管理栄養士として、予防栄養学を推進する私。その原点はフランスの大学院で学び、研究した健康指導学や健康促進学にあります。フランスには人種も宗教も生活習慣にも富んだ国民が共存しています。その複雑な背景の中でいかに効果的に国民を健康に導くのか、その工夫には目を見張るものがありました。予防医学において一番感じたこと、それは「固定観念を捨てて相手に接しましょう」ということ。相手が何を思い、どうありたいか、それはわからない。でも、そこに歩み寄らない限り、本当の健康に導いてあげることは難しいということ。
これまでのフランス大学院留学記↓
リヨンの大学院で学んだ課目 親友マリーのこと
https://ameblo.jp/basejo/entry-12464390351.html
留学先は「食の都」&「予防医学の都」リヨン
https://ameblo.jp/basejo/entry-12463140695.html
フランス大学院留学記 私の母校
https://ameblo.jp/basejo/entry-12463904306.html
3日にラマダンが明けました。
ラマダンはイスラム諸国の大切な宗教儀式。信仰を深め様々な欲を断つため、その一環として断食を行います。
断食は「健康な方」が中心となって行います。日中は飲食ができず夜間にたくさんの食事をとるので、一カ月近い断食は健康な方でも体に大きな負担がかかります。
健康な方が中心とはいえ、健康診断も受けていなくて、実は糖尿病だった、という方ももちろんいます。メタボリックシンドロームとの境界領域の方をどうすべきか、という問題もあります。フランスにもイスラム教徒の方は多くいるので、そういった状況に置かれた方のサポートをどうするのかも、NBMやNSTにおいて判断の対象になってきます。治療指針にもその旨が触れられていました。
食べてはいけないもの、食べられるタイミング、その他にも個人によって色々な背景があります。
写真はリヨン市役所です。日本の市役所の行政はフランスでは主に県庁が管轄しています。そのためにフランスで市役所内を見学する機会はほとんどありません。私はJournées du Patrimoine ※ と横浜リヨン姉妹都市イベントの計2回、市役所内を見学する機会がありました。
※ヨーロッパの文化遺産デー:多くの美術館や博物館の入場料が無料になります。
EBM Evidence-Based Medicine
NBM Narrative-based Medicine
NBN Evidence-Based Nutrition
NST Nutrition Support Team
フランスはチーム医療や予防医学の先進国です。上記の概念は言葉が強調されるよりもずっと前から根付いています。
ある時、クラスで内科医に言われました。「私は内科が専門、あなたは栄養の専門家。栄養のことはあなたがプロなんだから任せたよ~教えてね。」と。
同じ土俵に立った者には同じものをごく自然に求めてきます。彼のプロ意識、強い責任感の裏返しです。
余談ですが、フランスには日本の管理栄養士にあたる資格がありません。栄養指導は栄養士か栄養医が行います。それぞれの指導領域は異なり、当然、診療報酬点数も異なります。(最近は4年生の栄養学士も新設されました。)
多宗教の国民が共存する国において、治療においても予防医学においても、より複雑で柔軟な介入が必要になります。私はインターンを通じて、この高い壁に直面しました。
というわけで、予防医学にどっぷりつかった留学生活を送っていましたが、好奇心旺盛な私は大学院を離れた所で課外活動もたくさん経験してみました♪次回は「修行ゼロ日でフランスの寿司職人になった」お話をします。