本の話
今週はかなりのハードスケジュールで、来週末のビスポークのオープニングに向けてあれこれと目まぐるしい日々を送っています。唯一のリラックス・タイムは、息子と紙を使って工作する時間と(彼は工作好きで、暇さえあれば何かを作っています。)電車の中での読書。
現在読んでいるのは、「ダライ・ラマ自伝」。かなりすごい人生です。ダライ・ラマの人生は「チベットの歴史」でもあり、中国から(毛沢東)の卑怯な侵略により、亡命へと向かう時期の凄まじいこと!独裁者の恐ろしさ、権力の恐ろしさがひしひしと伝わります。しかし、ダライ・ラマと言う人は知性とウィットに富み、読者を疲れさせない。ダライ・ラマ関連、毛沢東関連の本は色々と読んでいるのですが、「ダライ・ラマ自伝」は亡命にいたるまでの、毛沢東とのやり取り、ネール首相とのやり取りが事細かに書かれていて、偉大な人物も「やはり人間」というのがわかる。読み終えるのが楽しみ。
「自伝」は本の中でも好きな分野で、断食を(今までに4回挑戦していますが)しているときの定番は、「ガンジー自伝」で、これを読みながらだと、心も浄化されるように感じる。ガンジーは13歳で結婚したり、宗教上「肉食」は禁止されているのに、不良の友人に誘われて、肉を食べてしまったり!(まるで、インドでは肉が、日本でのマリファナのように扱われているよう!)
彼の、「非暴力」への革命は本当に尊敬に値する。どうして、世界はこのような偉大な人物が示してくれた、平和への道をもっと尊重し、広げていかないのだろう?インドという国は本当に神秘的で不思議で、しかも、ガンジーやマザー・テレサなど人間離れした偉人を生んでいる。インド本もかなり集めていますが、もー魅力がありすぎて、最低5年は暮らしてみたい国。遥か遠い夢だな~。
他には「自伝」ではないですが、「Vivienne Westwood AN UNFASHIONABLE LIFE」 はかなり面白かった!あの、パンクの女王、ヴィヴィアン・ウェストウッドの半生を彼女や、彼女の周りの人々からの長時間のインタビューを元に、追っている。さえない旦那と、一人息子を持つ田舎娘が、マルコム・マクラーレンと出会い、(センセーショナルな下着のブランド、エージェント・プロボカティーのデザイナーは彼らの息子)パンク道をひた走り、「デザイナーに最も尊敬されているデザイナー」になるまでの様子が書かれている。もーこれも凄まじい人生。特に、マルコムの我の強さと、暴力に振り回されながらも、それによって成長してゆく彼女の強さには応援せずにはいられない。現在の夫は、24歳年下のイタリア人のゲイだが、彼との馴れ初めや、夫婦関係なども(長いこと不思議だったが)かなり突っ込んで書かれている。日本語訳されているのかわからないが、私が通訳したい!と思ったほど面白かった。パンク好きとファッション好きには絶対お勧め。SEX PISTOLSの面々の個性もうかがわれる。シド・ビシャスを悪く言う人がいないのも、以外だったけれど、その後に出たSEX PISTOLSのドキュメンタリービデオ「THE FILTH AND THE FURY」で見る彼らのやんちゃ坊主ぶりを見て、「大人に媚びなくて、いい子達だな~」などと、感心。若者はこうでなくちゃね~。
こういう、すごい人達の本を読むと、人間ってのは自分の思ったように、信念に向かって進めば道は開き、次の世代に勇気と元気を与えることが出来るのだな~と。先人達に感謝。
趣味の靴作り
昨日は11時頃から9時までワークショップで靴作り。木型の修正にほとんどパテを使ったことがなかったので、パテに硬化剤を混ぜるのを忘れていて、木型に時間のかかることかかること。途中で大平さんに気づかせてもらい、何とか終わったけれど、今日木型を見たらまた変えたくなって、今日は家で一日奮闘。昨日より断然綺麗なラインが出来て満足しているが、明日見たらどう思うのだろう。。。。。「初心忘るべからず」だけれど、私のしているのは、素人に逆戻りしただけのような。。。ふんどしを締めなおして(そんなのつけたことないけれど 笑)がんばらねば。
昨夜、仕事の後友人の働く靴屋を覗くと、友人が仕事をちょうど終えた感じだったので声をかける。友人とは月に数回会う機会があるのだけれど、そのたびに靴関係の話題で話し込む。昨夜聞いた話は、すごいな!と思った。
先週彼の店に青年が靴を持ってやってきて、靴職人になりたいのでここで働きたいと言ってきたそう。彼のところにはそういう若者がかなり多く来るので、「またか~」ってな感じで応対し、青年の作った靴を見ると、まあ形にはなっているが、明らかに初心者の1足目という仕上がり。何処で習ったのか聞くと、関さんの本を見ながら自分で作った、との事。これには友人もかなり驚いたそう。その靴自体は見ていないけれど、私もびっくり!
私も靴作りの本は見たことがある。が、共通して言えるのは、靴を作ったことがない人が見てもわからない、ということ。それに、工具だって革だって初心者にしたら「こんなに使うの!しかも、何処で買うの?」って思ってそこで挫折すると思うのだけれど。。。いやー、本だけみて靴の形にしてしまうのは才能だな、あっぱれ!しかし、せっかくこのようなやる気のある、カンの良い職人志願者がいても、仕事がない。ビスポークをやっている店は何処もそこそこビジネスとして成り立っているけれど、人を育てる時間も、スペースも余裕もないのが現状。しかも、「靴がすき=靴職人になりたい=誰かの弟子になって一人前になる」と言う構図を描いている人が多い。しかしこれは、本当にむか~しむかしのお話。では、現代はいかにして靴職人になれるのか?私が思うに、かなり原始的な構図を描くほうが現代的ではないかと思う。「靴がすき=靴作りを趣味にする=作った靴を周りが褒めてくれ、注文をもらう=口コミで広まり、靴屋をオープン!」。かなり、楽観的過ぎるが(特に一番最後の!)大昔の靴屋の始まりはきっとこんな感じだったのではないだろうか?、この構図にはリスクはないし、本人が楽しんだ結果に生じることで、親方にどやされることもなければ、安給料で何年も下積みすることもない。「趣味の靴作り」がこの先どうなるのか、興味津々。
ニューオリンズ
1足目の人達はつぎ込みも終わりに近づき、ナイフの使い方も上手になってきました。パチパチ(拍手!)
2足目で木型に入った人たちは地道に木型とドラフトと格闘していて(ちょっとテンション落ちてる感じ。。。)、パターンの人たちは黙々とパターン作成(楽しんでいるのか苦労しているのかも、理解不可能なほど、モクモク。。。)。クロージングの人たちは「おお!俺ってうまい!」などの声を上げて喜んでいましたね、今週は。いやー、クロージングは私もはっきり言って驚きました。お見事。これは、次の段階のメーキングでもテンション上がってきますね。きっと。やっぱり、自分の好きなものを好きなように作れる喜びは格別ですよね。メーキングもがんばれ!
今週、来週と新メンバーも続々加わわり、全クラス満員になりました。皆さんのご要望に、よりいっそう応えられるように、私もがんばります。けれど。。。今日も教室で嘆きましたが、つくづく私は説明下手だな~と感じ気分的に、へこみ始めている。何とかもっと「言葉」でうまく説明がしたいのですが、なかなか難しいです。何とか理解をしてもらおうと力が入ると何故か声ばかりが大きくなって、体力消耗するばかり。こちらの方も勉強していきたいです。
話は変わりますが、ジャズの町ニューオリンズがハリケーンの被害で8割が浸水し、救援物資が届くまでに5日もかかっていて、死者も数千人出ている。「世界で一番豊かな国アメリカ」の光景とは思えないような、地獄絵巻さながらに人々はパニックを起こし、ヒステリックになっている。ハリケーン通過中の映像には車に乗って避難場所へ逃げようとしている白人が多く映っているが、現在ニューオリンズで涙ながらに空腹と救援を訴えているのは黒人の群れ。白人の顔は実況中継のニューオリンズの避難場所では一人も見えなかった。つまり、避難命令が出されて実行できたのは、お金を持って車を持っている人たち(白人)で、「国」に見放されたのは貧しい人(黒人)たちだ。
アメリカはテロ対策に40兆円の予算を持っているが、自然災害の救済予算は40億円!!とニュースで聞いた。そんな、馬鹿な!イラクに多くを派遣し人殺しをし、人に殺されるのに、40兆円使い、国内のしかも地続きのニューオリンズの人々が死に物狂いで救済を訴えているのにほとんど手付かず状態。これが国のとる体制か?彼らが必要なのは水であり食料であり、清潔で人間らしい避難所であるのに、町中強盗を防ぐ為に軍隊が肩からライフルをぶら下げて突っ立っている。まるで戦争さながら、救助とは程遠い。調達できる物資はくれてやりなさいよ。命に引き換えられる物なんてないのだからと思うでしょ、普通。緊急事態で、強盗もへったくれもないだろうに。それにアメリカ人は「銃」を持っているから、パニックになって食料の奪い合いで殺し合いも発生しているなんて、「政治」「人種問題」「銃問題」の悪い面が一気に表面に出て最悪の事態を招いている。日本も「ペット」役ばかりしていないで、早く救援に向かって欲しい。まだ、救済募金とか見かけないが日本のボランティア団体がとる態度もスマトラの時より遅い気がする。まさか!のアメリカの処置の悪さだし、今のアメリカに必要なのは「お金」ではなく、「まともな政府、まともな指導者」だからか?
日本もこのまま小泉独裁政権の下にいれば、貧富の差はどんどん広がり、金持ちは贅沢で安全で将来の保障された生活を営み、それ以外は年金もなく、給料は上がらず税金ばかりが上がり、都会から忘れられた過疎地では近所に郵便局もコンビ二もなく、自然災害にあっても救済されないようなことになるかも知れない。選挙まであと8日。パフォーマンスや選挙カーで騒音出すより、しっかりした将来のビジョンを各政党とも出してほしい。マニフェストはかなりお粗末で国民を馬鹿にしている。一昨日NHKで放送された政党討論は自民党も民主党も”行く先は同じ”であると感じたし、これらの人達が日本のリーダーかと思うと世界平和どころか、国の平和もおとぎ話の夢物語だと感じてしまうのは悲観過ぎでしょうか?
勉強会
今日は月に一度の「勉強会」の日。若手の靴職人が13~16人毎回集まり、情報交換。若手といっても、ほとんどの人が靴歴10年前後で、専門学校や教室で講師を務めていたり、ビスポークに徹していたりする。靴職人の年齢層自体が、70歳以上の職人の次の職人世代は30~40代で、50、60歳代が不在と言う不思議な業界。で、我々の世代はかなり平和主義だと思うのだけれど、それがこの「勉強会」にも大きく役立ち、気持ちよく「オープンマインド」と「ギブ&テイク」が出来ていて、毎回得ることも多く、内容が濃く、とても楽しんでいる。(勉強会の様子をライターの竹川さんが書いてくれています。興味のある方はこのアドレスの7月6日の記事をご覧ください。http://allabout.co.jp/fashion/shoes/nlbn/NL000301/bnbody_1.htm
)
今日は、[スキンステッチ」について。全員、スキンステッチの色々を持ち寄り、使う工具、糸、やり方を説明。今回持ち寄ったもので13種類。日本では、名前がさまざまで紛らわしいので、今回名前を決める事まで発展。今日決まらなかった物もあるが、決まったステッチは各々教える専門学校や教室で今後使い、この名前で定着させようと思う。今までは職人との会話で、「ここをスカイビングして、糸を貫通させるやつ。」とか、説明していたりしていて面倒くさかったからね。
その他、同世代の工具屋さんも参加して、新たに製作してくれた「ワニ」と「コテ」を見せてくれる。「ワニ」は釘を打つメンも大きめで、重さも適度にあり値段も6千円くらいで出してくださるとの事。かなり良い出来です。今後、数個購入し教室で使おうと思ってる。「コテ」は改良中だが、こちらが角度や幅、長さを設計図にして書いたものを、そのまま精密に作ってくださるとの事。うれしいことこの上ない。彼のおかげで、日本での工具の問題はかなり解決しそうです。この工具屋さんは「小島台助」の小林さんです。小林さんは「ポンチ」も改良してくださり、かなりよい物を作ってくださっている。次は「2:1のポンチ」もお願いしているが、これは難しいとの事。私は理想の大きさの、サイズと幅と二つの穴の距離が頭にあるのだが、どこでも難しくて作れないと言われるか、高いお金を出して注文して、私が設計した物でないものが出来上がってきたりして、なかなか手に入らない。今日、小林さんもおっしゃっていたが、工具職人は後継者不足で、どんどん潰れていき、鍛冶屋もほとんどなくなってしまい、残っている鍛冶屋に仕事を頼んでも、少ない仕事だとお金にならないのでやってくれないとの事。本当に、この業界は何から何まで大変な環境にある。だからこそ、面白いんだけれどね。目標に向かっている過程は、目標を達成するより遥かに楽しいと思う。
ロングノーズの靴
今日は午前中、スタイリストさんと打ち合わせ。ビスポークのサンプルに私が作った靴の形は、至ってトラディショナル。とにかく「長年履けて、フィッティングに重きを置いた靴」を目指しているのを出したつもりでしたが、やはり「ロングノーズ」の靴も。。。。ということを言われた。ロングノーズはね、「流行」ですよね。「流行」。これが何を意味するか。「今日の流行は、明日の時代遅れ」。ファッションは「社会学」だと思っているので、流行を敏感に察することは、社会の動きを察することだとは思いますが、流されることはないでしょーと思うのですが。ま~私はあくまで「ビスポーク」をしたいので、ロングノーズの靴が欲しい人にはいくらだって長いものを作りますよ。本当、捨て寸4センチだって、6センチだって(笑)作れないことはない。デモね、もったいないよね~デザインの為に、後20年も履けるコンディションの靴が、お蔵行きになるのは。でも、「大川は今時のかっこいい靴なんて作れない古臭くダサい奴!」などと思われるのも癪なので(笑)、構想開始!ふふふ。小田急線の中で色々構想していたら、いいデザインを思いついた。今は早く作りたくって、うずうずしてます。
今朝は母親に「ちょっと、あなたやつれ過ぎ!マッサージに行くか、仕事止めるかにしなさいよ。私より老けて見えるわよ!」「ぎょ!母より老けて見えるなんて!こりゃ、マッサージに行ってくるわよ~」ってな会話があり、仕事の後、新宿京王デパートの8階にあるマッサージへ。しかし!予約をし忘れ、一時間待ち。仕方がないので、隣のフット・マッサージへ行くが、昨日ワークショップでこけて、足の甲に傷をつけてしまい、「痛そうですねー、今日は止めておいたほうが。。。。」と止められる。とほほ。
京王デパートの8階は健康食品や、健康グッズが豊富で健康マニアにはたまらない。なかでも「St.Cousair」と言う斑尾高原牧場で作られている店の、ジャムやパスタソースは種類も豊富で美味。大好物の蜂蜜(毎朝ヨーグルトに大量に混ぜて食べている)と「アンチョビとトマトのソース」(これはヨーロッパの味がして、懐かしく美味!)を購入。健康マニアは、不健康な時パワーが出るという不思議な性質を持つ。健康だと、食べ物とかにもこだわらなくなりがちで、面白くないのだが、ちょっと調子が悪くなると、健康に関する本をバイブルにし、玄米食やマクロ・ビオティックを大手を振って食べれる権利を持ったように感じる。健康になりたいのに、一つ二つは調子の悪いところを持っていたい人種なのだ。これって私のことだけれど、はは。この癖はいい加減卒業したい。自分でもアホらしくなってきたし、私が健康について語る時の友人の冷たい視線も最近気になる。(笑)
今日は、ゆったりお風呂に入って、とっとと寝ましょう。では、皆さんおやすみなさい。zzzzz。。。。(寝つきが早い)
取材
金曜、土曜と夏休みをとる人が多く、教室は少人数でゆったりとした感じでした。(私だけか?)今日は涼しく、もう夏も終わりか?夏らしい事あまりしなかったな~心残り。うう。(涙)皆さんは、夏を満喫したでしょうか?
土曜の教室の後、「LAST」という靴の雑誌の取材があり、美人のカメラマンさんと、ライターさん2人の訪問あり。私は、雑誌はほとんど買わなく、読まない。たまに買っても「レコード・コレクター」のしかも、古本くらい。知人からは、靴を仕事にしているのだから、読んで情報を得たほうが良いぞ!と言われるので、取材を受けたあとに送られてくる雑誌には目を通すようにはしているが、あまりにも私の頭の中にある「靴」と雑誌に載っている「靴」は大きなギャップがあり、どうもなじめない。ファッション雑誌と言うか、男性ダンディー誌(とここでは呼びましょう)に出てくる「靴」は宝石か芸術品扱いされていて、私の知っている「靴」を遥かに飛び越している。最近の写真もすばらしく良いので、「履物」でなく「置物」のようで、そんな「靴」をどんなハンサムなダンディーが履くのか、想像も出来ない。私にとって男性ダンディー誌の印象はそんな感じなので、そんなことも踏まえてのインタビューだったのだけれど、インタビューは楽しかった!今まで受けたインタビューはどれもお決まりの質問で、「ロブではどんな有名人が来ましたか?」とか、「日本の靴とイギリスの靴の違いについて」とか、ちっとも面白くない質問ばかりだったんだけれど、今回は1時間半以上も色々なアングルから靴業界やそれを囲む状況そして、今後についても堅苦しくなく話せて面白かった。発売は9月29日予定なので、皆さんチェック!(自分は買わない人間なのに、人には勧める。。。笑)
今日は息子同伴でワークショップにお仕事。フル・ブローグの靴を作っているのだが、ブローグの「ギザギザ」をイギリスでは V型の小さいナイフのような物をミシンにつけて「ダダダダダ。。。。」と切っていたのだけれど、現在これがないので「ギザ抜き」と木槌を使い地道に3山(やま)くらいづつ切っている。これが、アホか!と思うほど時間がかかる。こういう地道な作業では自分の中に入ってしまい、「瞑想状態」または「トランス状態」に入り、頭の中はサイケデリックで「ハッピーでピース」な状態になり個人的には好きなのですが、「ビジネス」を考えると、これではイカンのです!!毎日「ギザ抜き」作業をしていれば自然とスピードもアップし、目をつぶっててでも(これは無理か。。)出来るようになるだろうけれど、ビスポークの場合、いつ何時どんなスタイルの注文が来るか解らないし、ブローグばかりが来るとは思えないので、何か良い案を考えなくては。。。あ~まだまだ、鍛えなくてはならないことが山ほどあるな。これだから、靴作りは止められない。なかなか、手の中に入らないってところが、靴作りは、にくいね~。
靴の絵
今日は朝から家で、デザイン画を書く仕事。ビスポークはとりあえず何でも顧客の要望に応えるわけで、どんなデザインでも作るのだけれど、デザインを店に来てから選ぶ人もいるので、イメージしやすい様にサンプルの靴の他に、十数足のデザイン画を店において置くようにする為の物。しばらくしっかりとデザイン画を描いていなかったので、時間がかかること、かかること。。。。それに、家で仕事をしていると、トイレに立ち寄っただけなのに、仕事机に戻る前に洗面所の掃除をしだしたり、冷蔵庫からアイスクリームを取り出したり、息子におもちゃの鉄砲で撃たれれば、死ぬまねをしたり、私は家では音楽をずーと流していたい人間なので、CDをあれこれ選んだり。。。。とにかくワークショップで働いている時にはしないことをして、効率が悪い。仕事の手を休めて、夕飯の支度を始めると、仕事のことが気にかかって料理の手を抜いたりして、仕事も主婦業も中途半端になってしまう。毎日、家で働いている人はどのように管理しているのだろうか?不思議である。
そんなこんなで、今日は5枚しか仕上がらず、「とほほ」な一日だった。しかし、デザイン画を描くことは嫌いな仕事ではない。高校生の頃は、欲しい靴があると、その靴が手に入るまで教科書の隅にその靴の絵を何十個でも描いて、「あー欲しい、あー履きたい!」と思っていた。一番苦手だった、歴史の教科書には全ページの余白に靴の絵がぎっしり描かれていた。一番沢山描いた靴は、ホーキンス社のDR,マーチン底のタッセル付のスリッポン。これは確か当時1万9800円で高校生の身にはかなり高価な代物だったので、手に入るまでに数ヶ月を要した。チェリー・レッドの色合いといい、ごつい感じといい、ロンドンぽさといい、お金が貯まるまで、何度も渋谷のお店に見に行っては、ため息をついていた。とにかく購入後も磨きに磨いたお気に入り。購入した日は、「明日雨じゃないように。。。」と寝る前にお祈り(笑)したことも覚えている。今では、そこまで欲しいものもなく、執着できるものもないのだけれど、ああいう気持ちを知ったからこそ、今自分はこういう仕事が持てたのではないかと思う。ありがとう。ホーキンス。ありがとう。DR.マーチン。
ソウルフル!
昨夜は友人Aと東高円寺にあるclub UFOへ友人のバンド「SOUL CLAP」のgigを見に行ってきました。日本でライブハウスに行くのは本当に10年振りくらいでしたが、中に入ると昔のままの空気で懐かしいなどという感傷もなく、すんなりなじめ「私はまだまだ、いけるな。」(笑)などと若さ回復。「SOUL CLAP」のメンバーとは20歳くらいの時からの付き合いで、知り合った当時は、バリバリのmod'sのリズム&ブルースバンドでしたが、その後だんだんと、よりファンキーに土臭いSOULに変わって行き、私が日本を離れる数年前から全員アフロ・ヘアー(若干パンチになっていたのもいましたが。。)で、メンフィス系ソウルバンドになっていて、かなりかっこよかったのですが、その後10年経てどのようなバンドになっていたのか、興味深々で出かけてゆきました。お客は何故かスキン・ヘッドが多く、出ていた他のバンドはスカや60’Sバンドで私もこの系統にはどっぷりはまっていたことがあり、未だにこういう若い人達が、東京アンダーグラウンドには生息しているのかと、時代の変わらなさに面白く思いました。さて、「SOUL CLAP」はみんな昔とは違い、まったくの普段着で登場しましたが、音が驚くほど厚く深い。あまりのソウルフルさに、目が釘付け、体はダンスが止まらない!って程で、大満足。一時は「未だに同じことをやってるのか?」などと、彼らの生活の変化のなさをガキ扱いしていましたが、「継続は力なり」という言葉が身にしみました。服装にしても、もう外見で黒人ぶらなくても、充分彼らの黒人魂(?)は伝わるし、現在のように自然体で楽器の扱い方も、彼らなりのテイストが染み付いていて、青臭さなどなくここまでバンドとして成長していったことをうれしく思いました。ちなみに「SOUL CLAP」は9月23日に代々木公園の野外ステージにてGIGあり!ソウル好きなら一見の価値あり!それから、同じ名前の若者バンドがありますが、お間違えないように!
話は変わりますが、今日は朝からテレビでは「ホリエモン出馬」でやんや、やんや!私はほとんどテレビは朝のニュース以外見ないのですが、「ホリエモン」インタビューがあるとニュースで見たので、そのままインタビューを見ることに。私ははっきり言ってホリエモンは嫌いです。フジテレビとの戦いで、初めは「ふるい頭の年寄り達にいじめられてかわいそうに。。。」などと思っていましたが、戦い中盤頃には、彼のとてつもなく「金銭」だけの、歳よりじみた器の小さい男ぶりに辟易。今日のインタビューも「当選したら、どんなことをしようと思っていますか?」の質問に「日本人は貯金ばかりして金の使い方を知らないから、もっと子供のうちから、株の買い方や運用の仕方を教育。。。。」もー大きなお世話だ。そんなこと子供に教えてもらいたくない。子供のうちから「金、金、金」なんて、ぞっとする。それに、無所属で出ていながら、当選の後は自民党に入るようなこと言って、本当に「器が小さい」。反骨精神、若者らしさがない。若年寄。政治を経済ゲームに組み込もうとしている、思考範囲の小ささにまたもや辟易。痛いところを突かれると「そんな質問には答えない!」と駄々っ子になって、男性的魅力もまったくない。(関係ないか。笑)
自民党は「戦争問題」「靖国問題」に触れられたくないために「郵政民営化」についてしか語らない。ちょっとまってよ、解散した理由は多数決で負けたからで、もう「郵政民営化」は「ノー」って答えが出たんだから、この期に及んで何言ってるの?っでしょ?民営化になれば、天下りがなくなって、経済がうまくいく。などと言っているが、「靖国問題」を解決せずにいるほうが、これからの中国や韓国との経済が問題になってくるんじゃないの?「戦争問題」つまり、「第9条」を改正するかしないかで、今後国民は天下りで税金を無駄遣いされるより、「第9条」がなくなったら、恐ろしいことになるんじゃないの?米軍基地を抱えている日本はそれでなくても、爆弾抱えていると同じなのに。アメリカは日本国民に「お前達行け!」ってあごで戦場に行かされる可能性あるでしょ!大体、選挙の日を9.11にしたのも、選挙熱でアメリカの9.11を日本国民から目隠しするつもりだからでしょ。小泉首相が「命を賭けています」と言っていた、「常任理事国入り」への彼の命は何処へ行った?女と有名人を「刺客」として使うのもなんだかな~。
でも、今後の成り行きは面白そうですね。ここが国民のがんばりどころ。国民の頭の中が垣間見れるのではないだろうか。どうか、やっぱり国民は「からっぽ」なんて結果になりませんように。もっと、ソウルフルな日本になりますように!
靴を綺麗に作るには パート3
今日も暑かった!!午前中は11時半頃からちょっとクラクラしてきて、やばいかも。。。と思った時もありましたが、持ちこたえました。(ホ!)。午後はみんなもボーとしていて、いつもとやっぱり調子が違いましたね。皆さん無事に家路に着いたのだろうか???
さて、前回のクリッキングに続いて、今回は「クロージング」について。靴作りの工程の中で、クロージングが一番個性が出しにくい工程だと思います。ミシンがステッチを縫ってくれるので、練習すれば誰でも同じ様に縫えるからです。ラスト・メーキングやメーキングやパターン・カッティングは個性がかなり出るので、ジョン・ロブで働き出して3年程立った時には、靴を見れば誰が木型やパターンを作ったか、底付けをしたかを大体言い当てることが出来ました。(ちなみに、ラスト・メーカーは9人、パターンナーは3人、底付け職人は20人くらいいました。)しかし、クロージングを誰がしたかを見分ける方法はブローグのパンチの正確さ(私の師はクローザー歴50年でしたが、パンチで穴を開ける時は驚く程ゆっくりと一つ一つ間隔を見ながら開けていました。)とハンドステッチの得て不得手くらいのもので、オックスフォードなどのシンプルなデザインだと誰が縫ったかを判断するのは難しい。ですから、誰でも上手になりやすい工程だと思います。(こんな発言はプロのクローザーに怒られちゃうな、きっと。。)
まず、「綺麗にクロージングする」には、とにかくミシンと仲良しになることが、一番重要。仲良しになるということは、ある程度のメカニズムを知り、自分が使いやすく調整でき、ミシンのご機嫌を損ねないようにうまく付き合っていけると言うこと。ミシンは機嫌を損ねると、大抵変な音を出して、文句を言いますので、「変な音」が聞こえたらいったん電源を止め、糸は絡まっていないか、針の向きは大丈夫か?糸と針の太さは合っているか、糸は通るべき道をしっかり通っているか、下糸とのバランスはどうか、テンションはどうか、オイルはまだ大丈夫か?チェックします。
縫う前には必ず、予備の革で試しぬいをして、テンションをチェックした後、縫いますが、縫う前に下準備をしっかりしておくこと。まだ慣れないうちは、自分が縫いたい所は、デバイダーを使って縫い線のガイドをつけておきます。目検討でまっすぐ均等に縫えるようになるまでは、こうして下準備をしてまっすぐ縫っていれば、次第に体が真っ直ぐな線を覚えてくれて、上達が早いようです。「急がば回れ」なのです。
それと、クローザーのセンスの出しどころは、靴のサイズとデザインに対しての、糸の太さとピッチ(縫い幅)とのバランスです。メンズのきっちりした靴に、細い糸で細かいピッチなどで縫うと、せっかくのデザインがなよなよと、ふやけた物になってしまいますし、縫い目の革が切れてしまったりします。レディースの薄い革に太い糸を使うと糸ばかりが浮いてしまって、糸が足に当たってすれて痛む、などの問題にもなります。
「バランス」が一番大切。あ、これは靴作り全般にいえますね。「バランス」これは本当にすべての工程において重要なポイントです。あ~「心のバランス」「体のバランス」「生活のバランス」「食事のバランス」「人口のバランス」「地球のバランス」。。。。この世で一番大切なのは「バランス」なのかも知れない。
ちなみに先ほど話に出てきた、私のクローザーの師(といっても私はラッキーにも3人のクローザーからクロージングを習ったので、3人のそれぞれの得意分野を目にすることが出来たのですが)、はジミーという名のクローザー歴50年のポーランド人。ジミーはクローザーのお父さんに習い、15歳のころから働いていて、イギリス・ビスポーク・クローザーのナンバーワンとして尊敬されていますが、私は彼の仕事部屋へ始めて入ったとき、彼の動作のゆっくりさに驚きました。ジミーの前に私が習っていたクローザーはロンドン一のスピードを持っていて、信じがたいことに1日に4足も縫える。ビスポークだと一日1,5足が平均。とにかく早くて、目が回るくらいだったのですが、ジミーはナイフを使ったらその都度、定位置に戻しいつも机の上がきちんとしていて、動作はゆっくりだが、無駄がない。若い時は一日2,5足は縫っていたそうですが、それでも手を抜くことがなかったそうです。50年も毎日同じ仕事をしているのに、いい加減にせず、きちんと丁寧に仕事をする彼の姿に感動さえしました。私は週に一度彼の家に習いに行っていましたが、無口でまったく話さず、私達はラジオのクイズ番組を聴きながら、クイズの答えを競いあって答える以外ほとんど会話はなく、私が「どうしてこのように出来るのか?」など、私がうまく出来ない部分を質問しても、答えはいつも「なんとなく。。。」とか、「解らないけど、出来ちゃう。。。」など頼りなく、彼は仕事に関してはすべて「頭」でなく「体」が覚えているので、人に教えるのは得意ではなかったようです。私が余りに毎週質問攻めにしたせいでか(?)、「社長にはお互い秘密ってことで、午後はお互い仕事をさぼろう!」などと言って、彼はお昼になるとパブへ行ってしまい、仕方なく私は仕事場へ行くことも出来ず、遊ぶには時間が時間だし、罪悪感があるし。。。。。ジミーは「師」としては困った人でしたが、いつも黙々と仕事をし、会うと照れくさそうにニコニコしているジミーはやはり私の尊敬するクローザーです。大きなビール腹を抱え、今日も靴を縫っていることでしょう。
新ワークショップ!
8月16,17日は父の墓参りを兼ねて、静岡県三島市の「三島大社祭り」へ家族で出かけてきました。5,6メートルの高さのはしごの上で男衆が片手、片ひざで立ったり、逆さになったりする伝統芸を見たり、半裸の男衆がぶっとい「花火」をもって、体中に降りかかる火の粉を物ともせず、5~8メートルの高さの花火が「パン!」と大きな音を出して消えるまで歩く「手筒花火」を見たり、数キロにも連なる夜店を見て回ったりして、日本の夏を堪能しました。「即席エンターテイメント」にあふれる昨今、長い間地域の人々に受け継がれてきたその土地土地の、年に一度の豊作や健康を祈っての「エンターテイメント」は「即席」にはない、懐かしく暖かい思い出をくれました。
さて、今日は新ワークショップにての初教室!場所が変わると新鮮です。私の机が大きくなって、前の物が溢れかえっていた机とおさらば!これからは、いつも整理整頓され、いつでも直ぐに探し物が見つかる机になるでしょう。。。。。と期待。今日はまだ冷房が入らなく、汗ダクダクでしたが、誰も文句の一つも言わずにモクモクと靴作りに励んでいて、見ていてうれしかったです。皆さんがモクモクと靴作りを楽しんでいるのを見るにつけ、「私もがんばろ!」と元気をいただいています。
今日は最も緊張とストレスとイラつきに襲われるあの「ソールのふた開け」作業にかかった人が3人いて、ソールの湿り具合と、ナイフと時間の間で奮闘していました。この作業はとにかく「度胸を出して、ナイフを入れる」しかないな~。革のきれっぱしで練習するのも手だが、きれっぱしを切るのと、木型がついている革を切るのとはやっぱり違うしね。失敗することによって、学んでいかなければならないところでしょう。ああ。。人生と一緒。。。。