお金では決して買えない。


しかし、ワーキング・クラスの人達は自分達に誇りを持ち、アッパー・クラスを皮肉るのはかなり上手。アッパー・クラス出の友人が2人いるが、両方とも「ワーキング・クラス」に憧れワーキング・クラスの話し方をする。(彼らがアッパー・クラスだと知ったのは知り合って1年以上してからだった。)また、ワーキング・クラス出だけれど、DJとして成功してかなり裕福に暮らしている友人もいるが、自分を「ワーキング・クラス・ヒーロー」と呼ぶ。こういう階級を超えたイギリス人達と、世界中から集まってくる人々(本当に国を挙げて言ったら切りがない!)と簡単に知り合える町、ロンドン。だから、トンでもないファッションも生まれるし、ハングリー精神だとか、「自我」だとか、他人との関わりによって、大きなエネルギーが生まれる。自分と同じような人達と付き合うと、自分を深く掘り下げることが出来、自分と違う人間と付き合うと、自分の幅が広くなる。ロブの顧客はみんな大富豪であったけれど、大富豪であろうとなんら変わらぬ人間で、本当に気を使ってくれるやさしい紳士もいたし、大金持ちなのに、けちで小さい人間もいた。これは、収入や環境に関わらずいる。いろんな人を知り、いろんな幅で交友(交友でなくて、顧客と職人という関係でも!)を持ち、信頼関係を持つことは、人生をより豊かにすると思う。


想像力

急に涼しくなって風邪を引き始めたのか、のどがとても痛かったので、昨夜寝る前にアロエの棘を取り除いて、おろし金ですったものを飲んで寝たら、朝のどの痛みは消えていた。さすが、アロエ!すごいぞ、アロエ!GO! GO!アロエ!


今週初めに月に一度の「勉強会」あり。前回に引き続きクロージングについてでした。イギリスだと、クロージングはアッパーを縫い終えておしまいだが、日本ではサイド・ライニングを作るのもクロージングに入るよう。イギリスでサイド・ライニングはライニングと同じ素材を使うが、日本ではアッパーと同じ素材を使っている。日本のビスポークの見た目の硬さは芯材のためだ。なるべく、ジョイント部はやわらかくしておきたいと思っていたが、サイド・ライニングに厚めの革を入れても、履き心地にはあまり影響しないようだ。アッパーのデザインにあわせて、芯材も少し変えていこうかな?


芯材について意見交換をした後、私が「ハンド・ブロッキング(クリッピング)」について説明。どうやら、日本で「ハンド・ブロッキング」をしている人はいないようだ。外注で1足200円と聞いて、驚いた!お湯につけたり、水につけたりしながら、一時間程ラスティングに奮闘し、乾燥させるのに最低1日かかる「ハンド・ブロッキング」が、機械で200円!!しかし(大声で!)、ハンドでやるとブーツのラインに沿って、微妙な調節も出来るし、断然綺麗なラインを作ることが出来る。譲れないな。


今月に入ってどうも精神的、肉体的に調子がおかしい。今月は2度ほど友人と飲みに行ったり、踊りに行ったりしたが、どうもテンションがあがらない。小泉圧勝もへこむ原因。日本国民の「想像力」の欠乏にはがっかり。靴作りもそうだけれど、創造するには「想像力」が必要だ。「想像力」こそ、「人間の自由の核」であると、私は思っている。自民党に票を入れた人間は、小泉内閣以降膨れ上がり続ける、国の赤字の行く末や、自民党が望んでいる憲法改正(改悪!!)により、戦争をする国に変わることの恐ろしさ、「郵政民営化」の「民」がさしているのは「大企業」であって、民間人を指すものでないということ、小泉の行動、言動がヒトラーと同じ「独裁」であることの未来、などについての「想像」が出来ないのだろう。毛沢東が行ったのも、「言論の自由」を禁止し国民から「想像力」を奪ったのだ。日本国民は既に、くだらないTV漬けか?、テレビゲーム漬けか?、内容のない、大量の無駄な情報の処理の為に脳みそをすり減らしているのか?単純作業の仕事のせいか?携帯電話の電磁波による脳のダメージによるものか?インスタント食品による害か?そんなこと知らないが、哀れみに値するほど「想像力」を奪われている。





英国紳士靴デザイン パート1

OXFORD


オックスフォード・スタイルはイギリスにあるオックスフォード大学の生徒達に愛用されていたのでこの名前がついたというのは有名ですが、日本では内羽根式と呼ばれ、いわゆるクウォーター(腰革)がヴァンプ(爪先革)の内側に入っているスタイルです。


 このスタイル、イギリスのメンズ・シューズの基本中の基本で、シェフの修行が”オムレツに始まり,オムレツに終わる”というのであれば、靴職人の修行は”オックスフォードに始まり、オックスフォードに終わる”と言えるほど、奥が深いスタイルであります。


 現在はタウン・シューズ、オフィス・シューズとして履かれていますが、「フォーマルな靴と呼べるのはオックスフォードのみ!」といわれていた時代があったほど、エレガントなデザイン。このエレガントさを出す為に、ウェルト(コバ)はヴェベル・ウェイストで仕上げるのが基本。このヴェベル・ウェイストとはウェイスト部分のウェルトをぐっと内側に削り、スッテッチは見えないように内の方で縫うものをいい、こうすることによって軽く、かつシャープに見せる効果が生まれます。ヴェンプ・ライニング(裏爪先革)にはホース・ライニングと呼ばれるシープスキン(なぜ、このように呼ばれるのかは、未だ不明。。。)を使います。このホース・ライニングは柔らかで丈夫で汗をよく吸収する特性を持っているのに加え、伸ばすと薄くなるので、エレガントな木型のラインをそのまま靴の形として再現できる優れもの。しかし、裏面は繊維がボサボサで裁断した端から繊維がぽろぽろと出てくるので、内羽式のヴァンプ部のライニング以外には使い難いと言う難点があるのが残念なところ。ホースライニングを使うのは、イギリスのビスポークのトラディションなのだそうですが、現在では正しく伝統を守っているのは「ジョン・ロブ」のみらしいです。


 このようにエレガントさを極めたオックスフォードですが、これに少々手を加えて作られたデザインがいくつかあります。まずは、オックスフォードの5段のアイレットを取り除きフェーシングをつなげて、その両脇にエラスティック(ゴム)をつけたものが、エラスティック・サイド・シューズ。この靴は、脱ぎ履きが楽なので、日本人の生活様式にはマッチしていると思います。ちなみに、ジョン・ロブのラスト・メーカーの仕事靴にはこのスタイルを愛用している人が多いです。


 クウォーターとヴァンプを分けずに一枚の革で仕上げた,ホールカット・オックスフォード。フェーシングを下のほうへぐっと下ろして、クウォーターを2つに分けた、サドル。ヴァンプのラインをググーと後ろまでつなげたゴロッシュなど。。ラインを少々変えて顔が変わっても、何故かエレガントなオックスフォード・ファミリー。これは所謂、育ちのよさなのかしら。


 ちなみに、女王陛下の前に呼ばれた時に履いてゆくべき靴も、オックスフォードだそうです。(ジョン・ロブのマネージャー談)。万が一に備えての豆知識でした。


 

中学校で。。。。

はあ~。やっと一息つける。今日は、ビスポークのオープニングよりも緊張していた(!)講演会をしてきました。講演会といっても、大人の前でつらつら話すなど恐ろしいことでなく、品川区の中学校で中学3年生に「仕事について」話すというボランティア活動。実はいとこが青年会議所の会長をしていまして、そんなことから話が来て、断れず行ってきました。講演は50分間で、質問時間10分と言う構成だったのですが、緊張すると私の早口はよりいっそうスピードアップし、考えていった原稿を20分で話尽くしてしまった!!(涙)もう、どうしていいのか、つらつらと靴作りについて説明を詳しく始めたり、冷や汗ものでした。とほほ。しかし、中学生達はかわいらしい目をこちらに向けて、持っていった作りかけの靴や木型を丁寧に見回し、初々しく驚き、私の早口にもめげずに話を聞いてくれました。なんて、素直な子供たちなのだろう!最後には一緒に記念撮影と、代表の生徒による暖かい言葉と、暖かい拍手に囲まれて、私は全身照れつつも、感動し退場しました。かなり、非日常的な一日でした。


 しかし、私は人前で話すのは本当に苦手だと言うことがわかり、このようなことはもう二度としないであろう!来年頼まれたら、友人の靴職人を推薦しよう!と心に誓いました。