英国紳士靴デザイン パート1 | ”Benchwork study Laboratory" 英国式 靴作り教室

英国紳士靴デザイン パート1

OXFORD


オックスフォード・スタイルはイギリスにあるオックスフォード大学の生徒達に愛用されていたのでこの名前がついたというのは有名ですが、日本では内羽根式と呼ばれ、いわゆるクウォーター(腰革)がヴァンプ(爪先革)の内側に入っているスタイルです。


 このスタイル、イギリスのメンズ・シューズの基本中の基本で、シェフの修行が”オムレツに始まり,オムレツに終わる”というのであれば、靴職人の修行は”オックスフォードに始まり、オックスフォードに終わる”と言えるほど、奥が深いスタイルであります。


 現在はタウン・シューズ、オフィス・シューズとして履かれていますが、「フォーマルな靴と呼べるのはオックスフォードのみ!」といわれていた時代があったほど、エレガントなデザイン。このエレガントさを出す為に、ウェルト(コバ)はヴェベル・ウェイストで仕上げるのが基本。このヴェベル・ウェイストとはウェイスト部分のウェルトをぐっと内側に削り、スッテッチは見えないように内の方で縫うものをいい、こうすることによって軽く、かつシャープに見せる効果が生まれます。ヴェンプ・ライニング(裏爪先革)にはホース・ライニングと呼ばれるシープスキン(なぜ、このように呼ばれるのかは、未だ不明。。。)を使います。このホース・ライニングは柔らかで丈夫で汗をよく吸収する特性を持っているのに加え、伸ばすと薄くなるので、エレガントな木型のラインをそのまま靴の形として再現できる優れもの。しかし、裏面は繊維がボサボサで裁断した端から繊維がぽろぽろと出てくるので、内羽式のヴァンプ部のライニング以外には使い難いと言う難点があるのが残念なところ。ホースライニングを使うのは、イギリスのビスポークのトラディションなのだそうですが、現在では正しく伝統を守っているのは「ジョン・ロブ」のみらしいです。


 このようにエレガントさを極めたオックスフォードですが、これに少々手を加えて作られたデザインがいくつかあります。まずは、オックスフォードの5段のアイレットを取り除きフェーシングをつなげて、その両脇にエラスティック(ゴム)をつけたものが、エラスティック・サイド・シューズ。この靴は、脱ぎ履きが楽なので、日本人の生活様式にはマッチしていると思います。ちなみに、ジョン・ロブのラスト・メーカーの仕事靴にはこのスタイルを愛用している人が多いです。


 クウォーターとヴァンプを分けずに一枚の革で仕上げた,ホールカット・オックスフォード。フェーシングを下のほうへぐっと下ろして、クウォーターを2つに分けた、サドル。ヴァンプのラインをググーと後ろまでつなげたゴロッシュなど。。ラインを少々変えて顔が変わっても、何故かエレガントなオックスフォード・ファミリー。これは所謂、育ちのよさなのかしら。


 ちなみに、女王陛下の前に呼ばれた時に履いてゆくべき靴も、オックスフォードだそうです。(ジョン・ロブのマネージャー談)。万が一に備えての豆知識でした。