炎帝の贄となるわれ立ち泳ぐ 掌
レオンコロ弦楽四重奏団の
ボルドー弦楽四重奏コンクール2022優勝記念ツアーの
コンサートが日本では第一生命ホールで催され、
ベートーヴェン「ラズモフスキー」をNHKクラシック俱楽部で放映。
「レオンコロ」の白熱の演奏に魅了される!
高い演奏技量はもとより、
各人の息の合い方の素晴らしいこと!
クレッシェンドにしても、ディクレッシェンドにしても
なんとピタッとあわせることか。
その色合い、曲の構成力、
各人の思いが<音>となって伝わってくる。
アンコールのクライスラー「愛の哀しみ」は
近衛秀健編曲。
シュルホフ「5つの小品」第1曲には驚いた。
それまでのエネルギッシュであるが、
音楽の語法は端正だった演奏から、
攻めになって、アグレッシブなこと!
じつに面白い弦楽四重奏団、目が離せない。
youtubeに
ハイドン、ベートーヴェン、シューマン、
ラヴェル、バルトーク、細川俊夫、ウエーベルンなどアップされて♪
メンバーは
ヨナタン・昌貴 (マサキ)・シュヴァルツ (vn)
アメリー・コジマ・ヴァルナー (vn)
近衞麻由 (コノエ マユ)(vla)
ルカス・実(ミノル)・シュヴァルツ (vc)
シュヴァルツ兄弟の母上が日本人、
近衛真由は日本オーケストラの祖近衛秀麿の曾孫(!?)。
レオンコロ弦楽四重奏団は2019年に結成され、
名前はエスペラント語の「ライオンハート」。
2021年6月のパオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクールで最高位、
翌22年4月のロンドン・ウィグモアホール国際弦楽四重奏コンクールで優勝。
7月にはボルドー国際弦楽四重奏コンクールでも優勝。
コロナ後の主要大会で全て最高位を獲得する。
23年シーズンからは、複数コンクールの優勝ツアーで
欧州内で演奏を重ねる大活躍。
プッチーニ(Giacomo Puccini 1858-1924)、今年は没後100年。
そのオペラ「トゥーランドット Turandot」、
ウイーン国立歌劇場 2023年12月の公演をプレミアムシアターで観ました。
◆ステージ写真、たっぷり
OPERA FLASH 2023/2024[ウィーン国立歌劇場]トゥーランドット | 月刊音楽祭 (m-festival.biz)
なんといってもカラフを演じるJ.カウフマン、
その歌唱、その存在感はもうもう圧倒的。
ドラマティコの声が陰影をまし、深々とした声は圧巻。
アリア「誰も寝てはならぬ」の熱狂的な拍手は鳴りやまない。
A.グリゴリアンのトゥーランドットのソプラノは
冷徹な姫は傲岸な態度のうらに<純潔>な脆いほどのおののきをもつ、
そんなトゥーランドットを歌い演じて。
カラフとの「謎」の緊迫感、迫ってきました。
K.ムヒタリヤンのリュー、ひたむきなカラフへの愛、
忍従というよりもっと勁い女性を感じさせて。
3幕のアリアが聴きものでした。
ピン/パン/ポンはコーラスと同じ衣装で、
宦官トリオの喜劇的なところがめだたず、
二幕冒頭の見せ場の<望郷>の思いがつたわりずらかった、かも。
ポンは尼子 広志。
演出はクラウス・グート 。
中国風は全くなく、現近代でしょうか。
表現は前衛的ですが、ストーリーの読み替えはありません。
一幕はとてもシュールで、どんな前衛劇かと思えるほど。
美術はモノトーン基調のシンプル
白く大きな壁にトゥーランドットがプロジェクション・マッピングで大きく投影され、
血塗られた様相を映しだす。
そのトーランドットは純白の衣装。
カラフは黒と紺のスタイリッシュなデザイン。
男女コーラス、若草色のスーツに胸にピンクのバラ、
金髪のショートカット(鬘)そして眼鏡。
一幕は謎を解けず斬首された首が弄ばれ、
トゥーランドットは首の無い男性と歩き、
仮面をつけた4人がトゥーランドットつねについて、
少女性を象徴しているのでしょうか。
リューも同じメイクと衣装5人が並びそれぞれ心象を表現して。
指揮はオペラを得意とするM.アルミリアート。
歌手の息遣いをよくとらえて。
この「トゥーランドット」心象表現を追求し、
「ドラマ」が表象されたみごたえのあるオペラ。
なにより歌手たちが素晴らしい!
<出演>
トゥーランドット:アスミク・グリゴリアン [Asmik Grigorian]
カラフ:ヨナス・カウフマン [Jonas Kaufmann]
リュー:クリスティーナ・ムヒタリヤン [Kristina Mkhitaryan]
皇帝アルトゥーム:イェルク・シュナイダー [Jörg Schneider]
ティムール:ダン・パウル・ドゥミトレスク [Dan Paul Dumitrescu]
ピン:マルティン・ヘスラー [Martin Häßler]
パン:ノルベルト・エルンスト [Norbert Ernst]
ポン:尼子 広志 [Hiroshi Amako]
<合唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽>ウィーン国立歌劇場管弦楽団
<指揮> マルコ・アルミリアート [Marco Armiliato]
<演出>クラウス・グート [Claus Guth]
収録:2023年12月7・8・13日 ウィーン国立歌劇場(オーストリア)
塩田武士『存在のすべてを』朝日新聞出版 2023年刊
<「生きている」という重み、
「生きてきた」という凄み>
作者インタビュー、出版のおりの言葉に象徴されて。
この小説、本の紹介に
「平成3年に発生した誘拐事件から30年。
当時警察担当だった新聞記者の門田は、
旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。
異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、
ある写実画家の存在が浮かび上がる――」と。
二重誘拐のひとりの子供が<空白の3年>ののち、
祖父母の家に。
その誘拐のノンフィクションかとまがうほどの
警察・犯人・被害者の家族の描写。
「写実画」「写実画家」
「写実とは」「対象を観る」「それをいかに描くか」など
表現者の表現への肉迫はすぐれた絵画論のよう。
「一瞬のやり取りの中に時間の厚みを感じるエピソード」で、
その人物をくっきりと立ち上がらせる。
いままでも塩田武士作品を読んできましたが、
作者の渾身の作品、ではないか、と。
「高崎兜太句会」2016年7月21日
大切な兜太先生との時間、もう一度掲載いたします♪
7月の高崎兜太句会の日。
兜太先生をはじめ、メンバーがずらりと席に着いていて、
まさにはじまるところ。
ええっ、時計を見ても15分前。びっくり。
三句選&問題句を一句選ぶ。
兼題は「麦秋」
最高点六点の句から合評をはじめる。
饐えし飯洗いし母よ麦の秋
評:ある時代の、ある年代にことに感慨・共感がある句では。
作者の母親への想いもしみじみ感じられる。
兜太評:なんでもないことを書いたフツーの句。
なぜ点が入るか、わからない。
「饐えし飯」、体験があるかどうか、
やや情でとらえ過ぎ。と佳作に。
筒抜けのだんべだんべや麦の秋
兜太:前句よりよい。実感がある。
麦秋だから、「だんべだんべ」の声も聞こえてくる。
入選句となる。
緑夜ですどこぞに耳を落としたような
評:「どこぞに耳を落としたような」の表現、面白い。
緑夜のなかのしずけさを感じる。
逆によく聞えるのでは?という意見も。
兜太:いや、このままとる。で入選句。
これはわたしの句。
ちなみに佳作・入選・秀逸という評価。
今回、秀逸はなし。
他の入選句はこちら。
縁(よすが)なる鳥類図鑑麦の秋
麦秋や母という自縛を解かん
担当医初夏のおかわりできません
兜太先生の全句講評があり、
次の兼題「星月夜」を決めて、句会終了。